2.物語の始まり
自分の城に帰るとすぐに準備を始めた。下界に行くのはなんだかんだ久しぶりなので用意する物が多い。しかも今回はアイルという新人がいるのだ。念入りに準備をしなくてはならない。
準備を始めて三十分位経つと扉が叩かれた。
……アイルかな?
入ってきて良いよ、と返事をする。僕の予想通りアイルだったようだ。こっちに来て、と手招きをした。
「石を選んで欲しいんだ。気に入ったやつを一つ選んで」
そう言って沢山の石——もとい宝石——が入ってる箱を机の上に置いた。
「わぁ、綺麗ですね……どれも素敵で迷います」
「ふふっありがとう。そうだね、迷う時は直感で選んでみると良いよ。きっと良いことが起こる」
う〜んとじっくり悩んでいるようだったが守護神様、と僕の名前を呼んできた。どうやら決まったらしい。
アイルはこれが良いと指を差した。
その石は赤と青が混じりあったような綺麗な色で、確か石言葉は『情熱』『優美』とかだったと思う。
正直アイルには似合わないような言葉だった。
「因みになんでこれにしたのか聞いても?」
「何となくなんですけど、これが一番私の目に入ったんです。全て素敵で迷ったんですけど、助言で教えてもらった直感を信じてみようと思って」
「そっか」
「……あぁ、そういえば創造神様から書類を預かっているんですがどう致しますか?」
すっかり忘れていた。
そういえばこの部屋に入る時からアイルは白い紙をずっと持っていたような気がする。
「貰うよ。……ふむ、明日の朝には出発か……アイルはどの位で準備終わる?」
「何を準備するのかが分からないのでなんとも……少なくとも出発までには終わるように致します」
「そっか、アイルは初めてだったよね。う〜ん、じゃあ自分の仕事を終わらせておいてくれる? もしくは身近な人とか仕事仲間に今回のことを伝えておくとか。今日初めて僕の弟子になることを知ったんだよね? だったら周りも知らないはずだし。しばらくはフィルの所で働くことは無いだろうからそれを伝えておいて。それ以外は特にしなくて良いよ。明日の朝に迎えに行くからよろしくね」
「了解致しました」
話をしながらも書類をどんどん読み進めた。
今回の内容は光の精霊の姫を死なせないようにすること。最悪死なせても良いけど世界に呪いが侵攻しないようにしなくてはならない。
転生先は、姫にすぐ会えるような所なら何処でも良いらしいのでお任せにするつもりだ。勿論アイルとはすぐに会えるような関係にするつもりだけど。
話に区切りがついたので、アイルには準備をしてもらうために部屋から出てってもらう。
僕はさっき選んでもらった石を使ってお守りを作るつもりだ。
守護神は守りに特化しているので僕が作ったお守りは簡単に壊せない。簡単に壊せるのは自分だけ。たとえ同じ神であろうとも信頼できる者にしかお守りはあげない。悪巧みに使われたくないしね。アイルは創造神の側近で、僕の弟子になったのだから作るのは当然だ。
……さぁ、一仕事頑張るかぁ。
僕は自分の工房に足を進めた。
出発の朝になった。
僕はアイルを迎えに行き転生の間に向かった。
「転生の間はアイルも来たことがあるんじゃない?」
「えっと、見に覚えがないんですが……」
「転生の間はね、死んだ者が来る部屋なんだよ。人間からフィルの側近になったってことはその部屋でフィルと会ってると思うんだけど」
「……もしかして魔法陣がある部屋でしょうか?」
「多分そうかな。その魔法陣に乗ってから神力を流すと転生出来るんだ」
「へぇ、そうなんですか……」
「転生の間は生命神が管理してるよ」
そんなことを話しているとあっという間にに転生の間に着いた。
僕はノックをしてから扉を開ける。
「入るよ〜」
「失礼致します」
僕達の声に気がついたのか銀髪の女神がこちらを振り返る。
「ハイシェとアイルね。話は創造神から聞いています。まずは自己紹介かしら? わたくしは生命神”アリスティア”。アイル、これからよろしくね」
「私は創造神様の側近で、今は守護神様の元で修行をさせてもらっています。生命神様に会うことができて幸運です。不束者ですがこちらこそ宜しくお願いします」
二人は握手をした。アイルの方は少し緊張しているようだった。
「それじゃあこちらへどうぞ」
アリスティアは魔法陣へ僕達を案内した。
「光の姫の近くに転生させるよう言われていますが、他にご要望はあります?」
「そうだなぁ、身分はある程度裕福な家系で宜しくね。アイルとはすぐ会えるような関係にしておいて。後は特に無いからティアのお任せで」
「分かったわ。……それじゃあこれから転生させます。素敵な人生を!」
僕達はあっという間に白い光に包まれた。
宝石は自分のオリジナルです。石言葉は少し現実のを参考に決めております。
次回は「第一章 光の魔女の恋模様」です。
お楽しみに。




