出張費用は始めに貰っておかないと後で酷い目に遭う
「じゃあ私達はもう行くわ。縁があればまた会いましょう」
「じゃあね!身体に気をつけて!」
「はい。皆さんもお元気で。」
私は笑顔でルミナークさんとヘルゼさんに別れの挨拶をする。なんか後ろで陽気な外国人転生者3人組がワチャワチャ言って、この街に居残ろうとしてたけどルミナークさんに一撃で伏されて無理矢理連れて行かれてしまった。ヘルゼさんによると、この街には休養目的で1月ほど滞在しており、もう十分に休養がとれたからまた冒険に出ると言う。名残惜しいが私は笑顔で手を振りながら5人を見送った。
え?外国人転生者の髪の毛?ああ、ちゃんと貰えたよ。なんでもルミナークさん達の出身地、西の大陸の風習で、縁をつなぐために髪の毛を交換するらしい。だから何も疑われる事なく3人組の髪の毛を手に入れることが出来た。
・・・
さて次は、あのレストランの店主だ。スマホに入っている転生者ファイルを確認してみたら、あの店主は転生者であることが分かった。ここまではいいんだけど、街の人に聞き込みしてみたところ(なんか私コミュ障だったのに克服し始めてない?)、なんと彼の店で働いている従業員全員が彼の奥さんらしく、しかもヤンデレで、かなり強いことで有名らしい。
街の人に聞き込みを続けていくと、店主の奥さんは世界を破滅に導く魔王だったとか、その魔王を誅滅すべく立ち上がった女騎士だったとか、敵対していた亡国の王女だったりとか・・・
いやもう店主すげえわ。いろいろな人から恐れられている人たちを懐柔してハーレム作り上げるとか。ていうか、街の人たちこんな火薬庫みたいな店の近くでよく住めるよ。
うーん、これは詰んだかもしれない。
・・・とりあえず日も暮れてきたし、初日みたいに森の中で夜を明かすんじゃなくてどこかに宿を取りたい。
って
私この異世界のお金持ってなぁぁぁい!!!
慌ててスマホでラケシスさんに連絡して見ると、お金を渡し忘れたことを謝られたが、さらに絶望する一言が
『うーん・・・ちょっと換金に時間がかかるので受け渡しは明日になりますね。』
最悪
日も傾き始めて辺りは暗くなってきているし、それに合わせて人通りもかなり少なくなっている。路地裏はこういう異世界だと誰かに襲われそうだし・・・仕方ない。森で野宿するしかないか。
・・・
路地裏で野宿しておけばよかったーーー!!!
私は今、多数の狼に囲まれている。なんで?!初日は狼なんかに会わなかったのに!そんなことより狼たちがにじり寄ってくる。逃げようと思ったけど私の周りを狼が取り囲んでいる上に運動神経皆無の私なんか逃げ切れる気がしない。狼たちが私との距離をつめてくる。
あ、だめだ
恐怖の余り私は腰が抜けてへたり込んでしまった。私はここで死ぬのか。嫌だ死にたくない!様々な考えが私の頭の中を駆け巡る。
そんなとき狼の群れの奥から声がした
「おうお前ら何か見つけたのか?」
どうやら人らしく、狼の群れをかき分けこちらへと向かってくる。そして、出てきた人物の姿に私は息をのんだ。
そこにいたのは
「あん?おめえなにしてんだ?」
初日に出会った妖精。
地獄に仏とはまさにこのことか。




