69話 それぞれの“約束”
秋の夜風が心地よく吹き抜ける集会所の庭。
光のモニュメントは静かに輝き、折り紙の太陽や短冊がランタンの灯りに照らされている。
“記憶の橋”の仲間たちは、輪になって腰を下ろし、それぞれの胸に新しい決意を灯していた。
カナエが、手のひらに小さな折り紙の太陽を乗せて、みんなに語りかける。
「私は……これまでずっと、誰かの期待に応えようとばかりしてきた。でも、みんなと一緒に“記憶の橋”を架けてきて、本当は自分の想いも大切にしていいんだって気づけた。これからは、誰かのためだけじゃなくて、自分のためにも、希望の火を灯し続けたい」
涼太が、ノートを膝に置き、優しく微笑む。
「僕も、知識や昔話に逃げていた自分を認めるよ。でも、みんなと出会って、心で人と向き合うことの大切さを知った。これからは、神話や歴史の知恵を、現代の人たちのために役立てていきたい。どんな時も、想いを言葉にして伝えていくよ」
カオルが、拳をゆっくりと握りしめる。
「俺は……家族の問題から逃げてきた。でも、もう逃げない。自分の弱さも全部受け止めて、家族とも、みんなとも、ちゃんと向き合っていく。俺の物語を、誰かの勇気に変えたい。これからも、みんなと一緒に前に進むって約束する」
レナが、スマホを胸に抱え、少し照れくさそうに言う。
「私は、ずっと“人と違う自分”を隠してきた。でも、みんなと一緒に活動して、自分の個性も誰かの役に立つって知った。SNSでも現実でも、私らしく想いを発信し続ける。みんなの輪を、もっともっと広げていきたい」
サラが、みんなの輪の中心で、ゆっくりと立ち上がる。
彼女の目には、決意の光が宿っていた。
「私は、家族や伝統に縛られて苦しかった。でも、みんなと出会って、“記憶の橋”を架ける中で、自分の人生も大切にしていいんだと気づいた。これからは、継承者としてだけじゃなく、一人の人間として、未来に希望をつなげていきたい。私も、みんなと一緒に歩いていくことを約束します」
悠馬が、サラの隣に立ち、彼女の手をしっかりと握る。
「僕も、サラと同じ気持ちだ。喪失や孤独に押しつぶされそうになったけど、サラやみんながいてくれたから、もう一度立ち上がれた。これからは、どんな困難も二人で乗り越えていきたい。サラ、君と共に歩むことを、ここで誓うよ」
サラは、静かに微笑み返す。
「ありがとう、悠馬。私も、あなたとならどんな未来も怖くない。これからも、ずっと一緒に……」
カナエが、みんなの手を順に握りながら言う。
「私たちの“記憶の橋”は、ここからまた新しい一歩を踏み出すんだね。みんなで、未来に希望を託そう!」
涼太が、ノートを高く掲げて続ける。
「どんなに小さな物語でも、語り継ぐことで誰かの力になる。僕たちの想いも、きっと未来の誰かに届くはずだ」
カオルが、拳を突き上げて叫ぶ。
「よし、みんなで約束だ! 絶対に諦めない。どんな時も、希望の火を絶やさない!」
レナが、スマホを掲げて笑う。
「この輪を、どこまでも広げていこう! 私たちの“記憶の橋”は、まだまだ続くよ!」
夜空には満天の星が瞬き、光のモニュメントが静かに輝き続けている。
仲間たちの誓いの言葉が、未来へと響いていく。
サラと悠馬は、ふたりきりで庭の隅に歩いていった。
静かな夜風が、ふたりの間を優しく撫でていく。
サラが、そっと悠馬の肩に寄り添う。
「悠馬……これからも、私のそばにいてくれる?」
悠馬は、サラの手をしっかりと握り返す。
「もちろんだよ。サラ、君とならどんな困難も乗り越えられる。僕たちの“記憶の橋”を、これからも一緒に架けていこう」
サラは、涙ぐみながら微笑む。
「ありがとう。私も、あなたと一緒に歩き続けたい。どんな未来が待っていても、二人でなら……」
ふたりは静かに見つめ合い、やがてそっと抱き合った。
その温もりは、過去と現在、そして未来をつなぐ確かな絆だった。
こうして、“記憶の橋”の仲間たちは、それぞれの“約束”を胸に、新たな未来へと歩み始めた。
彼らの誓いは、やがて大地に新たな光をもたらし、次なる物語の幕開けとなる――。




