92話 高天原への招待
春のある朝、仲間たちのもとに、奇妙な手紙や伝承が次々と舞い込んだ。
それはまるで、遠い高天原からの招待状のようだった。
夢で見た神々の声、土地に残る古い伝承、SNSに現れる謎のメッセージ――
それぞれが導かれるように、「高天原」や「国生み」の地を探る旅へと歩み出す。
カナエ:月の巫女と高天原の手紙
図書館のカウンターに、差出人不明の封筒が届いた。
中には、古びた和紙に墨で書かれた一節。
「天の浮橋に立ち、国生みの謎を解け。天津神と国津神の道は、再び交わる」
カナエは思わず真由に見せた。
「これ……夢で見た天の浮橋と同じ言葉だわ」
真由が小声で囁く。
「町の古老が言ってた。“この土地はかつて天津神の巫女が降り立った場所”だって」
カナエは胸の奥がざわめくのを感じた。
涼太:伝承の地を巡る
涼太のもとには、地方の郷土史家から連絡が入った。
「高天原の比定地をめぐる調査に協力してほしい。地元には“天津神の降臨伝説”が残っている」
涼太は資料を読みながら後輩と語り合う。
「天津神は天上界から地上に降りて秩序をもたらした神々。国津神は地上に土着し、各地の有力な神として祀られてきた。
でも、記紀に記された伝承は、時に変容し、本来の姿が失われていることも多い」
後輩が言う。
「現地の伝承を直接聞いてみましょう。“天津神”と“国津神”の違いが、今も土地の人の心に残っているかもしれません」
カオル:大地の神と国津神の声
カオルの村では、春祭りの準備が進んでいた。
長老がカオルに語りかける。
「この土地には、天から降りた天津神と、もとからいた国津神の両方が祀られている。
天津神は空の彼方から、国津神は山や川、田畑に宿る」
カオルは畑の土を握りしめる。
「俺たちの暮らしは、国津神の力に守られてきた。でも、天津神の祭りも大切にしてる。
……両方の神が共にあることで、この村は成り立ってきたんだな」
レナ:SNSに現れる「天つ神」のメッセージ
レナのSNSには、謎のアカウントから連続してメッセージが届く。
「天つ神の声を聞け。国つ神の地を訪ねよ。
高天原の扉は、今ふたたび開かれる」
デザイナーが画面を覗き込む。
「これ、全国の伝承マップと連動してるみたい。各地の“天津神”と“国津神”の祭りや伝説が、リアルタイムで投稿されてる!」
レナは興奮と不安を胸に、全国のネットワークを辿り始めた。
サラ:舞と祈りの導き
サラは、文化センターで祖母とともに古い舞を稽古していた。
祖母が静かに語る。
「この舞は、天津神を天に、国津神を大地に祀る儀式。
サラ、あなたも“国生み”の地を訪ねてみなさい。
きっと、舞の源流が見えてくるはずよ」
サラは舞の所作を繰り返しながら、心の奥に響く神々の声を感じていた。
旅立ちの決意
その夜、仲間たちはオンラインで再び集う。
カナエ「私、天の浮橋に導かれている気がする。高天原の謎を追いたい」
涼太「現地の伝承を調べて、天津神と国津神の違いを探ってみる」
カオル「村の祭りで両方の神を祀る意味を、もっと知りたい」
レナ「SNSの“天つ神”アカウントが、全国の伝承をつないでる。私も現地の声を発信する!」
サラ「舞の源流を求めて、“国生み”の地を訪ねてみる」
悠馬が静かに言う。
「みんな、それぞれの土地で“はじまり”の謎を探ろう。
高天原と国生みの真実が、きっと未来への道を照らすはずだ」
こうして、仲間たちは夢と伝承、謎の手紙やネットの声に導かれ、
天津神と国津神の物語が交錯する「起源の地」へと旅立っていく。




