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 心を落ち着かせる為に読みかけの本を手にする。

 開いているだけで、全く頭に入らない。


「お姉様っ」


 確認もなく部屋に入って来る事について疑問にも思わなくなった。


「どうしたの? 」


「お姉様も一緒に教会に来ませんか? 」


 ソレーヌは先程まであんなに嫌がっていたのに。


「何かあったの? 」


「私一人だと……お姉様も一緒にどうですか? 」


「遠慮するわ」


「お姉様っ、聖女となったら色々大変だと思いませんか? お姉様が傍にいてくれたら、私安心なんです」


 聖女となれば、身の回りの事は教会の見習いが全て対応してくれる。

 不安に思うことは無い。


「心配する事は無いから、大丈夫よ」


「そうではなく……」


「それに、私が一緒にいたら皆さん困惑してしまうと思うの」


「困惑ですか?」


「聖女様を優先したいのに、公爵令嬢である聖女の姉の私がいたら戸惑ってしまうでしょ? 」


「それは……」


「そういう配慮をするのもあなたの役目になるんだから」


「分かりましたっ、私一人で教会に向かいます」


「ソレーヌの聖女姿、楽しみにしているわ」


「えぇ」


 ソレーヌが出て行き漸く部屋が鎮まる。


「私が行ったところで……」


 その後も食事で顔を合わせれば母がソレーヌと一緒に教会へ行くよう提案するも全て断った。


「カルロッタも教会へ見学に行ってみたら? 」


 見学もなにも、私は聖女として何年も通ったので十分知っている。

 

「いえ結構です」


「そう言わず、こんな機会滅多にないのよ」


「……お母様、どうして私にも教会へ行くよう勧めるんですか? 」


「それは……ソレーヌ一人では心配というか……聖女だと思っていても……万が一という事もあるでしょ? 」


「心配する必要ありませんよ、ソレーヌは聖女ですから」


「そんなことっ……まだ分からないから、カルロッタにも付き添ってほしいのよ……」


「ソレーヌは大丈夫ですよ。私がいる事の方がソレーヌの迷惑になりますから」


「……ねぇ、カルロッタ……貴方、本当は祈ってないんじゃないの? 」


「祈らないはずないじゃありませんか? ちゃんと祈りましたよ」


「……そう……」


 ソレーヌが教会へ向かう当日も母は勧めるが私は断った。


「では、行ってきますね」


「行ってらっしゃい」


 教会へ向かうソレーヌを見送る。

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― 新着の感想 ―
母親しつけぇw
母親は確実に前回の記憶を持っていそうだな。
妹は、姉が聖女と分かってて、今回も使いつぶす気満々だったんじゃあないのかね?
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