第五話
―なにが、なにがいけなかったんだ―
そう思った瞬間俺の中から光があふれ出る。
「おいレイス!何をしている!兵士ども気を抜くな、相手は勇者だぞ!」
「「ッハ」」
光が溢れるのと同時に身体に脱力感が襲いかかる。もうダメだ、諦めかけたその時足元の魔方陣が消えた。溢れ出る光を気合いで押さえそのすきに俺は近くの窓をたたき割り颯爽と逃げていく。
「おい!兵士ども何を逃がしている。こんなこと王にしれたらわしを含めおまえらもただではすまんぞ!」
その言葉を聞き兵士達は俺の後ろを鬼の形相でついてくる。
全力で走る俺だが行き止まりにたどり着いた。
「もう逃げられんぞ」
「おとなしく我らに捕まってもらう」
「そ、そうは行くか」
俺は怯えた口調で正面の大きな溝へ飛び込み奥へ流されていくのであった。
あれからどれだけ流されただろうか。流されたどり着いたのは王都の端、スラム街。そこでは生気を失った人々が死んだ目で風呂敷のような布の上に座りこちらを見ていた。
その後方で誰かが叫んだ。
「あいつだ!あいつが指名手配のレイスだ!」
すると近くにいた奴らが獲物を刈る獅子のような目で俺の元へ襲いかかる。
「なんだよ、指名手配って」
俺は襲いかかってくる奴の一人に叫ぶように聞くがただ一言
「俺が明日生きるために捕まってくれ」
と血走っためで駆け寄ってくる。俺は長い間水に流された時の寒気と空腹を我慢し、屋根の上へ跳び乗り王都の外へと逃げていく。
だがその騒ぎを聞きつけた国の兵士達が俺を見つけ。
「いたぞ!レイスだ!」
逃げる俺の後ろを多くの捕食者達が追いかけてきた。
「みえた、門だ」
王都から出るための門が見え、安心感が増す。門番が俺を視認して、立ちふさがる。
「レイスだな、とまれ!」
「どけ!」
俺は覇気のある目でにらみつけ、全力の体当たりを門番にくらわせる。
「ぐわぁあ」
吹っ飛んだ門番に目もむけず門を抜け、王都を出る。
「まて、レイスー!」
後ろから俺を静止させようとする声が聞こえる。
「だれが止まるかよ、おまえらが止まっとけ」
このまま俺は兵士から走り逃げていた。
「もう夜か、訓練で走ってなきゃ死んでたな」
苦笑いをしながら暗闇でさっきまいた兵士が近くにいることを確認する。
「みつかったか」「いやまだだ」
「くそっ、まだ見つからないのか」
「ん?雨か、これ以上雨が強くなる前にさっさとみつけるぞ」
自分がいる方向に兵士が来ることを確認し、その場を離れる。
バキッ
近くの枝をふみ、音を出してしまい俺は焦る。
「向こうから音が聞こえたぞ!」
「やばっ」
兵士が近くにくる中混乱からか俺は立ちすくんでいた。
時間がなかったからとりあえずできた分だけ載せておきます。こんな作品でも楽しみにしていただける皆様のために日々精進してまいります。