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追いかけると言っても、ユーキが飛び出したのは結構前になる。
あてがあるわけでもないし、どこに住んでるのかも分からない以上、出てきたはいいがどこに行っていいかわからなかった。
駅の方にむかって適当に追いかける。帰りはいつも電車に乗ってたから、とりあえずそっちに行こう。
自転車だから追いつけるかもしれない。
携帯にはメールした。けれども返事はないだろう。電話にも出ない。
そうこうしているうちに、裏通りを通る。
そういえば、ヤンキーのユーキとはじめてあったのはここらへんだったっけ。
あいつがひったくりを捕まえた時に、俺はユーキのほうが強盗なんだと思ってかかっていったんだ。
そう思いながら自転車を走らせていると、あの時と同じようにひとが倒れるような重い音がした。
俺は音のした方に目をやる。二階建ての駐車場ビルだ。
「オラアッ!」
その声はユーキの怒号。俺は自転車を止め、駐車場ビルに入っていった。
恐る恐る声のした階を覗きこむと、そこでは二人の男が地面にのびているところだった。
「チッ……」
ユーキが血の混じったつばを吐き出す。
「ユーキ!」
俺は思わず駆け寄った。
「明宏? 変なところ見られちまったな」
「大丈夫? やられてない?」
「こんな連中のパンチは効かねえよ……っと」
とユーキは言ったが、足元がどうにもおぼつかない。めまいがしているのだろうか。
「家までおくるよ」
「……すまねえな」
俺はユーキに肩を貸して、その場を離れた。
「何があったの?」
「たぶんこの間のひったくりの、逆恨みだ。いきなり因縁つけてきやがった」
俺はあの男の顔を覚えていない。ユーキもたぶんそうだろう。
「家、どこなの?」
「大倉のほうだ。いつも歩いて帰ってる」
大倉とは、学校とは駅を挟んだ反対側。バスや自転車で通学する距離としてはちょうどいいくらいの住宅街だ。
ユーキは女の後ろになんか乗れるかと言っていたが、ダメージがあるんだから仕方がない。俺はなんとかなだめてユーキを後ろに乗せた。
着替えが入った二人分のバッグは少し重いが、なんとかかごにおさまった。




