入院4
入院当初の、「朝から絶食絶飲して検査」、「今日も絶食、検査」、「今日は、1日10件以上の検査と受診のオーダーが入っている」といった状態が終わりますと、3食が提供される様に成り、定時の検診とかはありましたが、「何もしないでベッドの上で寝ていれば良い」という日々が始まりました。最後の2週間ほどは、行うべき検査が大体終わってしまいましたので、そんな感じで過ごしました。
このころ、血液検査を繰り返しながら、週ごとに高用量ステロイドの減薬が行われていました。治療への反応は良好で、入院当初に見られた、「機械工の手」と呼ばれる独特な両の手のむくみや腫れが消え去り、再び物が握れるように成り、「箸で豆がつまめるように成った!」と看護師の方と話したのを覚えております。同時に、(しばらくぶりに)片手杖が握れるように成ったので、いちおう入院の際に荷物の中に混ぜてあった杖を引っ張り出してきて、院内を散歩する事が出来る様に成りました。残念ながら、手だけでなく足にもあったむくみや腫れが引いてくれたのですが、今度はそこから痩せてすっかり無くなった筋肉が観察出来る様に成り、それはつまり骨を守っていた構造が減った事を意味するのですが、病院のコンクリの床が硬すぎて足元の緩衝が機能せずにすぐに痛く成ってしまいまして、入院期間中はあまり歩き回ってリハビリをする事が出来ないでおりました。まあその、院内にあるコンビニを利用する際に出歩くくらいが関の山という運動量でしたね。
そうは言っても、すっかり筋肉が減り、体重も減り(入院前にやや減って68キロだった体重は、食事が摂れる様に成ったにも関わらず、退院時には58キロに成っておりました)、見るからにやつれきった有り様ではありましたが、痛みを伴わないで体をひねるなど割と自由に体が動かせる様に成り、腕も持ち上がり、指も達者に動くしで、私は鷹を据える姿勢を作って投擲する動作をせっせと繰り返しながら、そんなリハビリを入院室で行っておりました。12月の末頃、来院のあった鷹の飼い主の方との世間話で「近頃では、とうとう鷹を投げる事が出来なく成りました…」なんて会話をした覚えがありましたから、かなりの改善です。「もしかしたら、なんとか成るかもしれない」━━━━━━そう思う様になり、一度は自分の生存を諦めての入院でしたが、「ようやく」と言うべきか、生きる希望を、退院後の生活を考える様になりました。




