最終話
「私は……っ」
貴族令嬢として生まれた者の務めを放り出し、好きな事をする為だけに家族まで巻き込んで。
身分を偽り、己を偽り、更には自分と家門の名誉を守る為にドミニクからの誠意ある婚約の申込みを断ろうとした。
そんな、あまりに身勝手過ぎる自分が、この手を取る事はさすがに強欲が過ぎるのではないだろうか。
ドミニクからの告白は嬉しい。けれど自分にそれを受ける権利がない。
騎士として生きる事を決めた以上、最後までそれを貫く事が今の自分に出来るせめてもの始末のつけ方である。
その為に幾つかの物事を諦めるのは致し方ないのではないか。
リズは手の中のブローチに視線を落とし、滲む視界の中で再びドミニクと視線を合わせて震える声で言った。
「正直に申し上げて、隊長の申し出はとても嬉しいです。でも、ごめんなさい。私は……やっぱり騎士を辞めたくない。今更普通の貴族令嬢に戻って結婚なんて考えられない。騎士を続ける為なら、それこそ貴族の身分を剥奪されても構いません。でも、私なんかの為に隊長にまで貴族籍捨てさせるなんて事はやっぱり出来ないです」
「……そうか、わかった」
元から諦めてはいたけれど、私の初恋は二度も死ぬのか。
リズはそう思ったが、この恋を殺したのは誰でもない自分自身だと、瞬きと共に堪えきれなかった涙が一筋その頬を伝う。
──と、その時ドミニクが言った。
「ふむ。俺はすっかり慣れてしまっていたが、確かに貴族令嬢が騎士になるだなんて前代未聞か。だが、それなら君が貴族初の女性王宮騎士だと正式な手続きを経て世間に知らしめれば良いのだな」
「え? 何て?」
突拍子のない意見に思わず涙も止まってしまった。
そんな事をした瞬間、他の貴族に何を言われるかわかったものではないとリズは思っているのだが、ドミニクの考えはそうではないらしい。
まるで強い相手と手合わせをする時のように、彼の瞳はギラリと挑戦的な光を湛えていた。
「すまないが、その程度の事で俺は君を諦めたくない。確かに身分を偽って騎士団に入団した事は頂けない。だが、問題はそうまでしなければ貴族女性が騎士を目指せないという、今の社会にもあるだろう。皆慣例にとらわれて考える事すらしないが、我が国に貴族女性は騎士になってはいけないなどという法はないはずだ」
「あの、えっと、どういう事ですか? その程度って仰いますけど、私が騎士である事がバレたら大問題になりますよ」
リズの目尻に残った涙を優しく拭って彼は続ける。
「まぁ、良い顔はされんだろうな。ただ、職業婦人が増えてきたこれからの世の中では、貴族女性の在り方も少しずつ変わっていくだろう。慣例だからの一言で思考を止めてしまえば、その先にある筈の未来は停滞する。幸い数年前に比べたら貴族院も顔触れが変わっているし、変化の為のメスを入れるのなら今が好機だ。君は女だてらに剣を取ったと後ろ指を刺されて生きるのではなく、これからのこの国を生きる女性達の最初の一歩になれ」
「最初の一歩……? 隊長は難しい事を仰る」
「……うむ、少し格好つけ過ぎたな。つまり、だ。堅苦しい世間の方を変えてしまおうという話だ。全ては無理でも多少柔軟にするくらいは出来るだろうからな。君が君らしくあれる世界の為に俺は努力を惜しまん」
「それは、とてもありがたいお話ですけど、世間を変えるって……一体どうやって?」
口で言うのは簡単だが、考えの凝り固まった貴族社会に新しい考え方を持ち込むのは至難の技だ。
貴族院の顔触れが変わったからと言って、何とかなるものなのだろうか。
もっともなリズの質問にドミニクは自信ありげに笑って見せた。
「俺はこれでも王宮騎士団の隊を預かる隊長という地位があるし、家門もそこそこ歴史のある伯爵家だ。それに、こういう時に使うのが地位と権力とコネクションだからな。いやぁ、持つべきものは伯爵家筆頭家門の親友だな」
「幾らなんでも職権とか権力の濫用はいけませんよ⁉︎」
笑顔で言うドミニクに、リズは再びギョッとした。
けれど彼は心得ていると笑うばかりで、その表情には憂いの一つも見当たらない。
そしてドミニクは真っ直ぐにリズを見詰めて言った。
「勿論承知しているとも。だが、他者に害なす私利私欲の為の偽りではなく、君の場合は騎士として民の治安維持に貢献していた実績が既にあるんだ。土台さえ整えば俺も濫用するほど権力にものを言わせる事もあるまい。……だからな、リズ。もう一度考えてみては貰えないか」
「婚約の話、ですか?」
「そうだ。君がエリザベス・ヴェスピエ子爵令嬢であり、かつ王宮騎士団の騎士である事を両立出来る未来を俺がもぎ取って来る事が出来たら、その時また改めて君に婚約を申込みたい。その時はリズも令嬢だ騎士だという立場の話は抜きで、君の心を聞かせてくれ」
俺は本当に諦めの悪い男なんだ、と笑うドミニクに、気付けばリズは感極まってぼろぼろと大粒の涙を零していた。
ずっと騙していたも同然の自分に、どうしてこんなにも尽くしてくれるのだろう。
でもこの人が言った未来が、自分の夢を諦めず、手を伸ばせる人が例え一人でも増える未来が来るのならば。
リズはすんっと赤くなった鼻を鳴らし、大きく一度頷いた。
「わかりました。でも、その為の全てを隊長にお任せする事は出来ません。私は騎士ですから、自らの未来はやはり自らの手と剣で切り拓かなければ」
リズの淡い空色の瞳には、涙の名残と共に未来への決意が漲っていた。
一人では困難でも、ドミニクとなら成せる気がする。
その為に自分だって努力は惜しまない。
──それに、私はやっぱりこの恋を諦めたくない。
仕事も、生き方も、仕方がないと何もせずに諦めて手放す事はもうしたくない。
確かに平民と貴族という身分の枠組みは、税制などの社会の仕組みとして今は必要だが、そこに生まれた慣習に疑問すら抱かず雁字搦めにされるのはもうやめたい。
リズはドミニクの目の前で贈られたブローチを胸につけると、まるで任務の報告でもするかのようなはっきりと通る声で言った。
「まずは、共同戦線の盟友という事でよろしくお願いします!」
「承知した」
がし、と固く握手を交わして、ドミニクと婚約者ではなく共闘相手となったこの日から一年後。
とことん諦め悪く生きてみようと決意し、リズは血を吐きそうな程に剣の修練を積んだ。
その結果、リズは王室主催の御前試合で見事好成績を残すに至り、表彰式の場で自らの本当の出自を明らかにしたのだった。
騎士としての力量を公の場で示し、この日の為に時間を掛けて根回しした諸々によって、エリザベス・ヴェスピエ子爵令嬢は貴族令嬢初の王宮騎士として、改めて王家より騎士叙勲を賜る事となる。
──そしてそこから更に一年の月日を経た後、己が所属する隊の副隊長に昇進したエリザベス・ヴェスピエ子爵令嬢は、かねてより交際を続けており、その時には正式にギー伯爵家の家督を継いだドミニクのもとへと嫁いだ。
ここに王国史初の貴族出身の夫婦騎士が誕生したのである。
余談だが、この結婚が成立するまでに、ドミニクは部下から「抜け駆けするな」と十五回に渡り抗議の決闘を申し込まれ、その全てに勝利し抗議を退けている。
「──そう言えば、例の婚約騒動の時に、私とデビュタントの夜会で会ったって言ってましたよね。私あまり記憶にないんですが」
ぎゃり、と鈍い鋼の音を響かせ、リズが振り下ろされたドミニクの剣を受け流す。
朝日の差し込むギー伯爵家の中庭に模擬刀がぶつかる音が響き、二人はいつものように修練を行っていた。
「あぁ、俺は妹のエスコート役で夜会に出席していたからな。あの時君と交わしたのは挨拶だけだ」
上手く攻撃をいなしたリズの次の攻撃を受け止め、ドミニクも直ぐに攻撃へと転じる。
ぎん、ぎぃんと何度か激しく切り結びながらリズは恐る恐る尋ねた。
「隊長がデビュタントの時に一度会っただけの相手に婚約申し込んだ件について、騎士団内では隊長の一目惚れって事になってたのご存知でした?」
「あぁ、傍目にはそういう事になるのか。──脇が甘い!」
「ぎゃん!」
ばし、と模擬刀で真横から籠手を叩かれ、リズが思わず武器を取り落としたのを終了の合図として、二人は互いに礼をして控えていた使用人からそれぞれ汗を拭く為の布を受け取った。
「そもそも騎士の私を認めて下さったんですものね。あ、じゃあデビュタントの時云々は建前……」
「いや、そうでもないぞ」
汗を拭い、朝食前の湯浴みの為に並んで廊下を歩き、ドミニクは汗で湿った髪を雑に掻き上げながら答えた。
「挨拶した時に君が……、エリザベス・ヴェスピエ子爵令嬢がリズだというのは一目でわかったんだ。その時の君は病弱という噂は真実なのかと思うほど体調が悪そうでな。それなのに、その翌日の修練では元気に騎士団規定の両手剣を振り回していたから、一体どういう事かとしばらく注視していたんだ」
ドミニクの言葉に、リズは汗を拭く手を止めて驚いた顔をする。
「化粧もしてたし髪型も違うから絶対気付かれないと思っていたのに。しかもその後観察されてたなんて全く気付きませんでした」
「気付いたのは私くらいではないか? でも、身分や名前を偽ってまで騎士であろうとする君を見て、俺は君の事が好きだと再確認するに至った訳だ。あの夜会で見た令嬢としての君と日々見ている騎士としての君のギャップを知って、俺が守ってやれたらと思った。どちらも可憐だと思ったのは事実だしな」
そしてドミニクはリズの手を取ってその甲に口付けを落とすと、ウインクをして悪戯っぽく笑った。
可憐だと言われた、ただそれだけでリズはボッと顔を赤くする。
結婚し、一緒に住むようになってしばらく経つが、リズはこの手の事には一向に慣れる様子がなかった。
「ドミニク……!」
唯一、名前を呼ぶ事は受け入れたが、長らく色恋に無縁の生き方をしていた弊害はしばらく続きそうだ。
そんないつまでも初々しい妻をにこやかに眺めて、ドミニクはからからと笑う。
「ははは、お前はいつまで経っても娘のような反応をするなぁ」
「もう! 人をからかって! 大体、何か良い感じに勘違いしてますけど、デビュタントの時に顔色悪かったのは履き慣れないヒールと苦し過ぎるコルセットのせいですから!」
「お前がいつまで経っても毛嫌いしているやつだな」
「笑いながら頭撫でないで下さい! あれ本当に辛いんですから! あなたも一回試してみたら良いんです」
修練でしっとりと汗ばむ髪に触れられるのは、やはり少し恥ずかしい。
そう思ってリズが身を捩ってもドミニクは笑うばかりで、控えていた使用人達がいよいよ焦って「お支度を!」と声を掛けるまで彼は存分に妻を構い倒したのだった。
「旦那様、奥様、お急ぎ下さい。このままではレインバード伯爵御夫妻をお待たせする事になります」
「おぉ、妻の騎士叙勲に大いに貢献してくれた親友を待たせる訳にはいかんな」
年嵩の使用人に言われてようやく湯浴みに向かう途中であった事を思い出したのか、ドミニクはようやく妻を解放し、朝から夫に構い倒された妻は顔を赤くしながら脱力する。
「その親友がまさに今こちらに向かっている現実を、もう少し早く思い出してほしかったです……」
この日はドミニクの同期であったレインバード伯ベルナールとその妻ウルスラが、ギー伯爵家を訪問し、夜には晩餐を共に過ごす事になっている。
ドミニクとリズは慌ただしく汗を流して朝食を済ませ、何とか訪問した夫妻を迎える時間に間に合う事ができたのだった。
(これが任務だったら目にも止まらないような速度で支度を終えるのに……)
揃いの騎士団制服に身を包み、サロンの窓から屋敷に入ってくる馬車の音を聴きながら、リズはふぅと大きく息を吐く。
騎士団で隊長として任務に当たっている時は鋭い刃のような厳しさすら感じるのに、プライベートでのドミニクはマイペースで何処か少年のような甘えを見せる。その違いはあまりに極端だ。
そんな事を思いながら、でも、とリズは胸に飾ったブローチを指先で撫でた。
(そんなギャップも可愛いと思ってしまう私が一番ダメなのかもしれない。……ギャップ?)
そしてはたと何かに気付いて目を瞬かせる。
そう言えば、先程似たような話を何処かで聞いたような。
記憶を辿った末に今朝の修練での会話を思い出し、羞恥から反射的に悲鳴を上げそうになったところで侍従がレインバード夫妻を案内してサロンへとやってきた。
おかげでリズはすんでのところで口を塞ぐ事に成功した。
真っ赤な顔でもごもごしていたせいで何をしているんだと夫の呆れを含んだ視線が痛かったが、気にしている余裕はない。
「ドミニク、久しいな」
「よく来てくれた、ベルナール。息災だったか」
「お陰様で。子供達も病一つせず無事に一歳を迎える事が出来た」
「それは良かった。乳母がいるとて双子は何かと大変だろう」
夫達が挨拶を交わす間に、自分も挨拶をと気を取り直してリズはレインバード伯爵夫人へと視線を向ける。
社交界において『氷の伯爵夫人』と謳われるレインバード伯爵夫人・ウルスラは、今日もビスクドールのようにピクリとも表情を動かさず、ピンと背筋を伸ばしていた。
表情が動かないからか、ともすれば厳格な印象すら受ける彼女に対面する時、リズはいつも緊張してしまう。
緊張からこちらもピンと背筋を伸ばしたリズに、ウルスラはとても美しい所作でドレスの裾を捌き、ご機嫌ようと礼をした。
慌ててリズも騎士の礼を取る。
「今日はようこそお越し下さいました。またお子様達のお話を聞かせて下さい」
「えぇ、喜んで。ギー伯爵夫人は本日も凛々しくていらっしゃいますね」
「生まれながらのお転婆は結婚程度で治らないようで。ドレスでの出迎えでない失礼をお詫び申し上げます」
公式の場に騎士正装で出席するリズを非難する声は、少ないが確実に残っている。
貴族社会というのは長年をかけて作り上げられただけあって、すぐに全てを塗り替えてしまう事は当然ながら難しかった。
それらをひっくるめて苦笑するリズに、ウルスラはやはり表情を変えないまま淡々と答えた。
「問題ございません。エリザベス様のその騎士のお姿を拝見する事が、私の楽しみでもございますから」
「そう言って頂けると安心します」
表情が動かず言葉も淡々としている彼女には、他を寄せ付けない独特の雰囲気がある。
けれどこうして直に話をすれば、他者を拒絶している訳ではないとすぐにわかる。
ドミニクと共に貴族社会を変えようと決意した時、自身も改めて貴族としての在り方に向き合う事を決めた。
そして学び直す必要があると考えたリズは、ドミニクの伝手でウルスラに淑女の礼法を師事していた。
自身も嫁いで彼女と同じく伯爵夫人となった今でも、ウルスラはリズにとって貴族夫人としての先生であり、大切な友人だった。
「そちらのブローチも、騎士団の制服によくお似合いですわ」
続けて言われたその言葉に、ようやく緊張を解いたリズはパッと笑顔を浮かべる。
「ありがとうございます。私の宝物なんです」
そしてリズは、ギー伯爵夫人として来客をもてなす為に、お茶の用意を調えた中庭へと皆を案内した。
朝には剣の修練をしていたそこには、日除けのパラソルの下に真っ白いクロスを掛けたテーブルが用意され、ティーワゴンに鎮座する磨き上げられた茶器からは芳しいお茶の香りが漂っている。
「今日は格別気持ちの良い日ですね」
庭に出たエリザベスは庭を通り抜ける一陣の爽やかな風にそっと目を細め、レインバード夫妻がテーブルについたのを確認してからドミニクのエスコートで自身も席についた。
だが、幾らも経たない内に、騎士団の制服を纏った伝令が使用人に案内されて慌ただしくその場へやってきて、火急の召集であると申し訳なさそうな顔をして言った。
「沖合に登録に無い不審船を発見したのですが、どうやら他国の貴族の所有船のようで……。かなりの武装を揃えており寄港目的も不明な為、騎士団長よりドミニク・ギー隊長及びエリザベス・ギー副隊長に対応命令が下されました」
ドミニクはやれやれと溜め息を吐き、客であるレインバード夫妻に中座する事を詫びてリズと共に立ち上がる。
「すまん。晩餐までには戻る」
「気にするな。私とて元騎士なのだから事情はわかる。私がお前の立場であれば同じ事をした」
「話が早くて助かるよ。卿ら夫妻に離れに部屋を用意しているから寛いでいてくれ。サロンも好きに使ってくれて構わない。──リズ!」
「はい! 表に馬の用意しました。私はこのまま港へ向かいます」
「わかった。私は登城後、小隊と共にそちらに合流する」
瞬きの内に騎士の顔になり、主人らの職務をよく心得ている使用人が恭しく差し出したマントと剣帯を身に付けながら、二人は颯爽と中庭から出て行くのだった。
そんなギー夫妻を見送って、ベルナールは少しだけ眩しそうな顔をした。
それはかつての騎士だった己を懐かしんだからかもしれない。
だが、彼もまた怪我で騎士の道を閉ざされた後、新しい道を歩む事を決め、進む事を諦めなかった人間だ。
ギー夫妻の背中が見えなくなると、彼は妻を振り返って微笑んだ。
「せっかくだからお言葉に甘えて我々はお茶を楽しむ事にしよう」
「えぇ、きっとそれがよろしいですわ」
夫の言葉に、ウルスラも無表情に頷く。
そしてレインバード夫妻は主人不在の庭でお茶の続きを楽しむのだった。
後にレインバード伯爵夫人は、騎士制服に身を包んだドミニクとエリザベスが寄り添って立つ姿は、夫妻の金髪と赤髪もあいまって、まるで朝日と夕陽とを一緒に見ているようなとても美しい光景であったと語っている。
こうして、ギー伯爵夫妻の生き方をきっかけとして貴族女性達が自身の自立について考え始めるようになったのだが、それがこの国で実践に移されるまでにはまだしばし時を待つ事となる。
木々が年輪を刻むように、少しずつ、けれど確実に世界は変わっていく。
後の世で変革者として名を残す事になったギー夫妻は、後進から勇気ある第一歩について問われた際は「自分達は他者より少し諦めが悪かっただけなのだ」と二人揃って苦笑したと言う。
──これは、そんな諦めの悪い人達が自身の願いの為に全身全霊を掛けて努力し、我が儘に、諦め悪く生きた話である。