表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捜鷹記  作者: 檻の熊さん
6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/79

蒼穹12

ハヤブサの放野。

 わんわん(わんわん)が見付かり1週間が経った頃、保護収容から14日が経過したところで、ハヤブサを放野しました。当初490gしかなかった体重が710gを超えたところで計量を止め、その時点で既に施設内では何ら飛翔に瑕疵の見られない状況であったので、「あとは太らせるだけ」、モリモリ食べさせて肥え太らせての放野でした。

 保護した場所がほど近い、しかしカラスの群れとは御縁(ごえん)の無さそうで、何なら逃げ込む山林もある場所を選び、ハヤブサの入れてあった箱を開けます。戸惑(とまど)いながらも箱から飛び出したハヤブサは、初速が遅い鳥種なのでヨタヨタとスタートを切り、次第に加速していきます。この鳥種は、まっすぐ飛んでいく代わりに、旋回(せんかい)しながらスピードを作り高度を上げていきます。はたして、進行方向からターンを切り、こちらの方に迂回(うかい)しながら戻って来たと思ったら背後(はいご)の山の方へ飛んで行き、そこから(さら)にターンして高度を作り、(さら)に飛んで行った先の山の山頂を越えて飛び去っていきました。(きわ)めて広い空間を立体的に使用した、屋内では確認する事の無かった、力強い素晴らしい飛翔でした。


 これで残る弱った鷹は、わんわん(わんわん)だけと成りました。見付けた時点で、ロスト前に740gあった体重は545gまで下がっておりました。1年目の猟期の頃であっても、ここまで下げた事の無い落鳥(らくちょう)寸前(すんぜん)の低い数値です。ほぼ飛ぶ(ちから)の無い状態でした。私はギリギリで間に合ったのです。

 発見は本当の偶然で、前日と前々日にかけて、捜索の範囲を広げた私は、昔からよく実猟を行った事のある細い河川の近くで鷹を探しておりました。その場所の近くに、その辺りの地域だと1件しか無いコンビニチェーンの店舗がありまして、買い物をしていたのです。本当に馬鹿げた話なのですが、二度ほど寄って適当に何かを買って飲んで食べてという事をしていたのですが、自宅に戻って調べてみると、季節限定のコラボ商品なる物が売られているという。店舗でそういう物を見かけた覚えが無く、ちょうど夕飯を買いに出る時間だったので、足を伸ばしてそこまで出かけたところ、その帰り道に、自然と捜索していた場所の方を回って帰ろうとするからなのですが、問題の場所、鷹を呼んだ事のある場所から道路を挟んだ反対側の、港の近くにある外灯(がいとう)の下の地面に、一人寂しくバッタを食っている、わんわんが()たのです。いわゆる「ぼっち飯」をしていたのです。


 保護してしまえば、(あと)はこっちのものです。ハヤブサと同じ事をして復活させるだけです。さすがに若い連中の様な体重の戻り方はしませんが、回復は順調で、これを()に隠居させようとも思ったのですが、まだまだ彼の気力は衰えるものではないらしく、ちょうど猟期に突入した事もあり、猟果を手にするところまで戻す事が出来ました。青い空を、(うら)めしげに眺める日々は終わったのです。

 そうそう、ロスト騒動の原因となった私の左眼の件ですが、捜索3日目にちょうど採血の為に受診予定があり、そのどさくさで眼科の受診も済ませてしまいました。おそらく原因は、皮膚筋炎の治療の一環で飲む事になった抗凝固薬にあり、こちらの副作用による充血と出血で、血が止まるのを遅くする(ため)の薬ですから、ものすごい外観に成ったのだろうという事でした。当時、眼圧その他に何ら異常は見付からず「1週間くらいで治るから」と太鼓判(たいこばん)を押されて帰されました。処方された点眼薬を使用したところ、眼の赤みは急速に消退を始め、5日くらいで、だいたい元の外観を取り戻しました。実に人騒がせな話でした。いいえ、無我夢中で野山を走り回っているうちに、引っ込んでしまったと言った方が正しいのでしょうか?

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ