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「聞きましたよっお姉様。シュルベステル様が訪れた際、対応したのはお姉様なんですよね? 」
「そうね。貴方は教会に行っていたし、お父様もお母様もいなかったから仕方なく私が対応したわ」
「その時、色仕掛けでもしたんじゃありませんか? 」
「どうして私が第一王子に色仕掛けしなければならないの? 」
「それは当然、王妃になりたいからじゃありませんかっ」
「私は王妃になりたいと思った事は無いわ」
「では、シュルベステル様の事をお慕いしているとか? 」
「あの方を慕ったことはありません」
「ならどうしてシュルベステル様はお姉様に婚約を申し込んだのですか? 」
「王子は私が聖女になると勘違いしている様子だったわ。いくら違うと言っても、なんだか誰かに私が聖女だと思い込まされているようだったの」
「それって……」
「きっと、第二王子派の仕業じゃないかしら? 聖女ではない私と第一王子を結婚させて、聖女のソレーヌと第二王子を結婚させる気なのよ。そうなれば、第二王子派の立場は逆転する」
「……そうだったんですね」
全て私の出任せだが、ソレーヌは信じた様子。
「誰がどんな噂を王子に囁いているのか分からない今、私達がいくら言っても信じてもらえないわ」
「……では、お姉様はシュルベステル様と婚約するおつもりなんですか? 」
「しないわ」
「ですが……」
「貴方が新たな噂を流せばいいのよ」
「私が新たな噂ですか? 」
「そういえば、ソレーヌは聖女として教会に通うようになってからお茶会に参加していないわよね? 」
「そうなんです。なかなか時間があわなくて……」
「なら、貴方が開催すればいいのよ。そこで、自身が聖女であることと第一王子が我が家に訪れたことを話せばいい」
「シュルベステル様の婚約の件について質問されたらどうするんです?」
「王子が我が家を訪れたのは真実よ。婚約に関しては、候補の打診があっただけで決定ではないわ」
「……そうですね。私お茶会を開催します」
「頑張ってね」
「お姉様は手伝ってくださらないんですか? 」
「私がいたら勘違いされてしまうわ」
「そうですね、私一人で十分です」
ソレーヌは私の言葉を受け、お茶会の準備を始める。
使用人も癇癪を起こすくらいなら、お茶会の準備をしていた方がましと思いソレーヌの指示で忙しなく働く。