表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/57

42

「どうしてお姉様がシュルベステル様の婚約者に選ばれるんですか?」


 パーティーが終わり屋敷に帰る馬車の中ではソレーヌが怒りを露わにする。

 ここまで我慢できたことは褒めるべきかもしれない。

 令嬢達に質問攻めにされたらしい。

 

『いつ頃、聖女様と発表なさるのですか?』

『王子の婚約者はカルロッタ様なのかしら?』


 触れられたくない質問だろうが、そこまでは笑顔で対応したらしい。


『最近も忙しいのかしら?』

『我が領地の嘆願書は目にしてもらえたかしら?』

『名声欲しさに偽りを語った令嬢、婚約の話は消え去ったみたいですよ』

『どんな理由があったとしても、聖女様と偽るのは大罪よ……そう思いません?』


 その言葉は、過去の人物に対してなのかソレーヌに対してなのか。

 ソレーヌは自身に向けられたと感じ、したくもない相手とダンスをし続けた。

 その結果が今に至る。


「バルリエ公爵家との繋がりが欲しいのでしたら、私を婚約者に勧めてください」


「ソレーヌ、王族はカルロッタを望んでいる。ワガママは止めなさい」


「お父様っ、私が可哀想とは思わないのですか? 教会が間違えたんですよ、私を聖女だと。私から『聖女』と名乗ったわけでもないのに……このままでは私、笑い者どころではありません。私の名誉の為にもシュルベステル様と婚約させてください」


「……カルロッタはどうなんだ? 王子との婚約について」


「私もソレーヌの方が良いと思います」


「……分かった。王族に話してみる」


「絶対ですよ」


 ソレーヌは私を睨むだけで何も言わなかった。

 その後もソレーヌは何度も父に確認する。


「お父様、婚約の件はどうなりましたか?」


「……王族も決めかねている様子だ」


「何を決めかねているのですか?」


「一度カルロッタと内定していたところ、ソレーヌに変更と言うのは議論が必要だ。王族の婚約とはそういうもので時間が掛かるんだ、待ちなさい」


 王族から婚約者変更の報せは一向に届かない。

 届く手紙と言えば……


「私宛の手紙は?」


「……ソレーヌお嬢様には、まだ……」


「その束は全てお姉様ってこと?」


「……はい」


 パーティーで私がシュルベステルのファーストダンスを務めてしまったせいで、貴族達が勘ぐっている。

 

「カルロッタお嬢様……」


 使用人はソレーヌの前で渡すことに躊躇いはあるものの、雇い主宛への手紙を渡さない訳にはいかない。

 

「私の立場を奪って楽しいですか?」


「奪ったつもりは無いわ」


「お姉様はいつも私の物を奪いますね?」


「……どういうこと?」


「お父様もお母様も今では私よりもお姉様ばかり。お茶会の招待状はお姉様にだけ。私は? 犯罪者でもないのにどうしてこんな思いをしなければならないんです? 婚約者は譲りませんよ」


「私は王子と婚約するつもりは無いわ」


「どうだかっ」


「ソレーヌ」


「疲れたので部屋で休みます。これ以上お姉様と話したくありませんっ」


 あれからソレーヌとはこんな感じ。

 こんな日常がいつまで続くのか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
自分が被害者面かよ... コイツに付ける薬は無いな
ソレーヌが心の底から自分が聖女と信じてたら怖いな… 姉が自分が持つべき聖女の力を卑怯な手を使い奪っただけで、 本当は自分こそが真の聖女だとか。 或いは取るに足らない、踏みつけてもいい、何もかも自分の…
奪ってるのはお前だろう? 被害妄想が凄いねー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ