ピパロン王国警備隊 第18話 犯人はトーマ隊長?
〇銀のバラ
次のニュースです。怪盗オリーがカムカム美術館に展示されていた、宝石のブローチ「銀のバラ」を盗んでいた事がわかりました。カムカム美術館の館長の話によると、昨晩、警備員が銀のバラがなくなっていることに気付き、その場所を探索したところ、怪盗オリーのメッセージカードが発見されました・・・
ルミ隊員「また、怪盗オリーにやられたのね。」
ココア隊員「知ってる?あの銀のバラは1000年前にピパロン王が妃の誕生日を祝うために国1番のブローチ職人に作らせた特別なブローチなのよ。」
ルミ隊員「知ってる!あの輝きは1度見たら忘れられない不思議な魅力があるよね。」
ココア隊員「あーあ、私も一度くらいは銀のバラをつけてショッピングでもいきたいわ。」
ルミ隊員「怪盗オリーを捕まえればその願いも叶うかもね!」
ココア隊員「そうね、仕事、頑張らないと。」
〇トーマ隊長のソレって?
トーマ隊長「おはよう!みんな!」
ルミ隊員「あ、トーマ隊長!おはようございます!」
トーマ隊長「どうしたんだ?朝からみんな集まって?」
ココア隊員「聞きましたか?また、カムカム美術館が怪盗オリーにやられたんです!」
トーマ隊長「なんだと?!またか。怪盗オリーにやられ放題だな。」
ルミ隊員「今回は、あの、憧れの銀のバラですよ~。」
トーマ隊長「・・・もしかして、ブローチじゃないか?」
ココア隊員「トーマ隊長もよくご存知で・・・あれ?その胸に付けてるブローチ!」
ルミ隊員「銀のバラにそっくり!」
トーマ隊長「いや、まさか、偽物たろ。100円で売ってたんた。」
ココア隊員「100円!どこで入手したのですか?」
トーマ隊長「朝、通勤途中の露天で声をかけられたんだ。掘り出し物のブローチを100円で売ってあげるよっ、て。」
ルミ隊員「うーん、それで買ったのですか?」
トーマ隊長「そう、なんか、この人を惹き付ける輝きが気になって、買ってしまったのさ。」
ルミ隊員「トーマ隊長がブローチをねぇ・・・」
ココア隊員「念の為、鑑定しませんか?セイジ隊員が鑑定士の資格を持っているので。」
〇鑑定結果
セイジ隊員「これが本物か偽物か鑑定すればいいのですね。確かによく似ていますね~」
ココア隊員「はい、トーマ隊長が露店で買ってきたんです。」
トーマ隊長「本物が100円で売ってる訳ないだろ。時間の無駄だよ。」
セイジ隊員「はい、すぐ終わります。ちょつとお借りしますね・・・むむむ!これは本物です!」
ルミ隊員「ええええ!」
トーマ隊長「まさか!100円だぞ。セイジ隊員が間違っているんじゃないか?」
セイジ隊員「いえ、間違いありません。本物です。」
トーマ隊長「これが本物・・・ウソだろ~」
ココア隊員「そうすると、考えられることは3つあります。
1.露店の店主が怪盗オリーだった。
2.怪盗オリーが露店の店主に銀のバラを売った。
そして3つ目は・・・犯人はトーマ隊長だった!」
トーマ隊長「え?俺?まさか!」
ルミ隊員「なんか怪しいと思ってたんです。トーマ隊長がブローチを付けるなんて。」
ココア隊員「トーマ隊長ならカムカム美術館に何度も行っているので館内の様子も詳しく知ってますしね。」
トーマ隊長「おいおい、ちょっと待てよ。まるで俺が犯人みたいじゃないか。俺はちがうぞ。普通、露店の主人が犯人か、露店の主人が犯人から仕入れたか、どちらかだろう。」
セイジ隊員「トーマ隊長の言う通りです。まずはその露店に行ってみましょう!」
〇ココア隊員の推理
トーマ隊長「あれ?おかしいな~、確かこの辺りにあった筈だけどなぁ。」
ルミ隊員「それらしき物も無いですよ。」
トーマ隊長「うーん、ということはやはり、露店の主人が怪しいと言うことだな?」
ココア隊員「・・・トーマ隊長がウソをついている、ってこともあります。」
トーマ隊長「え?だいたい、怪盗オリーのカードもあるんだから怪盗オリーの仕業にきまってるだろ?!」
ココア隊員「はい、確かに怪盗オリーのカードが残されていました。でも、いつもある筈の予告状が今回はありませんでした。トーマ隊長がニセモノのカードを作ったのかも知れません。」
トーマ隊長「ええ!俺がそんなことをする訳ないだろ。」
ルミ隊員「でも、なんか引っかかるなあ。トーマ隊長がブローチをつけるなんて。全然似合ってないし。」
トーマ隊長「似合ってない、は余計だぞ。」
ココア隊員「もう1つの可能性があります。それは・・・ここにいるトーマ隊長は、実は怪盗オリーの変装だった!」
トーマ隊長「ええっ!」
〇真実は如何に?!
ルミ隊員「やっぱり!本物のトーマ隊長はどこへ行ったのですか!」
トーマ隊長「いや、だから本物だって。なんかこの流れはおかしいぞ!」
セイジ隊員「ちょっと失礼します。」
トーマ隊長「あいたたたっ!やめろ~、ほっぺをひっぱるな~!痛い!」
セイジ隊員「・・・どうやら本物のようです。」
トーマ隊長「当たり前だ!さっきからそういってるだろ~、信用しろよ~」
ルミ隊員「うーん、では真実は何?」
○怪盗オリーの余興
プルルルル、プルルルル、
ココア隊員「あ、本部から電話だ!
・・・はい、・・・ええ!すぐに送ってください!
大変です!怪盗オリーから本部に手紙が届いたようです。読み上げますね。」
ピパロン王国警備隊の諸君、こんにちは。
私は世間を騒がす大泥棒、怪盗オリーである。カムカム美術館の「銀色のバラ」はどうも私の趣味に合わないようだ。せっかく頂いたのだが、親愛なるトーマ隊長に差し上げることにした。「売れば1億円の価値がある」と持ちかけたら、喜んでかってくれたよ。トーマ隊長には大事に使うよう伝えてくれたまえ。
怪盗オリー
トーマ隊長「ほら、見ろ!おれが正しかっただろ。」
ルミ隊員「いえ!1億円に目が眩んだトーマ隊長は自業自得でしょう!」
セイジ隊員「盗品の売買は犯罪です。トーマ隊長を逮捕します。」
トーマ隊長「そんな、わからなかったんだよ~!勘弁してくれよ~!」
以下で好評連載中!
https://pyuzou.com/