クロンさん、頭おかしい
「レン聞いてよ、あの三人全員孤児で兄妹なんだって。」
「ふーん、やっぱり。」
「え、知ってたの?」
「うん、クロンさんの子でしょ。」
あれ?意外とクロンさんって有名人なのか?
「というかシンがクロンさんを知らない事が驚きだよ。
バカ過ぎて言葉も出ないよ。」
ひっでぇ、え?そんなにクロンさん有名人なの?
これまでの人生で一度も聞いた覚えがないんだけど。
「クロンさんはこの世に十人といないS級冒険者だよ。」
正直それを聞いても驚きは少ししかなかった。
あれほどのプレッシャーを放つ実力者がS級でもなんも驚かない。
「まあそれだけならあそこまで馬鹿にはしないよ。
一番彼が有名な理由は数百年間も生きていることなんだよね。」
普通だったら驚くんだろうけど実物みたから、
あれでむしろ見た目相応の歳である方が驚愕だわ。
「しかも他のA級冒険者のほとんどが彼の子だったり、
初心者用の教科書書いたの全部彼だし、
数十年に一度起きる様な魔王とかを一刀両断してるし。」
後半の方が驚き、というか頭おかしいと思うのは決して俺だけではないはず。
そもそも魔王ってA級が何十人いても敵わないって言われているんですけど。
「というかシンはなんで知らないのよ。
よくここに来てたじゃん。」
え、ウソ。来てたっけ?いつ?
「ほら、あんたの昇格試験の時必ず上で見てたり、教科書が置いてあるところで本読んでたり、昨日あの3人の後ろにいたり…」
マジかよ…俺人の気配を感じる事には自信あったんだけどなぁ。レンには分かっていて俺にはわからないって…
いや違う!きっとクロンさんがおかしいだけなんだ!っていうかそうじゃなきゃ俺これからA級でやっていける自信がない。
「俺の噂してる?」
っと声がしたので振り返るとそこにクロンさんがいた。
「わぁーーー!!!」
「あっ!クロンさん!」
「やっほー♪」
俺は驚いて腰をぬかしてしまったがレンは結構慣れているみたいだ。
「やぁ二人共昨日ぶりだね♪」
「え、ええクロンさんはどうしてここに?」
「なんか俺の噂されていたから。」
「いやそうじゃなくて、なんでギルドに?」
「だから、俺の噂されていたから孤児院から走ってきた。」
はい頭おかしい。あの孤児院からここまで歩いて十分はかかるはずなんだけどなぁ。
時間以上にまず聞こえていることがおかしい。
「ふふ、相変わらず凄いですねクロンさん。」
「ありがとレンちゃん。」
違う!違うんだレン!クロンさんの場合凄いを通り越して頭おかしいんだ!
「クロンさん!そのあの、午後予定空いてますか?」
「空いてるよ〜、何デート?」
「いいいいいいえいえ、あの書類とかのお手伝いとか、していただけませんか?」
「いいよ〜、じゃあ1時ぐらいにまたくるね〜」
でクロンさんはギルドを出た。
「なぁレン、お前もしかしてクロンさんのことが…」
「え!あ、うんまぁね、色々あって私、クロンさんに恋しちゃったみたい。」
へぇ〜、レンがクロンさんにか〜。
まあ顔は凄い良いし、おかしいほどに強いし不思議じゃあないの、かな?
「ちなみにきっかけは?」
「前ガラの悪い新人に口説かれてるとこを助けてもらってからかな?ベタだけどね。」
いや〜強いし教科書書けるしで更にモテるとかクロンさん完璧かよ!