表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私立セクマイ高校女装部  作者: 小野寺広目天
第一章 遠藤玉三郎
3/47

1-2

 俺たちは一度教室に集められたあと、学園共通の大講堂に集められ、入学式が行われた。余談だがさんごは中学からなので、中学の卒業式もこの大講堂だったらしい。

 それが終わると、今度は教室で自己紹介だ。

熊美明宏(くまのみあきひろ)です。外部の中学出身ですが仲良くしてください」

 お決まりの自己紹介を短めに済ませ、俺は一息つく。さっきさんごに会ったことでちょっと不安だったけど、大丈夫。他に知り合いはいない。

 早くみんなの顔と名前を一致させなきゃな。知り合い同士が多いエスカレーター学園なんだから、少数派の外部生は肩身が狭くなっちゃう。

姫武台祐希(ひぶだいゆき)です。僕も外部の中学出身ですけど、よろしくお願いします」

 おっと、俺の他にも外部中学出身者がいたか。

 そう思って俺はそいつを見る。そして驚いた。

 女の子だった。

 いま、そいつは確かに、自分のことを『僕』と呼んでいた。声も若干低めの、小学生男子みたいな声だったのでびっくりしたが、間違いなく女の子だった。

 黒いショートヘアをなびかせ、大きな瞳で周りを見回しながら、そいつは一礼した。

 それが、彼女。姫武台祐希だった。


 次の休み時間、俺はさんごを捕まえた。

「さんご、ちょっといいか?」

「ん? なにさ」

「姫武台さんに、聞いてほしいことがあるんだけど……」

「ええ? なんだよ、自分で言えばいいじゃんか」

「初対面の女子と平気で話せるもんかよ」

「できるできないじゃねえよ、やるんだよ。おーい、姫武台さーん」

 さんごは言うと、姫武台さんに向けて手をふった。

「おっ、おい……」

 姫武台さんは、まだ誰とも話してない。外部生はお互い辛いもんだ。

「ん、何?」

「こいつが、あんたに聞きたいことがあるんだってさ」

「ええと……君はたしか、熊美くんだっけ? 僕に聞きたいことって何?」

「そう、それだよ」

 俺は思い切って言った。

「自分のこと、『僕』って言う女の子、珍しいなって思ったんだ」

「ええ、そうかな? まんがやアニメじゃ珍しくないじゃない?」

「現実だと珍しいよ。初めて見た」

「おかしいかな。僕って言うの」

「おかしくはないけど……なんで?」

「うーん……理由はないんだけど、癖かな。いつの間にか僕は『僕』って言ってて、いまさら変えられないやって感じ」

 姫武台さんは、照れるように言った。

「ああ、でも、堅い席とかでは『わたし』も使うんだよ。さっきは……そうだね。初めてのひとたちの前では『わたし』って言ったほうがよかったかな」

「いいんじゃねえ? こいつがナンパするきっかけになったんだし」

 横からさんごが茶化してきた。

「あ、熊美くん。これナンパなんだ」

「そんなんじゃないって!」

「冗談だよ。外部生同士だし、すでにできてる輪に入れない少数派同士、仲良くしよう。よろしくお願いします」

「あ、あ。うん。よろしく」

「ああ、なんだか妬けますねえ。ちょっと、一枚いい?」

 そう言ったさんごは、すでに携帯を手にしてカメラを向けてきていた。

さんごはスターシステムです。「なろう」掲載作品に同じ役者が演じるキャラが出ています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←参加しています。面白いと思ったらクリックしていただけると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ