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60話 「未来への橋渡し」

秋の気配が漂い始めた夕暮れ、仲間たちは“記憶の橋”プロジェクトの集大成となるイベントの準備をしていた。

地域の公民館のホールには、手作りの展示やパネル、神話を題材にした子どもたちの絵が並び、温かな光に包まれている。


カナエが、会場の中央でみんなを見回しながら声を上げる。


「ねえ、私たち本当にここまで来たんだね。最初は自分たちのためだけだったけど、今は“記憶の橋”が、たくさんの人の心に届こうとしてる。なんだか夢みたい」


涼太が、展示パネルの前で感慨深げに頷く。


「神話や歴史の知恵が、現代の子どもたちや大人たちにも伝わるって、すごく嬉しいよ。僕たちが学んできたことが、誰かの希望や勇気になるかもしれないんだ」


カオルが、会場の隅で照れくさそうに笑う。


「俺、昔は自分なんか何もできないって思ってた。でも、みんなと一緒にここまでやってきて、少しだけ自分に自信が持てるようになった。これからも、誰かの“橋”になれるように頑張りたい」


レナが、スマホでイベントの様子を撮影しながら言う。


「SNSに投稿したら、もうすぐ全国の人にも届くよ。私たちの“記憶の橋”が、どこまでも広がっていくのが楽しみ!」


イベントが終わり、夜の公園で仲間たちは輪になって座った。

サラが、静かに口を開く。


「私……このプロジェクトを通して、やっと自分の“役割”を受け入れられた気がする。伝統や家族の期待に縛られるんじゃなくて、自分の意志で“記憶の継承者”になりたい。みんなと一緒に、未来へ想いを託したい」


カナエが、サラの肩に手を置いて微笑む。


「サラがいてくれたから、私たちもここまで来られたんだよ。これからも、ずっと一緒に“橋”を架けていこう」


涼太が、星空を見上げて語る。


「神話や歴史は、終わりじゃなくて始まり。僕たちが未来に何を残せるか、これからが本当の勝負だね」


カオルが、拳を握って力強く言う。


「どんな時代でも、想いをつなぐ“橋”は絶対に必要だ。俺は、未来の誰かのために、自分の物語を語り続けたい」


そのとき、悠馬がサラの隣に座り、そっと手を差し出す。


「サラ、これからも一緒に歩いていこう。君となら、どんな未来も怖くない。僕たちが築いた“記憶の橋”を、もっと遠くまで伸ばしていこう」


サラは、少しだけ頬を赤らめながら、しっかりと悠馬の手を握る。


「うん。私も、悠馬と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がする。これからも、ふたりで――みんなで、未来へ“想い”をつないでいこう」


仲間たちの輪の中心に、静かで確かな光が灯る。

“記憶の橋”は、過去と現在、そして未来をつなぐ希望の架け橋となって、さらに大きな物語へと続いていく――。

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