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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
7章

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その後のわんわん3

 世の中の変化を嘆くしかない話ですが、わんわん(わんわん)の失踪事件の原因と成ったトラクターについて、世間は割とどうにも成らない所まで来てしまった事を、他でもないわんわん(わんわん)が教えてくれました。


 さすがにトラクターは避けたのですが、リハビリ兼ねて出かけたフィールドのあちこちで、わんわん(わんわん)には、トラクターと同様の忌避(きひ)(しめ)す車種がある事を知りました。どうやら、ガラス張りに成った、運転席に四角いフレームのある車が駄目のようなのです。

 フォークリフト、バックホー(ユンボ)、ホイールローダー(タイヤのブルドーザー)、乗るタイプの大型乗用草刈機。これらが全て駄目らしいと気付くのに、しばらくかかりました。気が付いたら、嫌がるときの大羽(おおは)ばたきによって、わんわん(わんわん)尾羽(おばね)(ゆが)んでおりました。

 フィールドで見かける限りそうでもない様に見えたのですが、ネットで画像を検索してみたら、なるほど納得です。全て、運転席周囲の枠組みとガラス張りが、新しく嫌いになったトラクターと似ている。遠近大小(えんきんだいしょう)の違いを除いたら「同じ物」に見えるのです。なんなら、塗装の様子も変わりない。私は、わざわざネットで画像を検索して比較する事でようやく納得しましたが、鷹の目からは、一瞬で「同じ」に見えていたらしいのです。


 鷹によって個性があり、調教をしていても「何を嫌がり出すか分からない」と言います。人の方で、鷹が嫌がっているのに気付かず、徴候を無視してゴリ押ししようものなら大羽(おおは)ばたきされて大惨事は請け合いです。

 もちろん、調教によって改善させることは大事ですが、「出来ない」となれば鷹の個性として「付き合って」行く事も大事なのです。老鷹たるわんわん先生には、いよいよトラクターとは縁の無い穏やかな老後を過ごしていただく事にしました。「もう、世の中の変わりようには付いて行けんよ」と、鷹の嘆きが聞こえてきそうな話です。


 近頃では、畑も水田もトラクターなどが現れて危険なので、もっぱら風の無い日なら、海の近くに連れて行って飛ばしております。さらに、近くに太陽光発電の施設なんかがあると、なお良いですね。絶対に、近辺に農業機械が現れる可能性が無いからです。あまりイメージの良くない施設ですが、意外な所で役に立つ事を知りました。

 逆に、意外な注意が必要な事が判明したのが、海沿いの水路に設けられた排水機場です。普段全く使われておりませんが、増水時にはディーゼル機関で稼働する排水ポンプが始動します。それほど五月蠅(うるさ)いという事はなかったのですが、どうやら「わかる」らしく、一度だけ、距離を取って移動されたので車で迎えに行った事があります。同じくディーゼルエンジンで動いているトラクターを、警戒したのでしょう。鷹の姿を見つけ、普通に拳に呼んで、鷹も戻ってきて、それだけの話だったのですが、目元を険しくする代わりに「とても不思議そうな」顔をしていたわんわん(わんわん)が、印象に残りました。

 いいえ、私はその時その音がディーゼルだと分からなかったのですが、あとで調べてみて「そうである」と仕様書の方に書かれていたので、問題があった事を知りました。何気(なにげ)に老鷹わんわん先生、本当に優秀なのです。


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