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51話 「大国主命の再生と永遠の国魂」

出雲の国を譲り、歴史の表舞台から姿を消した大国主命オオクニヌシ

“記憶の橋”の面々は、神話の終幕と新たな始まりを、静かな感動とともに幻視していた。


カナエが、出雲大社の壮麗な社殿を見上げて語る。


「……大国主命は、国を譲ったあと、どうなったの? 神話では“幽世”の主になったってあるけど、それは消えることじゃなくて、ずっとこの国を見守る存在になったってことなのかな」


涼太が古文書を手に、熱を込めて続ける。


「古事記によれば、大国主命はアマテラスの子孫に国を譲る代わりに、自分の魂を鎮めるための壮大な神殿――出雲大社を建てるよう願ったんだ。それは、現世の支配を手放しても、出雲の魂が永遠に続くようにという祈りだったんだよ」


レナがタブレットで出雲の伝承を映しながら補足する。


「大国主命は“再生の神”とも呼ばれている。兄神たちに殺されても母の愛と神々の力で蘇り、何度も困難を乗り越えてきた。国譲りの後も、幽世の主として“縁結び”や“再生”の力を人々に与え続けているの」


カオルが護符を握りしめ、静かに言う。


「歴史から消えても、魂は消えない。大国主命の物語は、敗北や終わりじゃなくて、次の時代への“魂の継承”なんだな」


出雲大社の神殿前。

大国主命が、静かに祈りを捧げる。


大国主命「私はこの国を譲ろう。だが、私の魂はこの地に残り、永遠に人々を見守る。新しい時代が来ても、縁と再生の力は絶えることなく続くだろう」


タケミカヅチ「その願い、天津神に誓って必ず守ろう。あなたの魂は、この大社に鎮まり、世の人々を結び続ける」


“記憶の橋”の面々は、神話の終わりと始まりを見つめて語り合う。


悠馬が静かに言う。


「大国主命の物語は、失われることのない“国魂”の物語なんだ。国譲りは終わりじゃなくて、再生と継承の始まり。だからこそ、今も出雲の地に人々の祈りが絶えないんだね」


カナエがしみじみと呟く。


「どんなに時代が変わっても、魂や願いは残り続ける……。それが“神話”の力なんだね」


涼太が古文書を掲げて締めくくる。


「神話の終幕は、未来への序章。大国主命の魂は、これからも人々を見守り、結び、再生させていく」


出雲の大地に、静かな朝日が差し込む。

大国主命の魂は、永遠にこの国と人々を結び続けている――。

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