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【完結】俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉  作者: まるせい


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第47話 事後

「申し訳ない!」


 朝になり、外で小鳥がチュンチュンと囀る。

 俺は、シーツを手繰り寄せ、気だるげな表情を浮かべるアリサに向かって土下座をした。


「はぁ、私から誘ったのに、起きて早々に土下座するなんて、あんたの思考が一切理解できないわ」


 アリサは、髪を弄るを呆れた声を出す。


「それで、どうして謝るのよ?」


 だが、見放すようなことはせず、ちゃんと理由を聞いてくれた。


「俺との子供に能力が引き継がれるかわからないんだ」


 俺は自分がこれまで抱えていた悩みを打ち明ける。

 エリクサーを作り出せる効果は遺伝しないかもしれないこと。

 モンスターの血肉を食べてパワーアップしている部分が大きいので、元の強さは大したことがないこと。

 その辺を曖昧にしたまま、アリサを抱いてしまい、彼女を傷つけてしまったことなどについて説明した。


「ばっかじゃない?」


 彼女は、俺が思っていることをすべて告げると、開口一言目にそう言った。

 呆れた表情を向けられる。これでアリサも俺から離れていくかもしれない。


 ところが……。


「私が能力目当てであんたに近付いたとか……それで、あんな……」


 アリサの身体が震える。目から涙が零れ頬を伝う。


「私は、あんたが好きだから迫ったの! そんな風に思っていたなんて許さないから!」


「ご、ごめんっ! 本当に反省しているから!」


 昨晩の様子を思い出してしまう。

 あれほど情熱的に迫られて、身体を合わせたのだ。彼女の気持ちを疑っていた自分を恥じなければならない。


「許してほしかったら、それなりの態度をとりなさいよ」


 アリサは俺を睨み、誠意を見せろと言う。


「どうすればいいんだ?」


 彼女は自分の横をポンと手で叩くと「後は自分で考えろ」とばかりにじっと見てくる。

 俺はひとまずベッドに上がると、アリサの横に座る。至近距離で目が合い、アリサが頭をもたせかけてきた。


「んっ」


 頭を撫でると、気持ちよさそうな声を上げ目を閉じる。これで正解なのかが解らず、俺はずっとアリサの頭を撫で続けた。


「……ミナトとの間にできた子どもなら、潜在能力に関係なく愛せるに決まっている。あんたはどうなのよ?」


 しばらくして、アリサはポツリと呟いた。


 ユグド樹海で「好きになった女性と結婚して幸せになりたい」と話した時のことを蒸し返してくる。


「俺だって、子どもができたら可愛がるに決まっている。アリサとの子どもならなおさらだ!」


 ようやく話ができたので、俺は素直な想いを彼女に伝える。


「そ……そう?」


 アリサは口元が緩むのを意識して保ちながら俺を見ていた。


「アリサの気持ちを勝手に勘違いしていて悪かった。これからはないがしろにしないように気を付ける」


「ん、なら許してあげる」


 その瞬間、俺とアリサの関係は『仲間』から『恋人』へと変化した。


「言っとくけど、これまで散々我慢してきたんだから。遠慮はしないからね?」


「すべて、アリサの良きに計らってくれ」


 付き合って早々に尻に敷かれてしまっている。

 それから、アリサも強引に迫ったことを謝ってきて、俺たちはベッドの上で今後の相談をした。


「今日は迷宮に行く時間でもなくなったな」


 気が付けば朝の時間を過ぎていて、ここから迷宮に潜るには時間が中途半端になっている。

 とりあえず食事でもして、あとはのんびり過ごそうかと考えていたのだが……。


「どうした、アリサ?」


 隣にいるアリサが、何か言いたそうにしており、俺が見ると目を泳がせ始めた。


「俺たちの間で隠し事はなし。今決めただろ?」


 言いたいことがあれば言うようにと取り決めたばかりだ。こういうのは最初が肝心だからな、俺は決して誤魔化すことを許さないとばかりに、真剣な目で彼女を見続けた。


「わ、わかったわよ! 言う、言うから!」


 アリサは観念すると、顔を真っ赤にする。


「じ、実は、昨日は酔っていたから、途中から何がなんだかわからなくなって……あ、あまり覚えてないの」


 アリサがシーツを脱ぐと、彼女の白い肌が露わになり美しい身体が見える。


「ミナトとの初めてなんだから、ちゃんと想い出として記憶に残しておきたいのよ」


 瞳を潤ませ、身体を寄せ、冷えた手を俺の手に絡めて理性を奪いに来る。


「だから、今から…………駄目?」


 昨晩と違い、恥じらいを見せるアリサに、


「駄目じゃないに決まっている!」


 俺は覆いかぶさるのだった。

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