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一カ月後、ある報せが届く。
「奥様、手紙が届きました」
「誰からかしら? ……教会? この度、祈りの……ソレーヌが? カルロッタ……カルロッタ」
手紙を確認した母が慌てた様子で叫ぶ。
「お母様、どうされたんですか? 」
使用人に呼ばれるも要領を得ず部屋に向かうとソレーヌの姿も確認。
「カルロッタ、貴方ミラルディー地方について祈ったの? 」
「ミラルディー地方ですか? それはソレーヌの案件ですよ」
「そうですよ、お母様。私が担当しました。それで、ミラルディー地方がどうかされたんですか? 」
「それが……ミラルディー地方のアングィスの森で失踪していた方達が……」
「発見されたんですか? 」
「発見はされてないの」
「では……一体どういう事なんですか? 」
「アングィスの森でまた子供がいなくなったの」
「そんなっ、それを私の責任だというんですか? 」
「ソレーヌに責任を問われているんじゃなく、行方不明となっていた子供が発見されたの」
「それは良かったですね、無事に見つかって……」
「無事……かどうかは………」
「お母様、先程から良く分からないのですが? 」
「それが、子供が発見されたのは……蛇の中からみたいなのよ」
「「蛇の中……」」
「その蛇は大人一人を丸呑みしてしまう程の大蛇だったそうよ」
「大蛇……」
「蛇の住処らしき場所に全員のじゃないけど、何人かの遺品も見つかったとあるわ……それで……解決は解決。ソレーヌの祈りの効果なのかもしれないという事で一度教会にという手紙が届いたの……どうする? 」
「どうするも何も、私が聖女なんですよね? もちろん教会に行きます」
「……カルロッタも行ってみたらどうかしら? 」
突然、母は私にも教会へ向かうよう提案する。
「どうしてお姉様も一緒なんですか? 」
ソレーヌは母の提案に反論する。
私も何故ソレーヌと共に参加するよう母が提案するのか理解できなかった。
ソレーヌの祈りが届きミラルディー地方の問題は解決した。
私が受けたアザイールは現状維持。
祈ってもいないし、私は聖女ではないので教会に向かう必要はない。
それなのに教会に行っては迷惑でしかない。
「教会で何かあった時、カルロッタもいた方がなにかと……ねぇ? カルロッタも心配よね? 」
「いえ、ソレーヌなら一人で問題ないわよね」
「はいっ」
「私は先に失礼します。ソレーヌはこれから教会に行く準備とかの確認があるのよね」
「はいっそうですね」
ソレーヌをその気にさせ、先に部屋へと戻った。
「やっぱり、ソレーヌが聖女だったのね」
どこか今でも私が聖女じゃないかと……
「未練たらしいな……」