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36話 「契りと誓いの儀式」

夕暮れの神社境内。

空は茜色に染まり、木々の葉が風に揺れていた。

“記憶の橋”の面々、巫女・沙耶、王子・稜真は、拝殿の前に円陣を組んで座していた。

中央には、神代文字が刻まれた石板と、白い布に包まれた誓いの品々が置かれている。


カナエが、静かに口を開く。


「……こうして皆で円になって座ると、まるで時代を超えた“魂の契り”の儀式に参加しているみたい。私たち、これから何をするの?」


沙耶が、深く一礼して語り始める。


「今宵は、巫女と王子、そして“記憶の橋”の皆さんが、魂の契りを結ぶ特別な夜です。神代から続く誓いの儀式――神託の再生と、未来への祈りを込めて行います」


涼太が石板を手に、興奮気味に言う。


「この石板……神代文字で“契り”の言葉が刻まれてる。『魂ノ契リ、時ヲ超エ、光トナリテ未来ヲ照ラス』……。まるで古代の誓約書だ!」


レナがタブレットで記録しながら補足する。


「神代文字は、ただの記録じゃない。祈りや誓い、魂の約束を未来へ伝える“鍵”だった。ここにいる私たち全員が、その証人になるのね」


沙耶が、白い布をほどき、誓いの品――小さな鈴、剣の形の護符、そして一枚の和紙を取り出す。


「この鈴は、神を呼ぶ“音”の象徴。剣の護符は、王家の誓い。和紙には、皆さんの名前と、神代文字で“契り”の言葉を書き記します。魂を重ね、祈りを未来へ託すために」


稜真が、静かに手を合わせて言う。


「王家の血脈として、ここに誓います。巫女と共に、魂の契りを果たし、ムーの影に立ち向かう“光”となることを」


沙耶が和紙に筆を取り、神代文字で契りの言葉を記す。


「『魂ノ契リ、時ヲ超エ、光トナリテ未来ヲ照ラス』……。この言葉に、私の祈りと覚悟を込めます」


悠馬が、石板を胸に抱きしめて言う。


「僕たち“記憶の橋”も、魂の契りを受け継ぎます。過去と未来をつなぐ“光”となることを、ここに誓います」


カナエが、和紙に自分の名を書きながら呟く。


「私も……。神話も現実も超えて、魂の祈りを未来へつなげたい」


涼太が、真剣な表情で言葉を重ねる。


「歴史や神話を学ぶ意味は、過去を知るだけじゃない。未来に希望を託すためだ。僕もこの契りに、全身全霊で参加するよ」


レナが和紙に指を走らせる。


「私も、ここにいる全員の祈りを記録する。神代文字の“響き”が、きっと未来を変えるはず」


カオルが護符を握りしめ、力強く宣言する。


「俺も……。祈りも誓いも、全部本気でやる。神代文字の力、信じてみるよ」


沙耶が鈴を鳴らし、静かに祝詞を唱える。

その声は、時を超えた祈りの響きとなって円陣を包む。


「……魂の契り、ここに成就せり。神々よ、歴史よ、我らの誓いを見届け給え」


稜真が、和紙を高く掲げて宣言する。


「この契りを、王家の名において未来へ託す。ムーの影を祓い、ヤマトの光を継ぐために!」


悠馬たちも、声を揃えて誓う。


「魂の契り、時を超え、光となりて未来を照らす!」


夕闇が境内を包み、誓いの儀式は静かに終わった。

神代文字の石板と和紙、鈴と護符――すべてが新たな“光”となって、未来への道を照らしていた。

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