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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
11章

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飛梟回生

 「ああ、やっちまったな」と思ったのは、3日目の夕方のことでした。鷹の排泄物は、便、尿酸、尿の3成分から成ります。このうち、便が全く含まれていない、一部血の混じった粘液と尿酸と尿のみ排泄されている状態が3日続いたのです。


 ハンドレアードの鷹は、自身が同種と見なした競合者である飼い主の前では、羽毛や皮、関節を含んだ口餌を、ゆっくり解体して食べる代わりに、あたかもカレーやハンバーガーを食べているみたいに流し込む様に丸飲みする傾向があります。つまり、「根性のある」食餌を大量に摂らせると、胃より下流の消化管内でペリットの素材が詰まり、閉塞が生じるのです。ええ、飛梟(とび)のことです。

 これを避ける為に、「食餌はよく刻んだ物を用意し、一度に大量に与えない」「あらかじめ、足界(あしざかい)(レッグ)などを与える際は、ハサミで骨を刻んでおく」といった予防策があるのですが、飛梟(とび)は拳の上での操作、つまり餌合子を取り上げたり、口餌をガッチリ握った状態で食べさせるといった行為に対して攻撃が発生する鷹だったので、「一度に食べ難さを感じるほど大量に与える」「刻んでないハードな口餌を提供する」という方法で対応しておりました。こうやって、鷹が眼前の課題に「取り組んで」いる間、両足と口が塞がって気が逸れている内に、ジェスを保持し直したり大緒を結び直していたのです。


 十鷹十色(じったかといろ)と申します様に、鷹にも個性があり、こういう方法でなければ鷹が足元で行われる諸々を許容しなかったのです。とはいえ、猟野に連れ出して獲物を捕らせてからは、激しい行動がナリを潜め始め、呼べば手元への戻りも良く、「いい感じ」に成っておりました。連れて行ける狩場に獲物を見かけなくなっておりましたが、「次の猟期が楽しみだ」と思えるところまで来ていたのです。

 ここで思い出していただきたい。私のジンクスです。「おまえも、すっかり使える鷹になったな」「素晴らしいものが見れた」、私の場合、何故かそれをやったオオタカには、次の猟期がなかったのです。どんどん、毎日鷹が良くなって行く、その(さま)を眺めて、「嫌な予感」はしておりました。予防方法はあったのですが、過失と言うには微妙で「ほぼ」不可抗力です。この鷹を扱う以上この操作でやるしかなかったという意味で、仕方がなかったのです。ハンドレアードの荒れた行動を修正するために、食べるのに時間の要る物を与え、じっくり落ち着いて食べる様に教育して行く、「課題」の提示の仕方としては、なんら間違っておりません。


 オオタカには「運」が要ります。調教に苦労するか、長期間飼っていられるか、大概「いいもの」に限ってリタイアするまでの期間が短くなります。


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