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57話 「仲間たちの成長と決意」

梅雨の晴れ間、大学の屋上。“記憶の橋”の仲間たちは、サラの不在を案じながらも、それぞれの思いを胸に集まっていた。

東京の街を見下ろす風の中、誰からともなく語り合いが始まる。


カナエが、柵にもたれかかりながら口を開く。


「サラがいなくて、やっぱり寂しいね。でも、私たちも自分の課題と向き合わなきゃいけない時期なんだと思う。私、今まで“人の期待に応えること”ばかり考えてた。でも本当は、自分のやりたいことや、伝えたいことを大事にしていいんだって、最近やっと思えるようになったんだ」


涼太が、ノートを開きながら真剣に続ける。


「僕は、ずっと“知識”で自分を守ってきた。神話や歴史を語ることで、弱い自分を隠してたんだ。でも、みんなと一緒に活動して、知識だけじゃなくて“心”で人と向き合うことの大切さを知った。これからは、もっと自分の気持ちを言葉にしていきたい」


カオルが、拳を握りしめながら語る。


「俺は、家族の問題から逃げてきた。親父とぶつかるのが怖くて、自分の夢も諦めかけてた。でも、神話の神様たちも失敗を繰り返しながら前に進んでたよな。俺も、もう一度自分の夢に向き合う勇気を持ちたい」


レナが、スマホを見つめながら微笑む。


「私は、ずっと“人と違う自分”を隠してきた。SNSで発信するのも怖かった。でも、神話や歴史を現代に伝えることで、誰かの役に立てるかもしれないって思えるようになった。これからは、もっと自分らしく発信していくよ」


悠馬が、みんなの顔を順に見つめて、静かに語る。


「僕も、みんなと同じだ。自分の弱さや未熟さに向き合うのは怖いけど、サラやみんなと出会って、少しずつ変わることができた。僕たちが“記憶の橋”として未来に伝えたいのは、神話や歴史だけじゃなくて、“今を生きる私たち自身の物語”なんだと思う」


カナエが、明るく手を叩く。


「そうだね! 私たちの経験や想いも、きっと誰かの希望になる。過去と未来をつなぐ“橋”になるために、これからも一緒に歩いていこう!」


涼太が、ノートを掲げて力強く言う。


「“記憶の橋”の使命は、過去の知恵を今に生かし、未来へ希望をつなぐこと。どんなに小さな一歩でも、僕たちが進めば必ず道になるはずだ」


カオルが、みんなに向かって拳を突き出す。


「よし、みんなで約束しようぜ。どんな困難が来ても、絶対に諦めないって!」


レナが、みんなの手を重ねる。


「サラが戻ってきたとき、胸を張って“私たちは成長した”って言えるようにしよう!」


悠馬が、静かに締めくくる。


「うん。僕たちの“記憶の橋”は、これからも続いていく。サラと一緒に、そして未来の誰かと一緒に――」


夕暮れの屋上に、仲間たちの笑顔と決意が広がる。

それぞれが自分の課題と向き合い、成長を誓ったその瞬間、“記憶の橋”はさらに強く、未来へと伸びていく――。

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