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私立セクマイ高校女装部  作者: 小野寺広目天
第二章 茅大愛
28/47

2-15

 放課後すぐ、海老さんマメさんと合流して、俺たちはラブミさんの家に向かった。

 ラブミさんは妹久間学園前から出ているバスで行く、双子玉川という街に住んでいる。

「なるほど。だが、勘違いとはいえ、俺は千住を許す気にはならんぞ」

 俺はバスの中で、さんごに悪気がないということを海老さんに説明した。だが海老さんは納得しないようだ。

「海老さんは、知ってたんですか?」

「なにをだ」

「その……ラブミさんの秘密のことを」

 俺は聞いた。だが海老さんはすっぱりと切り捨てる。

「知らん。千住の勘違いなんだろう。俺は信じん」

「僕はうすうすそんな気はしてたけどね」

 マメさんが言った。ちなみにさすがにマメさんも今日は女装していない。

「具体的にはわからないけど、ヘテロセクシャルじゃあないと思ってたよ」

「マメ。くだらないことを言うんじゃない」

 海老さんがそれをたしなめる。

 やがてバスが双子玉川の停留所につく。

 そこからラブミさんの家までは、だれも口を開かなかった。

「ここだ」

 駅前から少し離れた住宅街の一軒家。その前で海老さんが言って、そしてチャイムを鳴らす。

「はい」

 俺たちが固唾をのんで見守るなか、数秒待って、返事があった。

「……こんにちは。島海老です」

 ぷつっと、インターホンが途切れる。

「ラブミの声だった!」

 海老さんはチャイムをまた鳴らす。返事がないと知ると、何度も鳴らす。

「海老さん、落ち着いて」

 マメさんがなだめるが、海老さんは聞かずに続ける。

「ラブミ、いるんだろう! 話がしたい!」

 やがて海老さんはいらだちがつのってか、大声で家の中に呼びかけた。

 演劇部で鍛えている海老さんの大声は尋常ではない。耳がきいんとなった。

「わかった、わかったから。近所迷惑だから……」

 インターホンから再び声がきこえると、外門のオートロックが外れた。


「……いまわたししか居ないけど……」

 ラブミさんは寝間着のままだった。髪の毛もボサボサで、ずっと寝床に居たようだ。

「……とりあえず入って」

 リビングに通される。そこそこの広さがあるリビングにはカーペットが敷かれていて、ローテーブルも置いてある。直に座るようにしているのだろう。

「まあ、座れ」

 まるで我が家のように言ったのは海老さん。マメさんやユーキも座り、俺も適当に腰を下ろす。

 立ったままなのはラブミさんだけだった。

「座れよ。話したいことがあるんだ」

 海老さんは繰り返した。

「話すことなんてないよ。みんなが知ってる通り」

「俺はうわさ話を信じない。おまえを信じてるんだ」

 ぼんやりとしたふうに言うラブミさんに、海老さんは即座に答える。

「……どうしても、わたしの口から言わなきゃだめ?」

「だめだ」

「……言いたくない」

「俺も信じたくない。だがおまえが言うことなら信じられる」

「わかった」

 ラブミさんは、目を伏せて、重い声で言った。


「わたしは、本当は男の子でした。今まで騙していてごめんなさい」

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