表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/101

76話 決断の朝、和解の光

夜明け前の静寂が、町全体を包み込んでいた。

“記憶の橋”の仲間たちは、それぞれの場所で自分の選択と向き合い、神話や身近な人々の言葉から再生のヒントを得ていた。

そして、冷たい冬の朝、彼らは再び集会所に集まることを決めた。

そこには、これまでとは違う、静かな決意と温かな光が宿っていた。


集会所の扉を開けて最初に入ってきたのはカナエだった。

彼女は両手に、昨夜子どもたちと作った折り紙の太陽を抱えていた。


「おはよう、みんな。今日は……なんだか、昨日までと違う気持ちでここに来たよ」


次にやってきたのは涼太。

手には分厚いノートと、古事記の資料が挟まれている。


「おはよう、カナエ。僕も、昨日はずっと自分の弱さと向き合ってた。だけど、神話の中の神々みたいに、迷いながらも進んでいこうって思えたんだ」


カオルが、畑仕事の手袋を外しながら入ってくる。


「みんな、おはよう。俺も父さんと話して、やっと自分の道を選ぶ覚悟ができた。迷っても、家族も自分も大切にしたいって思った」


レナが、スマホを握りしめて現れる。


「おはよう! 私も、SNSでいろんな人の声を聞いて、自分の発信を信じてみようって決めた。賛否両論があっても、私らしく伝えていきたい」


最後にサラが、祖母と手をつないで現れる。


「みんな……おはよう。私も、祖母の話を聞いて、選ぶことを怖がらないって決めた。どんな結果でも、きっと新しい未来が生まれるから」


全員が揃い、集会所には柔らかな朝日が差し込んでいた。

しばらく静かな時間が流れる。

やがて、カナエが折り紙の太陽をテーブルに並べながら口を開く。


「昨日まで、私はみんなと本音でぶつかったことで、すごく怖かった。でも、今は、みんなと一緒に悩んで、選んでいくことが大切なんだって思える」


涼太が、ノートを開いて語る。


「僕も、知識や神話に逃げていた自分を認めるよ。でも、みんなの話を聞いて、現実と向き合う勇気が出てきた。僕の物語も、みんなと一緒に紡いでいきたい」


カオルが、拳を握って言う。


「俺も、家族と仲間、どっちも大切にしていいんだって思えた。全部を守るのは無理かもしれないけど、諦めずにやってみる」


レナが、スマホを掲げて微笑む。


「私も、みんなの声を信じて発信していく。たとえ批判されても、誰かの希望になれるなら、それでいい」


サラが、祖母の手を握りながら語る。


「私も、選ぶことを怖がらない。どんな選択でも、自分の人生を大切にしたい。みんなと一緒に、未来を作っていきたい」


ふと、悠馬が集会所の扉を開けて入ってきた。

彼は、サラの隣に静かに座る。


「みんな、おはよう。僕も、サラやみんなと一緒に未来を選びたい。どんな困難があっても、みんなで乗り越えていけるって信じてる」


カナエが、涙ぐみながら微笑む。


「ありがとう、悠馬。私たち、きっと大丈夫だよね」


涼太が、力強く頷く。


「うん。迷いも失敗も、全部僕たちの物語になる」


カオルが、拳を突き上げる。


「これからも、みんなで“記憶の橋”を架け続けよう!」


レナが、スマホを掲げて笑う。


「全国の仲間にも、この想いを届けたい!」


サラが、静かに微笑む。


「私たちの選択が、誰かの希望になりますように」


そのとき、祖母がゆっくりと立ち上がり、みんなに語りかける。


「みんな、迷いながらも自分の道を選んだんだね。それが一番大切なことだよ。神話の神々も、何度も失敗し、時に争い、時に和解した。――そのたびに、新しい秩序や希望が生まれた。みんなの選択も、きっと未来を照らす光になる」


集会所に、温かな拍手が広がる。


その後、みんなはテーブルを囲み、紅茶とクッキーを分け合いながら、互いの選択や夢について語り合った。


カナエが、未来のワークショップのアイディアを語る。


「子どもたちと一緒に、神話をテーマにした演劇をやりたいの。自分たちで物語を作って、演じることで、選ぶ勇気を育てたい」


涼太が、現代語訳の神話プロジェクトを提案する。


「若い世代にも神話を伝えたい。みんなで新しい物語を作っていくワークショップを開こう」


カオルが、地域の祭りの復活を提案する。


「家族や地域の人たちと一緒に、新しい祭りを作りたい。伝統も大事にしながら、今の時代に合った形で続けていけたらいいな」


レナが、SNSを活用した全国ネットワークを宣言する。


「オンラインでも“記憶の橋”を広げていく。全国の仲間とつながって、みんなの選択や物語を共有したい」


サラが、静かにみんなを見渡して言う。


「私も、家族の伝統を守りながら、自分の人生も大切にしたい。みんなと一緒に、未来への“橋”を架けていく」


朝日が集会所の窓から差し込み、仲間たちの顔を優しく照らす。

それは、迷いと孤独を乗り越えた彼らの決断と和解を祝福する光だった。


“記憶の橋”の仲間たちは、それぞれの選択を胸に、再び一つの輪となって歩き始める。

新しい物語の幕開けが、静かに、しかし確かに始まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ