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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
6章

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蒼穹11

わんわんの帰還。

 事情はそれぞれ異なるし、不可抗力的な要素は多々あったのですが、わんわん(わんわん)のロストは実はこれで3度目で、6年前と7年前にそれぞれ一度ずつ、行方不明になっております。


 一度目は、飛ばしていると何処からともなく現れた野生の鷹に「持って行かれて」しまい、そこに近くに居たカラス連中が集まってきて修羅場、もう何が何だか分からない状況に成り、行方不明になりました。この時は、3日後に近くの水路に「カラスのなる木」を見付けまして、中にわんわん(わんわん)が居るとは思っていなかったのですが、車のドアを開けて外に出ようとすると、開けたドアの上で私を待っていてくれました。

 その翌年、隣市の豊橋市以内でもロストしました。当時は猟期で、強い風の吹いている日でしたが、町には建物等による遮蔽物がかなりあり、そういう場所に鴨が集まる事があるので、それを捕ろうとしたのです。鷹の性質上、獲物の捕獲に失敗すると、高所に止まって水面に残った獲物が居ないかジッと眺めています。これをやろうとして高所に上がったところ、あまりにも強い風に流されてしまい、行方不明になりました。この時は山一つ超えて吹き飛ばされてしまい、5キロに満たないくらいでしたが、隣町の市街地で合流しております。()(てい)に言って偶然(ぐうぜん)だったのですが、風向きから、風に逆らっての移動が考えられなかった事や、カラスの騒ぎ具合から推測して行って、ロスト当日から2日後に、最終的に合流を果たしています。いえ、上空から鷹が「降ってくる」という、中々体験しがたい合流の仕方でした。


 この話をすると、「よく見付けてくるものだ」と言われます。真砂(まさご)のロストの時もそうですが、私、「生死を問わず」という事であるならば、ロストした鷹を全て回収しております。少々問題がありまして、ロストしてしまった事にした死亡鳥というのが過去におりましたが、事実上10割の回収率です。この数字は、世間の常識からするとオカシイらしく、「こんなに見付かったりしない」という事もよく聞かされてきました。どういう訳か、私と鷹たちの縁は強いらしいのです。「あいつらにはな、『魂』という名の発信機が付いているんだ!」と(うそぶ)いていたのは、私のおごりと言うべきか、過信(かしん)と言うべきなのか、よく分かりません。


 事情を考察してみるならば、理由の一つは、私の暮らす土地には、海があり山があります。これらが鷹の移動を(はば)むらしく、()く先が限られてしまい、あきらめずに探していれば、いずれ自分で見付けるか鷹の方で見付けて近付いてくるかしてしまうらしいのです。

 理由の二つ目は、農村部なので、住んでいる人たちが限られ、横の(つな)がりがとても強い地域に暮らしているという事でしょう。ひとたび「鷹が居る!」となれば、電撃の速さで私の所に連絡が入るという背景も一役買っているらしい。冗談でなく、110番通報よりも先に私の所の電話が鳴るのです。「じゃあ、豊橋市内ではぐれた鷹と、何日もかけてキロ単位先で合流してのけたのは、何なのよ?」と、なってしまう(わけ)ですが、こちらは(ただ)のレジェンド、不可思議な(えん)(もっ)てこの鷹とは(きずな)が結ばれているんだろうとしか説明のしようがありません。


――――――本当に(あきため)めていたのですが、(まった)くの偶然から、捜索12日目の夜、10キロ離れた場所にある漁港の近くの外灯の下で、一人(さみ)しくバッタとおぼしきを食べていたわんわん(わんわん)を見付け、私たちは再会を()たしました。


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