3話 怪談話
さらに数ヶ月たった。
あともう数ヶ月すれば1歳になる。
あれから成長して、ハイハイが出来るようになった。
子の成長に両親は大層喜んだし、兄さんや姉さんに連れられて遊んでもらう機会が多くなった。
といっても、レインは魔法と本が好きな大人しい子だと思われているので、書庫で絵物語を読んでもらうことが多い。
しかしデメリットもあり、大人しいと思われていると言えども、突然何処かにふらっと行ってしまわないかと危惧したのか、監視の目は大分きつくなってしまった。
魔法が使えることがバレると、危ないからと止められる可能性もありそうなので、まだ隠しておきたい気持ちがあった。
だから魔法を練習するのは夜に僕が寝付くまでの監視が終わった後にして、昼の内は体を動かすことに慣れることに集中した。
そして魔法の練習の成果は微々たるものではあるが、毎日ちゃんとこなしているおかげか魔法の規模は大きくなっていった。
今ではコップ一杯分の水が出せるようになり、さすがに毎日おねしょだとか汗とかで誤魔化せるものではなくなってきたので、風魔法を使うことにした。
幸い寝室には壺とか食器みたいな割れ物は無いので、扇風機感覚で使っている。
「……レーヴェイン様、寝てますかー?」
そうやって声をかけているのは、この家に仕えているメイドのララだ。
ピンクのロングヘア―をフリフリさせている。
「スピー、スピー」
「ぐっすり寝てるので大丈夫ですよねー」
「スピー―、スピー――」
もちろん寝たふりだ。
日課の魔法の練習がしたいから、ララには申し訳ないが早く出て行って欲しい。
パタン
ドアが閉まったのを確認してから、むくりと起き上がる。
そしていつもの通り、精神統一をする。
そしていつもの通り、力を込めて思いっきり風魔法を放つ。
しかし、今日はいつもより調子が良かったのか、
ビュウッ!
と大きな風が吹き、ドアもガタンッと音が鳴ってしまった。
「ひゃあっ!」
と、廊下からララの声が聞こえてきた。
まずい……廊下にいたのか……
でも、魔力を使いきって意識が……
==========
コンコン、コンコン
ガチャリ
「レーヴェイン様ーー大丈夫ですかぁーー」
ララが廊下を歩いていたら、レインの部屋から大きな音がしたので、様子を確認しに来たようだ。
(レーヴェイン様はまだギリギリ1歳にも満たないから、何かあっては大変です。)
ララは部屋のをキョロキョロと見渡すが、特に異変は感じられなかった。
「何もなさそうですね、よかったぁ……」
(でも、最近同期のメアから聞いた怪談話を聞いたせいで、少々悲鳴を出しちゃいました。
そういえば、その怪談話とシチュエーションが似ています。
あの話の続きは確か、異変がないと思い部屋を出ようとしたら、いつの間にか背後に女性の亡霊が……)
そう思いながらララが後ろを振り返ると…
そこには、真っ黒い髪をした不気味なほど無表情の女の顔が、暗闇の中にぽつりと浮かび上がっていた。
「きゃああああああああ!!!!!!」




