表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/101

55話 「過去と現在をつなぐ“橋”の発見」

初夏の朝、仲間たちは地方の山間部にある古代遺跡を訪れていた。

“記憶の橋”プロジェクトの一環として、実際に神話の現場を巡り、過去と現在をつなぐ手がかりを探す調査だ。


カナエが、苔むした石碑の前で目を輝かせる。


「見て、これ! 石碑に不思議な模様が刻まれてる。もしかして、これが“神代文字”ってやつじゃない?」


涼太が手帳を取り出し、慎重に観察する。


「神代文字……漢字伝来以前の日本にあったとされる古い文字体系だよね。学術的には否定されてるけど、江戸時代や近世には“発見”されたって話も多い。例えば阿比留文字やカタカムナ文字なんかが有名だ[1][2]。でも、実際には偽作説が強いんだ」


レナがスマホで検索しながら補足する。


「でも、こうして現地で見ると、何か意味がある気がしてくるよね。神話や伝承が、現代に残した“形”かもしれない」


サラが、静かに石碑に手を触れる。


「私たちの家にも、こういう不思議な文字が記された巻物があった。母は“これは祖先が未来に託したメッセージ”だって言ってた。“記憶の橋”って、こういう過去からの贈り物を、今の私たちがどう受け止めるかにかかってるのかもしれない……」


カオルが、石碑の周囲を調べながら言う。


「この場所、昔は村の人たちが祭りをしたって記録が残ってる。神話の現場って、ただ伝説が語られるだけじゃなくて、現実の人々の“祈り”や“願い”が積み重なった場所なんだな」


悠馬が、石碑の模様をノートに写し取りながら語る。


「もしこの文字が本当に神代文字だとしたら、解読できれば何か新しい発見があるかもしれない。たとえ学術的に否定されていても、僕たちが感じた“つながり”や“想い”は、今を生きる人たちにとって大切な意味を持つと思う」


カナエが明るく声を上げる。


「そうだよね! 過去の神話や伝承が、現代の希望や知恵として生き返る瞬間を、私たち自身が作っていけるんだよ!」


その後、仲間たちは遺跡の近くにある古い橋を訪れた。

そこには“記憶の橋”と刻まれた小さな銘板が残されていた。


レナが感慨深げに呟く。


「この橋、昔は村人たちが祭りのたびに渡ったって。過去と現在、そして未来をつなぐ“象徴”だね」


サラが、橋の上でそっと目を閉じる。


「私たちも、この橋のように、過去から未来へ“想い”をつなぐ存在になれたらいいな……」


仲間たちは橋の上で手を取り合い、静かに誓い合う。


悠馬が、みんなに向かって言う。


「僕たちの“記憶の橋”は、ここから始まる。神話や歴史、そして今を生きる僕たち自身の物語を、未来へつなごう」


カナエが笑顔で応える。


「うん! この場所も、私たちの新しい出発点になるね!」


こうして“記憶の橋”は、過去と現在、そして未来をつなぐ本当の“橋”として、静かにその第一歩を踏み出した――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ