よしなしごと 鷹と鷲
鷹の雑学。
昔から言いますが、図鑑を見ても「ハゲタカ」という鳥はおりませんで、「ハゲワシ」という鳥についてのみ説明があります。実在するのはハゲワシの方です。ハゲワシは肉を食べる猛禽類ですが、狩りを行わない屍肉食のスカベンジャー、自然界の掃除屋です。平和な生き物です。御存知、「屍肉に群がるハゲワシ」というところを「屍肉に群がるハゲタカ」と、世間のみなさんは間違って言います。言い間違えでない、実在するハゲタカは、二足歩行を得意とする飛べない哺乳類の一部のことです。こちらは、悪いイメージの付きまとう人たちのことですな。「屍肉に群がるハイエナ」とも言いますが、今度はハイエナは実在する動物なので、「そっちが可哀想」になってしまいます。
よく、「鷲と鷹の違い」を聞かれるのですが、割とフワッとした話になります。ひとつは単純に大きい鳥たちを鷲と呼んで、小さい鳥たちを鷹と呼んでいるというものです。オオワシ、オジロワシ、イヌワシが、だいたいそんな感じで鷲です。それより小さいのが鷹と言われたら、そんな気がしてきます。次に出てくるのが鷹斑の有無です。風切羽や尾羽、体幹にある模様のことです。幼鳥の頃だけでもいいから、そういう模様が見られる鳥種を鷹と呼称します。クマタカのような大型の鷹が、鷹と呼ばれる理由はその辺にあります。逆に、ハリスホークやハイタカの雄がそうですが、幼鳥の頃には鷹斑が認められるのに、翌年以降で換羽が始まってしまえば目立たなく成るか消えてしまう鳥種もおります。よくあるんですが、ハリスホークの成鳥は同じ大きさの写真を二枚並べたらイヌワシみたいに見えます。ハイタカの雄は、どうかすると鷹だと気付いてもらえないほどの衣替えをしてしまいます。知らない人ほど、鷹と鷲の違いが分からなくなります。こんなだから、ハゲワシとハゲタカの取り違えが起きたりする訳です。
猟期の最後、連日の渇水報道が続く中にようやく降った雨の日に、私は出猟を見送り、鷹たちには放り餌をして一日を過ごしました。いつもなら、獲物を探して回った天気です。もちろん、鷹たちだってやる気をみなぎらせている。体調が悪いとかではなかったので、「気分が乗らない」としか言いようがない。こういう変化を、あとどれくらい経験していくんでしょうね?
ハイタカの雄成鳥です。この鷹を、桃花鷹と言ったのだという説があります。




