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65話 仲間の再集結と決意

秋の気配が忍び寄るある日、冷たい雨が東京の街を濡らしていた。

“記憶の橋”の仲間たちは、それぞれの喪失や孤独を胸に、しばらく顔を合わせることもなく過ごしていた。

だが、再生の兆しが小さく芽吹き始めた今、彼らは再び集うことを決意する。


その日、地域の集会所に一人、また一人と仲間が現れた。


最初にやってきたのはカナエだった。

彼女は、手に折り紙の太陽を握りしめていた。


「みんな、来てくれるかな……」


不安げな表情で扉を見つめていると、涼太が傘をたたみながら入ってきた。


「カナエ、久しぶり。元気……じゃないか。でも、君が呼んでくれて、やっぱり来たくなったんだ」


カナエは微笑み、折り紙の太陽を見せる。


「これ、子どもたちと作ったの。小さな希望だけど、私たちの“記憶の橋”の証だと思って」


涼太が、しみじみと頷く。


「うん……僕も、この数週間、何もできない自分が情けなかった。でも、神話の神々だって、最初は失敗ばかりだったよね。僕も、もう一度やり直したい」


そこへ、カオルが大きな荷物を抱えて現れる。


「おーい、みんな! 久しぶりだな!」


カナエと涼太が顔を見合わせて笑う。


「カオル、元気そうだね」


「まあな。俺も、家族のことでいろいろあったけど……やっぱり、みんなと一緒にいたいって思ったんだ。俺たちがバラバラじゃ、何も始まらないからな」


レナがスマホを片手に駆け込んでくる。


「ごめん、遅くなった! SNSで“記憶の橋”の助け合いグループが広がってるの。みんなの声が、少しずつだけど届き始めてるよ」


カナエが目を輝かせる。


「本当に? 私たちの小さな希望が、誰かの力になってるんだね」


レナは嬉しそうに頷く。


「うん。私も、ずっと“人と違う自分”を隠してきた。でも今は、みんなと繋がっていることが誇りだよ」


最後に、サラと悠馬が並んで現れる。

二人は、これまでの苦しみと迷いを乗り越えた表情をしていた。


サラが、みんなに向かって静かに語りかける。


「みんな……ありがとう。私、たくさん悩んだけど、やっぱり“記憶の橋”は私の居場所だって気づいた。家族の期待や伝統も大事だけど、私は私の意志で、みんなと未来をつなぎたい」


悠馬が、サラの隣で力強く言う。


「僕も、喪失や孤独に押しつぶされそうだった。でも、サラやみんなと出会って、もう一度前を向こうと思えた。僕たちの“記憶の橋”は、どんな闇の中でも希望をつなぐためにあるんだ」


集まった仲間たちは、しばし沈黙する。

それぞれが胸の奥に抱えてきた喪失や痛みを、静かに見つめていた。


カオルが、ぽつりと呟く。


「俺……家族を守れなかったこと、ずっと後悔してた。でも、みんなと一緒なら、もう一度やり直せる気がする。自分の弱さも、全部受け入れて、前に進みたい」


涼太が、ノートを握りしめて言う。


「僕も、知識だけじゃなくて、心で人と向き合いたい。神話の知恵を、今を生きる人たちのために役立てたいんだ」


レナが、スマホを見つめて微笑む。


「私も、自分の“違い”を隠さない。みんなと繋がって、未来に希望を届けたい」


カナエが、折り紙の太陽を掲げて言う。


「私たちがここにいること、それ自体が希望だよ。どんなに小さくても、私たちの想いは必ず誰かに届くはず」


サラが、みんなの輪の中心で言葉を重ねる。


「“記憶の橋”は、私たちだけのものじゃない。過去から未来へ、たくさんの人の想いをつなぐ“希望の架け橋”なんだと思う。これからも、どんな困難があっても、みんなで歩いていこう」


悠馬が、みんなの手を順に握りながら力強く言う。


「うん。僕たちは、もう一度ここから始めよう。闇の中でも、必ず光は見つかる。みんなで力を合わせて、“失われた大地”に希望の火を灯そう!」


仲間たちは、手を重ねて誓い合う。


カオルが叫ぶ。


「よし、みんなで約束だ! 絶対に諦めない。どんなに苦しくても、希望を信じて進もう!」


レナが、涙ぐみながら微笑む。


「私たちの“記憶の橋”が、きっと未来を変えるよ」


カナエが、みんなを見回して言う。


「さあ、新しい一歩を踏み出そう。私たちの物語は、まだ終わらない!」


集会所の窓の外、雨雲の隙間から一筋の光が差し込む。

それは、仲間たちの再集結と決意を祝福するかのようだった。


“記憶の橋”の仲間たちは、喪失を乗り越え、再び希望の光を胸に歩き始める。

その一歩一歩が、やがて“失われた大地”に新たな光をもたらすだろう――。

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