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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
15章

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無題 おそらくはただの愚痴

 病気の影響か、ステロイド自体が脳に抑制的に作用する効能がある所為(せい)か、脳が不思議な活動をします。気が付くとボンヤリして、銀行に向かって車で移動しているのに、その途中の信号を曲がった先に何があるのか、何処に向かっているのか思い出せなくなり、ワンテンポ遅れて行き先を思い出すという、独特な記憶の引き出しの遅延が生じます。他にも、直前に読んだ段落に出てくる小説の登場人物の名前が覚えられない癖に、翌朝になってみれば自然と記憶が湧いてきて全部言えるとか、するのです。おかしなものでしょう?気力なんかにも影響するみたいで、何かをするのが億劫(おっくう)で、「今日はやめておこうか」と思いながらも毎日の習慣だからと鷹を据え出してその辺で飛ばしていると、だんだん頭に血が上ってきて「やはり雌のオオタカを飼おう!」などと思い始めたりします。つまり、脳に対して鎮静的な働きかけがあるのです。理性でこういう現象を理解して、次に実際に採るべき行動をどうするか悩み、日々を過ごしております。脳に刺激を与えるという意味で、文章作成は有意義なリハビリだと思います。でも、狩場を巡っていたときの方が、もっと頭脳が活性化していた気がしますね。


 30代の頃、北海道の動物病院をたたんだ頃ですね、私は自分の状態を「慢性疲労症候群だ(働き過ぎだ)」と言っておりました。今さらですが、原因のハッキリしない「しつこく続く倦怠感(けんたいかん)」「易疲労性(いひろうせい)」「筋肉痛」「頭のボンヤリした感じ」と、慢性疲労症候群について調べ直してみると、皮膚筋炎とよく似た症状について書かれていることに驚かされます。実際の話で、ロードヒーティングの設置に資金的に挫折(ざせつ)した私は、「雪かきなんて、もう無理」「出来ない」「死ぬかもしれない」、そう思う様に成って、色々と(あきらめ)める決心をしました。北海道のことですから、降雪は突然始まるものですし、やらない訳にはいかず、その後「死にそう」になる。寒さはヒートショックや心不整脈の原因に成る上に、当時の発作の出現頻度は大したものでした。これを、シーズン中に何度も繰り返すことに限界が見える様に成ったのです。つまり、「我慢を続けたら、そろそろ死ぬな」と、なんとなく思い始めたということです。

 当時、心不整脈の話があり、何故か「()が痛くなる」という異常が頻発(ひんぱつ)しておりましたので、循環器、呼吸器、アレルギーにオウム病の心配もあり、あちこちの病院を一度は受診しております。慢性疲労症候群には精神疾患の話があるのですが、中には私に心療内科の受診を勧める医師がおりました。もしも受診していたら、丸っと裏に(まるっとうらに)入っていたかもしれません。いえ、ある意味決定的な異常が何処にも見付からなかったから、「今ならまだ間に合う」と思って愛知県への引っ越しを決意する事になったのです。

 実は20代の中頃、ちょうど大学を卒業する頃にかけての話ですが、やはり倦怠感(けんたいかん)が酷くて、体調が悪化した事がありました。当時、人生最大の汚点と言っていいほどの嫌な出来事があり、実際に問題を起こしておかしくない精神状態を経験しておりまして、私は自分が鬱病(うつびょう)に成ったのだろうと思っておりました。具体的には、1日1時間くらいしか布団から出て来られないほど、体が動かせなくなりました。当時の2月頃にインフルエンザに感染した後、治っているんですが、その後3月に獣医師国家試験の前日に何故か発熱がありまして、これもすぐに引いたのですが、帰宅後に動けなくなったというのが経緯です。つまり、頻繁に虐められた免疫系がトラブルを起こしていた可能性があります。精神的に(つら)かったのが主でしたが、とにかく怠さ(だるさ)が抜けないのは間違いがなかったので、病院にかかりました。私を診察した内科の医師は、私の状態を詐病(さびょう)だと、つまり「嘘をついている」と当てこすってきました。「なんで、こんなにしんどいんでしょうか?」という私の問いに対して、「みんな病気になりたいんだよね」と普通に嫌みを返して(かえして)きたのです。今考えてみれば、自己免疫性疾患で20代の人物ですから、検査なんかしても「異常なし」にしかなりません。私が医者嫌いになったのは、この辺りから始まっております。本当に具合が悪いと、そんなとき、医師相手に怒鳴り返したりする気力なんて湧かないものだという事を経験しました。当時の話ですが、昔は心療内科や精神科が鬼子(おにご)扱い(「あんなものは医者じゃない」)されておりましたので、「それらしい患者」が来院したときに厳しい対応をする医師がいたのも、おかしい事ではなかったのです。「精神力でどうにかせい」というわけです。逆に、理解のある医師だったら、()()()()()を勧められた可能性もあります。もちろん、今となっては全て明後日(あさって)の話だった事が、科学的に証明されたのだと思っております。この時は、寝たきりが2ヵ月と少々続きまして、それでも「治って」しまったので、その後病院にかかる事なく問題が先送りになりました。当時、もしも大学病院を受診していたら、人生が変わっていたかもしれません。ああ、獣医師国家試験は一発合格でしたよ?試験に落ちたとか受験出来なかったとか、そういう話ではありません。

 たしかに、膠原病は、医師側からしても診断がしづらく、実際に患者は「つらい」のですが、理解されにくく、肉体的のみならず精神的にもつらいことのある病気だと、私の人生ふり返ってみると、つくづくそう思います。もちろん、「いつからあった異常とみるべきか?」で話は変わってしまうんですがね。

挿絵(By みてみん)

病後に一週間ほど、四国旅行をしたときの写真です。白色レグホンの血を入れた尾長鶏は、珍しいと聞いております。今も残っているのでしょうか。


参考文献

MSDマニュアル家庭版, 慢性疲労症候群, https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home


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