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約束の二ヶ月がたった。
今回は約束もあったが、それだけでなくシュルベステルから事前にソレーヌ宛に手紙が来た。
それだけで、ソレーヌは舞い上がり彼をもてなす準備に取りかかっていた。
刺繍は完成したのか尋ねようとも思ったのだが、もてなしの準備に時間を掛けているようだったのでソレーヌの機嫌を損ねるような事は避けた。
「……シュルベステル様、本日はようこそお越しくださいました」
「あぁ」
「こちらどうぞ、シュルベステル様の為に準備したのですよ。こちらのケーキは我が家のシェフが今日の為に準備したんです。それにこの紅茶も隣国から取り寄せた茶葉です。何でもシスルー紅茶の王様と呼ばれていて優しい香りに爽やかな味わいが特徴です。こちらに飾ってある花ですが、以前王妃様にお渡ししたものと同じものです。目でも楽しんでいただけたらと思います。私今日の日を楽しみにしていて、シュルベステル様から頂いたお手紙は私の宝物です」
「……ソレーヌ嬢……ソレーヌ嬢」
「はい、そうだっ私が育てている花達をご覧になりますか? ぜひシュルベステル様にも見ていただきたいわ」
「ソレーヌ嬢。私が本日訪れたのは、事前連絡したように聖女の刺繍入りハンカチを受取に来たんだ」
「……はぃ」
「カルロッタ嬢も同席してくれて感謝する」
「……はい」
今まで存在を消していたが、私はシュルベステルの指示通り同席している。
ソレーヌの発言に口を挟みたくなるのをぐっと堪え二人の輪に入らないよう心掛けていた。
「それで、頼んだ刺繍いりのハンカチを見せていただけないだろうか?」
「……はい……セシリー……持ってきて」
「かしこまりました……」
ソレーヌの指示でセシリーがハンカチを取りに行く。
その間、ソレーヌはひたすらシュルベステルに話しかける。
私が気まずいと感じているせいなのか、ソレーヌの部屋からハンカチを取りに行くだけなのに妙に時間が掛かっていると感じてしまう。
まだ来ないのかと、セシリーが来るであろう方向に視線が向いてしまう。
「あっ」
漸くセシリーの姿が現れ、安堵するのもつかの間慌てたのかセシリーが転んでしまった。
「セシリー、大丈夫? 怪我はない? 」
いち早く駆けつけたのはソレーヌだった。
「私は大丈夫です……はっ……申し訳ございません。お嬢様のハンカチを汚してしまいました」
転んだ事で、ハンカチに泥が付着。
王族に渡すには失礼となってしまった。
「良いのよ、そんなこと。私はあなたが心配だわ」
「……申し訳ありません」
「うんん、気にしないで。シュルベステル様、大変申し訳ございません。ハンカチがお渡しできる状態ではなくなってしまったので、もう一度お時間を頂けませんでしょうか?」




