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捜鷹記  作者: 檻の熊さん
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入院

入院した。鷹たちと引き離された。

 「これで休める」、それが入院室のベッドに通されたときの感想でした。

 何から書いたら良いのか…。鷹を飛ばすのを諦め、入院前提のつもりで近所の総合病院を受診するも診断以前の状態で「異常なし」とされたのが、大学病院に入院する2日前のことでした。点滴だけ入れられて帰され、精根尽き果てた私は、そのまま自宅でぐったりとしておりました。自分自身、それが異常である事は理解しつつも、「なぜ?」という辺りが分からず、しかし「これは、死ぬのではないか?」と流石に思ってはおりました。

 転帰と言うのでしょう、夕方になって知人が見舞いに現れました。手にバールを携えて。後で聞いた話ですが、「玄関扉が閉まっていたら、ガラスを割って入るつもりだった」そうです。私自身はソレナリに振る舞っているつもりでも、端から見たら異常なのは一目瞭然、それくらい状態は進んでいたらしいのです。当時の話、知人ご夫婦の夫の方だったと記憶しておりますが、ヘリオトープ疹で人相の変わった私の顔を見て(それ以前に、横になったまま起き上がれないんですが)、「これは、ただ事ではない!」と確信を得たそうで、そのあと、さらに共通の知人のところに話が飛び、そちらの知り合いに大学病院に勤める膠原病の専門医の方が居たのです。嘘みたいな偶然でバトンが繋がり、日数的に余裕が無い中、最短ルートで治療が受けられる事に成ったのです。


 当日の話ですが、私は予定通り、約束の時間までに、いつもは屋外に繋留する鷹たちを屋内の個室にそれぞれ繋留し、放り餌で給餌を行い、迎えを待ちました。大学病院で診察を受けて入院の話は担当の医師と前日には既にまとまっており、自力で病院に辿り着ける状態になかった私は、知人に病院まで運んでもらったのです。その後の鷹たちへの給餌も、全部知人たち━━━━━━4人くらいで交代しながらやってくれたと聞いております━━━━━━に、お願いすることになりました。

 大学病院には午前中には到着したのですが、待っていたのは消化するのに7時間かかった検査群でした。病気の性質上、ステロイドを使用するのですが、その前に済ませておかないと様々な変化が起きてしまい、診断が出来なくなるという理由から、済ませておくべき検査というのがそれくらいあったのです。「例えば」ですが、一番最初に行われたのが採血で血液検査だったのですが、用意された採血管が26本並んでいたと書いておけば、私の病気がどれくらい特殊な部類のものであったのが御理解いただけるのではないかと思います。


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