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記憶の森  作者: sarsha
9/11

(8)ヴォルデオ


◆◇◆


 以前、みなさんにもお話をしたでしょう。遥か昔、3人の勇者がいたことを。陸を愛するメモリアント、海を愛するシーザライス、そして空を愛するスカイロン。


 今日お話するのは、以前ロビンの過去を語った時に出てきた、ヴォルデオという魔法使いのお話。そうそう、少し厄介な者だったので、話を省略してしまったのだ。


 彼の名前は、ヴォルデオ・スピニキオン。魔法使いの中では、超がついてもよいほどの有名人なのだ。と言っても、悪名高い方で、なのだが。


 彼は小さな頃から魔法を得意とした。魔族に生まれたからとはいえ、その魔力は計り知れないものだった。そんな彼は、魔族からも嫌煙された。必要以上の魔力を持ち、それを爆発させる、言わば、危険物だったのだ。


 両親からも疎まれ、友達もいなかった。常に独りだったヴォルデオは、次第に自分の中にある孤独や憎しみを魔力に変えていった。孤独は大きくなればなるほど、力を強力にした。憎しみは大きくなればなるほど、力を増幅させた。人の為の魔術などはいらない。人を傷つけ、壊す魔術を求めればいい。そして、彼の行き着いた魔術が、魔族が言う、いわゆる黒魔術というものだった。


 彼はあらゆる術を駆使して、ある1つの魔術を身に付けた。それが、自由に空間を移動できる魔術。平たく言えば、瞬間移動とでも言えようか。そして、ヴォルデオは、行き着いたのだった。


"他"の世界に。


 誰も為し得ない術。孤独と憎しみが生んだ術。孤独が人の温かさを求め、そして、憎しみの無い世界を求めた。しかし、彼の心はそれでも満たされなかった。そして、最後に辿り着いた彼の結論。


 それが、自分以外の存在を消すことだった。


 自分を認めてくれる人がいないなら、その人たちを消せばいい。自分を受け入れてくれる世界がないのなら、その世界を消せばいい。全てを破壊すれば、自分が否定されることもない。だから彼は、この世を消すことにしたんのだ。私たちを枯らすことで、今までの歴史を、今までの記憶を消すことで、世界を抹消しようとしている。



◆◇◆


「それが、俺とどう関係するって言うんだ……俺は何も関係無い!」


―オマエハヒトリダ


―キエタッテカマワナインダヨ


『関係がある。それは、オマエの中にあるのだよ。メモリアント=ロビン=アンソニック』


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