【1話】曝璽者
SCP的なものが出てくるアンチなろう主人公みたいな小説が書きたくて始めました。
ただ、ゆくゆくは結局ただの無双なろうになってしまうかもしれません。
そこまでは割と真面目に書いているつもりです。
途中の能力説明は曝璽者説明欄に同じような内容がありますので面倒なら飛ばして読んでいただいても大丈夫です。
更新は毎日20時くらいを予定しています。
今のところ話数のストックは少しです。
まぁ、一ヶ月くらいは毎日投稿できるかなと言うところです。
誤字脱字などありましたらご指摘いただけると幸いです。
評価や感想を頂けると励みになります。
よろしくお願いいたします。
気配を殺した人間が目的地へと向かう。
皆一様に黒いコートに身を包み無言で歩を進めている。
僕もその中の一人ではあるが周囲の人間と歩幅は合っていない、
背の高い屈強な大人たちに囲まれ些か急ぎ足で歩調を合わせる。
暗い闇の中を歩いているとそのまま自分自身の体が闇に溶け出してしまいそうでジワリと手の平が汗ばむのを感じた。
音すら吸い込んでいくような夜の中で時折聞こえるのは地面に転がった建物の残骸を自分の脚が踏みしめる音だけ。
この無言の軍行に恐怖を感じているのは僕の気が小さいせいだけではない。
今日、初めて実戦として回収現場へ投入される。
今までの訓練とは違う。
現場へ出れば命の保証は無い。
自分に生命の危機があるというだけで緊張は数段跳ね上がる。
緊張・恐怖それら二つが自身の判断、身体機能を鈍らせると耳にタコができるほど繰り返された。
訓練の中ではそう教え込まれてきたが頭で理解しただけで、どうやら今になっても体は追いついて来ていないようだ。
戦闘が始まれば先の二つは間違いなく死を引き寄せるだろう。
目的地まであともう少しと言ったところだが初日にして死ぬのはごめんだ。
到着までに心を落ち着けるために少しでも安心材料を探そうと
今回の回収内容と現状況を脳内で反芻する。
今回の内容としては収容施設から脱走したオブジェクトの無力化及び回収が第一目標となっている。
このオブジェクトは15歳~18歳程度の平均的な日本の青年の姿をしている。
自身を異世界の勇者と呼称しており理論上説明のつかない能力を複数有している。
現在までに彼が使っていた能力で確認されているのは
・未知の方法で空間から西洋のグレートソードによく似た武器を取り出し炎を纏わせ攻撃に用いる。
・短時間の飛翔能力。
・自身の体を強く発光させる。
戦闘のデータを解析した結果この発光前と発光後では約200倍の身体能力、反応速度の向上が
確認されている。
・未知の空間と繋がるホールから大陸オオカミに酷似した体長約5mの獣を召喚する。
・地球上に存在するあらゆる有害物質の投与に関して影響を受けず投与と同時にオブジェクト
自身を音源の中心として「パリンッ」と硬質なガラスが砕ける音が発生し
投与した物質の効果を打ち消してしまうそうだ。
僕らと同じ見た目なのに生き物として構造が違う。
食事すら必要ないらしく活動に必要なエネルギーの代謝すらしているのかどうか不明らしい。
おまけに収容違反が発生するたびに収容プロトコルの見直しや警戒レベルの引き上げが行われているにも拘らずその度にどうやってか脱走を繰り返している。
不幸中の幸いなのは幾度にも渡る収容違反の発生を引き起こしてはいたが最終的には武力鎮圧で何とか
再収容が出来ているという点だろう。
僕らの勢力としては回収班の編成は汎用クラス戦闘職員20名に加え財団職員として
20年越えのキャリアを持つ丸樹という男が現場の指揮官として派遣されている。
そして僕と同じ曝璽者の中でも火特3種認定の藤宮さんが曝璽者指南役として随伴している。
今回の部隊編成に関しては総評議会でオブジェクトの戦闘データを元に評価・分析の後に
承認され選ばれたものだ。
前回の収容違反発生時に投入した1.5倍の戦力投入だ。不測の事態があるはずはない。
ただ、回収現場に投入されてしまった以上不測の事態が起きようと
もう後は現場で何とかするしかない。
これ以上は自身の無事を神に祈るしかないとも言える。
だがこの指南役である藤宮さんの能力は捕獲・無力化に特化しており、今回のような対象の破壊又は終了が目的でない回収任務でこそ真価を発揮する。
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璽名:【黒色立方体】
最大5つまで同時に黒色の立方体を視界内の任意の空間に出現させます。
出現させる立方体の数を減らすことで一つ当たりのサイズの拡張が可能です。
逆に出現数を増やす場合一つ当たりの最大サイズに制限が発生します。
最大10m×10m×10m 最小2m×2m×2m
現在に至るまで曝璽者本人の意思を除き、出現後の立方体の位置を外部からの物理的干渉によって
変更する試みは成功していません。
その他温度等による干渉に対しても立方体の外殻部分をすべて透過する為損傷は見られませんが
対耐衝撃性に関しては立方体に対するエネルギーの蓄積量で対物ライフル(NATO弾使用)の銃撃を約3発まで耐えることが可能との結果が報告されています。
それ以上の立方体へのエネルギー蓄積により損壊、のち0.08秒後に消失します。
破壊された分の立方体の再出現までに必要とされる平均的な再出現可能時間は306.27~454.98秒。
この再生成時間の誤差に関して、条件を断定しようと過去14回の実験が行われていますが現在まで
その試みは失敗に終わっています。
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現状の戦力で唯一安心材料とすることが出来るのは言うまでもなく藤宮さんだ。
班長の丸樹を始めとした財団の戦闘職員は僕たち曝璽者に恐れと同時にまるで気味の悪い生き物を
見るような目を向ける。
僕ら曝璽者は突然現れた。
昨日まで普通の人間だった僕らがある日を境に突然特異な力を発現する。
現れた理由も不明ならばいつどこに表れるかもわからない。
ほとんどの曝璽者は発生と同時に捕縛され説得という名の脅迫で無理やり従わせられるか
どうしても従わない場合は拘留されている。
どの様な力を生み出すかは完全にランダムだが時に強大な力を発現させる者もいる。
人間は恐れている。いつ自分に向くかもしれない凶暴な牙に。
ただ、財団は曝璽者を巧みに回収し道具として使う。
その為、いざとなれば捨て駒にされることも十分にあり得る。
この現場が終わったら何かしら不測の事態が起こった場合の離脱手段を
考えておかねばと考えを巡らせていた。
まだ、説明パートに近いので何も話は動きません。
具体的には明日、明後日くらいから。
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