表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

8 地底人と戦う子たち

・やっほー、このあいだ高専に転校してきました。地底人のマキっていいます。

 あれ? 変な顔してる? ボクも地底人って自己紹介はあまりしたことありません。あ、女の子でボクって言い方もおかしいんだっけ。とにかくボクは「地表」で生まれたけど、両親は地底人です。見た目は地表人とほとんど同じだけど、全然ちがう別の種です。ずっと日本の山奥にある地底研究所に住んでて、このあいだこの高専に転校してきました。

 登校日の初日に、はじめて学校の友達ができました。男の子と女の子がひとりずつ。女の子のサヤカっていう子は、地底対策組織の学生部隊に所属している子です。ボクのことをどう思っているかわからないけど、明日も会ってくれるって言ってくれました。なんだかわかんないけどテンションが上がりすぎて、ふたりに抱きつきたいくらいです。

 でも、あの子たちがボクのことを地底人だと知ると、どんな反応をするんだろうって、少しだけ不安です。もしかしたら少しじゃないかも。でも、同世代の子と地底の話もしたい。ボクはずっと大人に囲まれて過ごしてきたから、ボクのことを知ってる友達がほしい。知ってほしいけどこわいんです。わがままな気持ちがずっと揺らいでいます。実はけっこう繊細な女のコなんだよ! 自分で言うのもなんだけど。


・わたしは杉本サヤカ。高専の地底対策組織に所属している。昼は学校に行って、朝と夜は学生部隊として働いている。役割は、地表にやってきた地底工作員を追いかえす戦闘員で、同じ高専にも学生部隊の子は何人かいる。わたしの父と母も地底部隊の隊員だったから、帰宅したあとも家で訓練をする。

 今年度さいしょの登校日、変な子が学校に転校してきた。マキっていう、男の子のような女の子。最初に見た時からわたしとはそりが合わないだろうなと思ったけど、その通りだった。なぜか、彼女は一般の人が知らない、うちの地底対策組織のことを知っているようだった。よその地域の隊員かと思ったけどそうでもなさそう。彼女に尋ねても笑ってごまかされる。そのうえ困ることに、彼女は強い。格闘もわたしが勝てるかどうか。なんというか、彼女は野性的で動きが読めない。

 昨夜、わたしと他の隊員が地底人を追い込んでいるところを、マキは見ていた。それだけでなく同じクラスのコウジくんも連れて一緒に見ていた。コウジくんは明らかにただの一般人だ。彼を巻き込むなんて本当にどうかしてる。わたしは彼女が何を考えているかわからない。


・俺、川井コウジ。マキは最初に会ったときに変なやつだと思ったけど、ここまで変だとは思わなかった。自分が彼女に振り回されてるのがわかる。流される俺もどうかと思うけど。

 さんざん振り回されたあと、俺は高専の地底対策組織について知らされた。俺たちの知らないところで、杉本さんたちがずっと戦ってたってこと。この地球の地下には地底の世界があって、何年も前から地底人が地表に侵攻してきてたってこと。

 あと、マキが地底人だってこと。見たところあいつは地球人とほとんど変わらないから、そんなのどうでもいいよって思ったけど、種としては全然ちがうらしい。地底人は下手すりゃイモムシだって食うみたいだし、土も食べたりするって聞いた。マキは意図的に隠してるみたいだけど、本当は地球人とはちがう。

 俺がそれを知ったとき、まあ確かに驚いたけど……それより驚いたのは、地底人だってカミングアウトしたときに、マキが泣きそうになってたってこと。ただでさえ女の子の泣いてる顔なんて見たことないのに、あのボーイッシュなマキが目をうるませてるのを見ると、とても困る。だからまあ彼女とは仲良くしておくことにする。ちょっと変わったやつだけど悪いやつじゃないし。本当は俺、地底とか戦いとかにはあんまり関わりたくないんだけど……「知ったからには抜け出せない」ってさっき言われた。なんか知っちゃいけないことを知った気がする。


@KosugiRan http://twitter.com/KosugiRan




いつか長編で書きたいです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ