表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

5話 You're Gonna Go Far, Kid

 朝の散歩から帰り、朝飯を食べ終わった後、妹と触れ合う時間になった。


「お兄ちゃんだよー」


「?」


 テアは不思議そうな顔をしてこちらをじーっと見つめている。


 生まれて間もないから僕がお兄ちゃんだとわかっていないのは仕方がない。


「ほら、レインももっと近くで見てごらん」


 母さんが抱えられたテアを僕の近くに持ってきた。


 そうだ、したいことがあった。

 僕が赤ちゃんの時からあった欲求。


 赤ちゃんのほっぺをぷにぷにしてみたかったんだ。


 そう認識したとたん無意識に、誘われるように、自分の手をテアのほっぺへとゆっくりと近づけてしまう。


 赤ちゃんのほっぺはブラックホールのような吸引力があると聞くが、事実と言わんばかりに指が吸い込まれてしまう。


 そして、ついにその指が肌に到達せんとする、その瞬間……!




「……?あれ?何かがおかしい」



 何故かヌメヌメする。これは本当にほっぺなのだろうか?いやちがう。


 目視でちゃんと確認してみると、




 自分の指は、いつの間にかテアの口に突っ込まれていた。




「なっ!?なにぃいいいいーーー!?!?」


 三歳児とは到底思えない叫びと共に突っ込んでしまっていた指を思いっきり引き出した。



 だ、出し抜かれただとーーーッ!?このレーヴェイン様がッ!?


 思い出すぜ、フィナ姉さんが僕のほっぺをつつこうとしたときに、魔がさして指をくわえた時の事をよぉ!


 これじゃあまるで、夏の虫が鴨とネギを背負って火に入ってそのまま鍋になっちまったったようなもんじゃあねぇか!


「あら、テアはレインと似てるのねぇ」


「?」


 私、何かしちゃいました?というような目でこっちを見てくるテア。


 まったく末恐ろしいぜ……我が妹よ……


 将来はきっと大物になるよ。



 それにしても、母さんも僕が姉さんにしでかした事を覚えていたみたいだ。


 その節は本当に申し訳なく思っている。


 あの日から随分と長い期間、姉さんが僕のことを警戒するようになってしまった。


 今では普通に遊んでくれるけども。


 でも川魚みたいなぬるぬるしたものが苦手になってしまったみたいだ。


 うん、本当に申し訳ない。


 ――――――――――


 時刻はそろそろ夕方になる頃。


 キッチンに来た。


「あ、レーヴェイン様、今日も見学?」


 そう歓迎してくれたのはメイドのメアだ。


 ララと同期の金髪のロングヘア―の明るい子だ。


 ロイやララと比べて軽い口調なのですごく喋りやすい。


 メアは料理が得意なので、掃除や洗濯よりも優先的に食事の用意や菓子作りを任されている。


「うん。今から夕飯を作るでしょ?」


「そうだけど、レーヴェイン様はこんなの見てて楽しい?」


「うん。楽しいよ」


「まぁ読書が趣味の大人しい子ですもんね。もっと元気いっぱい遊んだほうがモテますよー」


「でも料理している時のメアの後ろ姿が素敵だから……」


「んもう、レーヴェイン様ったらぁ。将来の職業は女たらしですかぁ?」


「「へへへへへ」」



 なんて笑いあっているが、料理を見るのは本当に好きだ。


 料理している時の子気味良い音、暴力的な匂い、色とりどりの光景。


 それら全てが期待に変わり、実際に食べる時に極上のスパイスになる。


 だからやりたいことが特に何もないときはよくキッチンに来たりする。


 本当は自分でも料理をしたいところではあるが、今はまだ体が小さすぎて包丁やフライパンを握るなんて危険、そもそも台所の高さに身長が届かないから、こうして見るだけに留めている。


 にしても、魔法がある世界ってすごい。


 シンクの上の小さい円筒型の魔道具は水が出せるもので、持ち運びができるから、普段はシンクに置いておいて、スープを作る際はアレをそのまま鍋の上に持って行って水が出せるし、コンロも火を出さずに温度を上げられる魔道具があるおかげでIHみたいになっている。


 その他にも風魔法を応用した圧力なべやフードドライヤーなどもある。


 一応これらの魔道具は裕福な家庭しか買えないみたいなのだが、物自体は珍しくないので、お金さえあればだれでも買えるようだ。


 魔法さえあればそんなものがなくともいいんだろうけど、魔道具は詠唱やイメージとかも必要なく、魔力を流すだけで使えるから本当に便利ではある。



「レーヴェイン様ー、味見してくださいー」



 お、そろそろできてきたみたいだ。


 メアからスープが入った小皿を受け取った。


 今日はポトフらしい。


 綺麗に澄んだスープにジャガイモや玉ねぎ、ウィンナーが入ってる。


 コンソメスープの香りが立ち上っている。


「うん、おいしい」


「でしょー?」


 ホックホクのジャガイモや柔らかくなった玉ねぎに優しいスープの味が染み込んでいる。


「メアはいい奥さんになるよ」


「うっ……その話はやめてください、レーヴェイン様……」


 急に呻き声をあげたメアの様子を見るに何かしらあると見た。


 でもメアは普通に美人な顔立ちをしているし、この性格だ。


 どこに難があるのだろう?


 しかしこの事に突っ込まないのが紳士というもの。


 今後はこの話題には気を付けるとしよう。



 なんてことを考えていると、晩御飯が出来上がったようだ。


 今日の献立は先ほどのポトフに加えてムニエルだ。


 バターの香りが食欲をくすぐる。


 あぁ、今日の晩御飯も楽しみだ。



ちなみにタイトルは僕の好きな洋楽のタイトルで、「お前は将来大物になるよ」って意味です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ