色欲
後ろにはキメラのような物が居た。
羽の生えたでかいライオンだ。爪は人くらいなら貫けるだろう。
それは既に片腕をあげていた。
「ッ!」
ソラはリーブを庇う形で即座に避けた。
「チッ、惜しいかったわね」
そしてうしろから身長が高く、赤髪でロング、ヴァイオレット色の目をした女が出てきた。
「何なのよ、困惑する顔を見ていたいのに、あんたが邪魔するから」
(リーブがああ言ってなかったら、避けられなかった。まさか、僕の魔力感知をくぐってくる、いや違う、この生命体魔力がない?)
「チッ...まあいいわ、まだそのままで。
お前、男の方をやりなさい」
そう言うとキメラが動き始めた。
「なんなんだ...逃げないと...」
それがこちらにどんどんと近づいてくる。
「って...は?
ソラ君?」
そこには、ライオンもどきを川の方に殴り飛ばしているソラの姿があった。
(え?いやさすがにそれは人間じゃ無理じゃ)
「ソラ...ああ、あなたが、ナイドを...あとあいつが殺せって言ってた。通りで強いわけだ」
そうケーシは呟いた。
「リーブさん、後ろに向かって早く逃げて」
「え?」
「早く」
「あ、ああ」
リーブは言われるがままに逃げていった。
「追わないのか?」
「先にあなたをどうにかした方がいいでしょ、あの子の場所なんて私からしたら丸わかりだし」
「そうかい」
「『異空間操作』」
空は白く、周りは永遠に続くんじゃ無いかと思わせるほど広い空間。異空間操作の応用である。
生物のみに対象を絞り、異空間に移動させるという物だ。
「あんな場所じゃ、周りに迷惑だからな」
「まあいいわ、私はケーシ、あなたも私のタイプに変えてあげる」
自分の名前を大声で宣言した。
「騎士のつもりか?」
「騎士道なんて私は嫌いよ」
ケーシは下を向き、にやりとした。
「悪手だったわね、私以外の生物ももって来るだなんて」
(アヴィリティ『色欲』能力)「『色欲』」
そうして、ケーシは下に手を付けた瞬間、そこから、化け物が何十体も出てきた。
「色欲だと?」
(七つの大罪はあくまでアヴィリティ名のはず、まさか能力が1つしか無いのか?
それはつまり、その1つの能力は馬鹿強いと言うこと)
1つのアヴィリティが持つ能力数は3つとは限らない、アヴィリティによっては5つを超える物や1つしかないものなどがある。そして1つしか能力が無い場合はアヴィリティ名と能力名が合致する事が基本的。アヴィリティは結構強さに差が出るが、ソラの経験則的に、1つしか能力を持たないアヴィリティは。
クソ強い。
「お前ら、あいつを捕らえなさい」
「なるほど、触れた相手を異形な形に変え従えているのか、リーブの事も考えると、改変系の能力もあるな、良い性格してるじゃん」
(自分の名前を叫んだことを考えるに、自分の名前を聞かせることが能力の発動条件の1つで、触るといろいろといじくれるのかな?)
「だが、量だけなら魔術で...」
「そりゃ、そうか」
キメラ達の後ろから異形な女の姿が見えた。
「私がただ指示しているだけだと思ったの?」
脚は何かの鳥かのような、背中に鳥の羽のような物があった。
とっさに回避をしたが、敵は迫ってくる。
(一度触れられたら終わりのガチ鬼ごっこっか)
(第2程度の肉体強化だときついな)
「第4階梯魔術『肉体強化』」
ソラは逃げながら自分の肉体をさらに強化した。
「この程度の奴なら」
そういって、周りのキメラを倒すために。第2階梯魔術『火弾』を飛ばした。
ソラにとって第2程度の構築は基本的に簡単なため脳内で完結できる。
このまま火弾を撃っていけば、ソラの勝利である、だが戦いはそう単純ではない。
ケーシは少し大きい瓶を取り出した。
その瓶には脳が体に比べて非常に発達した小さな虫がいた。
「正直こいつらは見たくないけど、圧倒的な物量ほど強い物は無いからね」
突如ケーシの周りに1万など優に超えるだろう数のキメラが生み出された。
空を飛ぶ化け物、地を這う化け物。それが満遍なく散らかった。
「なるほど、小さい生物を瓶の中に入れ、そいつらに見ることによって、キメラを大量に生み出したか」
普通圧死するだろう、だが生きているのは一度触られて圧死しないように作り替えられたのだろう。
「多重魔術 第2階梯魔術『火弾』」
それは、何十と起動された。
火力は低いが、広範囲に持続的な攻撃が可能。
「脳が...」
キメラがどんどんと死んでいく、このまま行けば三分程度で片付くだろう。
しかし持続的故魔力消費が激しい、ソラにも厳しい物があった。
「まだ、2割もやれていない、これじゃ先に魔力切れになるのが落ち」
(あれを…いやまだ条件が足りてないんだった)
ソラは火弾を撃つのをやめた。
(あいつがここまで来るのに10秒は掛かるだろう、それなら十分出来る)
(魔力残量が7割程度、現在残っているうちの8割程度を使えば大丈夫だろう)
「『空間操作』」
「第5階梯魔術」
その構築は目ではっきりくっきり見えるほど濃い、しかしサイズは人くらいの円。
「あれで、キメラを全員殺す気!?だとしたら私もここに居たら不味いかも、早く上に...」
「『超加速魔力弾』」
その一直線上にある物質が人知を超えるような速度で動いていった。
「!?」
その瞬間周りに衝撃波が生まれる。あまりの爆音が響き渡った。普通ならただじゃ済まないだろう。
「思った以上だ」
そこには、キメラの残骸であろう物が散らばっていた。
(研究途中だったし、空間操作で空気抵抗減らしたり、自分を守れるか分からなかったけど。どうやらうまくいったようだ)
「さて、あいつは?死ぬことは無いと思うから早く封印しないと」
その衝撃波もあり、多分もう虫などの生物は居ないだろう。
「見つけた」
塵が下にある首だけのトルソーのような物をソラは見つけた。
「分かってはいたが、ここまで来るともはや呪いだな」
「化け、物」
「どっちがだよ」
「まあいい」
ソラは刀でトルソーを刀で切り裂いた。
「さ、わ…れ」
「え?嫌だけど、じゃあね」
「さわ、れ」
ケーシはその単語を何度も呟いた、呟くように小さい声だ。しかしそれは誰かに指示をしているような物だった。
「多重、いややめておこう、第四階梯ま...」
トン。
「え?」
ソラは即座に振り向き、それと同時に蹴りを入れた。何もそこには存在しないが感触はあった。
地面には原型のあるキメラが倒れてた。
バラバラのケーシの目の部分がこちらにギロッと向いた。
「幻覚魔術?」
(いや、何も問題はないはず...は?)
色欲:自分の手で触れたものを自分の思うままに改造でき、自分の思うまま動かせる。ただ、改造相手には自分の存在を認知させる必要がある。改造や動かすには、自分の視界に入れないと行けない。
読みにくかったら何か指摘ください。
ケーシさんの能力は僕の性癖の1部分から作りました。




