13 理系と文系のひと
こちらのマンガを見て書きました。
https://twitter.com/H_Tenko/status/697734933167472641
(未読でも大丈夫です)
・冬の外で『 なんで冬は寒いんでしょうね 』と聞かれたときの答え
「『 なんで冬は寒いんでしょうね 』って……そりゃ質問されたんだから答えるに決まってるだろ? 太陽からの光の角度で気温が変わるって中学で習っただろ?」
「ぜんぜんわかってないわ。そんなこと聞いて『へえー』って言う人いる? 最近のスマホのほうがまだいい答えするわよ」
「でも聞いてんだから答えるのは悪くないだろ」
「こっちは会話の過程を楽しみたいわけ。あんたの答えは答えだけど、会話が終わっちゃう答えなのよ。会話を終わらせる答えなの。答えがほしい以外で聞くことあるでしょ? 調子はどうですかって聞いてマジメに答える人いる?」
「じゃあおめえコールセンターでオペレーターが『そうですねえ、何ででしょうねえ』って言っていいのか!?」
「バーカ! 全然わかってないバーカ!」
***
「じゃあ何が正解なんだよ」
「こう、会話のキャッチボールよ。知的なキャッチボール」
「じゃあ手本見せろ。『なんで冬は寒いんでしょうね 』」
「『そうですね……カメムシもいっぱいいましたしね 』」
「『は?』」
「『ほら、カメムシが多いと冬が厳しくなるって言いますし……』」
「『え、マジ?』」
「『カマキリも高いところに卵を産んでましたし……』」
「おまえバカだろ!?」
「うっさい! さっきの太陽光うんぬんよりほっこりするでしょうが!」
***
「おまえはどう思うんだよ、ケイジ」
「うん……でも僕なら納得しちゃうかもしれない」
「じゃあもっかい。『なんで冬は寒いんでしょうね』」
「『え、えーと……な、なんででしょうねえ……夏が暑いからじゃないですか』」
「『え?』」
「『あったかいばかりだとつまらないじゃないですか。地球さんもたまには涼しくなりたいときもありますよ』」
「……なんだそりゃ」
「よくわかんない答えだわ」
「うう……」
***
「だいたい言い間違ったやつがダメってのがワリーんだよ。質問側がキャッチボールしたいなら最初からそう言えよ。『キャッチボールしよ!』って」
「だっさ~。そんなこと言うわけないじゃないだっさ~」
「で、でも、質問するときに相手を選ぶのはフツウなんじゃないかなぁ……ほしい答えがあるなら、答えてくれそうな人と話すのが良いと思う」
「マジ?」
「うん、質問する前に、自分がどういう答えが欲しいか予測するんだ。よくあるよね。自分がいまなぐさめてほしいのか、解決策がほしいのか、共感してほしいのか……。『そんな言葉を聞きたかったんじゃない』っていうやつ。答えがほしかったらテツオに聞けばいいし、共感がほしかったらトモエと話せばいいし。僕は最近そう思うようになって、ガッカリすることがなくなったよ」
「それはさすがにどうなんだ……」
「あんたは気にしすぎなのよ。相手の答えがダメだったら『壁にでも話してなさい』って言えばいいの」
「それもどうなんだ?」
「あ、じゃあ逆に考えればいいのかなあ。話すほうが、相手がどんな答えがほしいかなって予測するんだ。自分の話したいことじゃなくて、相手がほしそうな答えを言ってあげる。この人は答えがほしいのかな、それともおしゃべりしたいのかなって、これでけっこう解決すると思うんだ」
「うっ……なんかすげえ耳が痛い」
作者は理系。理系と文系の話だったのにいつの間にかコミュニケーション論に。
http://twitter.com/KosugiRan