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67話 未来への“橋”を架ける

秋の清々しい朝、地域の集会所に“記憶の橋”の仲間たちが再び集った。

外の空はようやく雲が切れ、柔らかな光が差し込んでいる。

彼らは、これまでの経験と喪失を胸に、未来へ向けた新たなプロジェクトを始めようとしていた。


カナエが、色とりどりの折り紙と和紙を広げながら口を開く。


「ねえ、みんな。私たちが“記憶の橋”を架けてきた意味って、やっぱり“想い”を未来に託すことだと思うんだ。神話の時代から、困難のたびに人は祈りや祭りで希望をつないできた。今の私たちも、小さな儀式やプロジェクトを通して、未来に光を届けたい」


涼太が、古事記の一節をノートに写しながら頷く。


「古事記や日本書紀も、神話や歴史を後世に伝えるために編纂されたんだよね。天岩戸の神話では、神々が協力して太陽を呼び戻した。僕たちも、みんなの知恵や力を集めて“現代の天岩戸開き”をやろうよ」


カオルが、集会所の一角に積まれた木材を見ながら提案する。


「だったら、地域の人たちと一緒に“光のモニュメント”を作ろうぜ。みんなで木を組んで、願いごとを書いた短冊や折り紙の太陽を飾るんだ。夜にはランタンを灯して、闇の中に希望の光を浮かび上がらせる」


レナが、スマホでSNSのライブ配信をセットしながら言う。


「このプロジェクトの様子を全国に発信しようよ。遠くにいる人たちも、私たちの“希望の儀式”に参加できるようにしたい。神話や伝承は、今も新しい形でつながることができるから」


サラが、静かにみんなを見渡す。


「私の家系には、災厄の時に“光の再生”を願う歌や舞が伝わってるの。もしよかったら、みんなでその歌を歌って、踊りを披露しない? アメノウズメの舞のように、笑顔と祈りで新しい時代の扉を開きたい」


悠馬が、サラの手をそっと握り、優しく微笑む。


「サラの歌も舞も、きっとみんなの心に届くよ。僕たちの“記憶の橋”は、過去と未来、そして人と人の心をつなぐためにある。どんなに小さな光でも、みんなで集めれば大きな希望になる」


準備は着々と進み、やがて地域の人々や子どもたちも集会所に集まり始めた。

子どもたちは折り紙の太陽を作り、高齢者は昔話や神話を語り合う。

カオルと涼太は木材を組み、カナエとレナは飾り付けとSNS発信に奔走する。


夕暮れ、モニュメントが完成し、ランタンに火が灯された。

サラが、みんなの前で静かに歌い始める。

その歌声は、どこか懐かしく、優しく、人々の心に沁み渡る。


サラ「♪闇を照らす光よ ふたたびこの地に降りて

想いをつなぐ橋となれ 未来を照らす火となれ…♪」


子どもたちが手を取り合い、みんなで輪になって踊り出す。

高齢者たちも笑顔でその輪に加わり、会場は温かな一体感に包まれる。


カナエが、涙ぐみながら言う。


「こんなふうに、みんなが笑い合えるなんて、夢みたい。神話の神々も、きっとこうして世界に光を戻したんだよね」


涼太が、静かに頷く。


「“伝承”って、ただ受け継ぐだけじゃなくて、今を生きる私たちが新しい形にしていくことなんだと思う。今日のこの儀式も、未来の誰かの希望になるはずだよ」


カオルが、拳を上げて叫ぶ。


「よし、これからも俺たちで“未来への橋”をどんどん架けていこうぜ!」


レナが、スマホを掲げて明るく言う。


「全国の人たちも、きっとこの光を見てくれてる。みんなの想いがつながって、どこまでも広がっていくよ!」


夜空に浮かぶランタンと折り紙の太陽。

その光は、地域を、都市を、そして遠く離れた誰かの心にも静かに届いていった。


悠馬が、サラの手を握りながら静かに誓う。


「僕たちの“記憶の橋”は、これからも続いていく。どんな困難があっても、みんなで未来へ想いを託していこう」


サラが、優しく微笑み返す。


「うん。私たちの光が、誰かの希望になりますように。これからも、ずっと一緒に歩いていこう」


こうして、“記憶の橋”の仲間たちは、神話的な象徴と現代の希望を重ね合わせながら、未来への新たな“橋”を架け始めた――。

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