第一章 ~幼少~new game
はじめまして。みなさん。
初投稿となります。
宜しくお願い致します。
はじめまして。
みなさん。聞いてください。
実は私、ゴブリンとして生まれ変わったみたいなんです。。。
時は昭和64年
年末年始の忙しさが落ち着き、明日からゆっくりと休める。
好景気は嬉しいのだが、休みが取れない状況はどうにかしてほしい。
サラサラと音を立てて、降り続く雪がより一層寒さを演出する。
「さむっ」
コタツのスイッチを入れ、足をねじ込む。
電源を入れたばかりのコタツは未だ寒く、足は悴むほどだ。
やっと取れた3連休。だが、実は特にやるべき事がないのだ。
仕事の忙しさから休日はゴロゴロしている。
習慣になっている。
「そうだ。あれ、まだやってなかったな」
ブラウン管テレビの画面はうっすらと埃がかかっている。
テレビの横に、無造作にゲーム機とまだ袋から出されていないソフトが置いてある。
コタツは少し温かくなってきた。
ゲーム機を取りたいがコタツからは出たくない。
寝そべりながら、腕を伸ばす。
コントローラーは絡まりあっている。
「休みの間にクリアするか」
袋からパッケージされたソフトをだす。
説明書はやりながら見るタイプ。
テレビの電源を入れたい。が、やはりコタツからは出たくない。
再び、寝そべりながら腕を伸ばす。
パチ ブー
ぼやけた画面は徐々に鮮明に映る。
「さてさて。やりますかね。」
フー 息を吹きかけ、ゲーム機に差し込む。
本来はゲームの故障につながるらしいが癖で息を吹きかけてしまう。
スイッチを入れると心地よい音楽と共に文字が表示された。
シイタゲラレシ ゴブリンヨ
イマヨリ エイコウニムカイ
チカラヲ シメセ
「あれ?こんな感じの始まりなの」
画面にはnew game のアイコンが光っている。
説明書も読まずに始めるとこうなるのか。
ゲームの背景は理解できていない。
「追々、読めば大丈夫だろう」
ポチ
急激な眠気に襲われる。
いや。眠気ではない。身体全体から力が抜けている。
視界が霞んできた。部屋の中に霧が出ているような印象を受ける。
カチカチカチ カチカチ
テレビの画面には文字が再び刻まれていた。
薄れゆく視界の中でその文字だけははっきりと読めた。
チカラハ シメサレタ
ゴブリンニ エイコウヲ
はじめまして。
みなさん。聞いてください。
実は私、ゴブリンとして生まれ変わったみたいなんです。