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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
10章

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猟野にて 病院とわんわん

 病気の性質上、全く病院にかからない月というのはありません。4週間に一度は予定があり、都度病院(動物病院)を休みにして病院(人間の病院)にかかっております。私は昭和の生まれなので、「仕事を休む」という行為に罪悪感を覚えてしまうのですが、さすがに「これはしかたがない」、大手を振って休む事にしております。


 猟期に成り、退屈な通院にも楽しみが加わりました。鷹を連れて行けるのです。予約は朝一番の診療グループで、採血は前日に済ませてあります。体感上異常が無ければ、検査結果を聞いて処方箋をもらって帰るだけになるのは、おおよそ予想が付いております。「そのつもり」で出かけます。

 出かけるのは夜が明けたらすぐくらいに成ってしまいますが、9時半には開放されて病院駐車場の人です。車内にはわんわん(わんわん)が待っております。「さて、何処に行こうか?」となるのですが、これが難しい。元々、私の通院している病院の近辺は銃猟禁止区域で、そのど真ん中に何故か病院が出来たという順番で、今に至っております。周辺は水田で、昔は養魚池もかなりあり水路ありと、見渡す限りそんな感じだったのは今は昔の話です。池は埋め立てられてしまいましたし、浚渫(しゅんせつ)工事の(たび)に水路から鳥たちの潜む植物群が無くなり、町が近いので都市型のカラスが群れでおりますが、鴨をすっかり見ない場所に成ってしまいました。


 「そうだ、○○へ行こう」。時間だけはたっぷりあったので、豊橋市を出て蒲郡市を通過し、幸田町を抜けてと、シーズン中数回寄ればいい方という遠方の狩場に向かいました。「行ってみよう」と思ったのは、やってみれば自分の体力的な上限が分かるからという意味もありました。

 おおよそで11ヵ月ぶり、最後に来た時は真砂(まさご)と一緒で、ちょっと思い出の場所です。はたして、鴨、鴨、鴨、久しく見た事のないたくさんの鴨が、そこに居ました。元は水田だったものが畑作に切り替わった農地には、水路が縦横無尽に残っておりまして、その1メートルあるかないかの細い水路に鴨がポツポツと数羽ずつの群れで居るのです。そこいら中です。

 しかし、しかし、こんな時に雄の鷹の選好性が顔を出してしまい、わんわん(わんわん)なかなか捕ってくれません。居るんだけれど捕らない。ひと()せ、ふた()せ、()(かず)が増えていきます。しかし、この場所には、まだまだ獲物が居る!とうとう、ハシビロガモを捕らえました。

 驚いたのですが、鷹が獲物を捕らえた途端、近隣に潜んで居たカラスどもが騒ぎ始めました。空が真っ黒になる(ほど)の数と密度です。こういう威嚇(いかく)の仕方があるから、カラスもそうするのです。いいえ、私の住む土地ではカラスも数を減らしてしまいましたから、久しく見なくなった光景でした。ええ、凄い数でした。私は、「こんなもの」を見て「素晴らしいものを見た」と思ってしまう日が来たんだなと、何とも言えない感慨に胸を打たれながら、その地を後にしました。


 以前ならば、シーズン中数回は出かける事のあった場所だったのですが、どうやら体力的に1回で()めておいた方が良さそうだと思ったのは蛇足です。世の中、獲物は居ても病人には厳しい場所が多すぎる。

挿絵(By みてみん)

青空に映えるチョウゲンボウです。

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