005 他の者はソレを厄介払いと思うかも知れない。
物語の最新時間枠設定を忘れた頃に突然ですが!久し振りに、
ブネ様創立の孤児院から子供が一人、行方不明になってらっしゃいます。
行方不明になっているのは、リリパットのナイ君です。
此処まで読んでたら分るとは思いますが…、
その小さな小人の少年ナイを孤児院から連れ出したのは、
シャムさんで……。
現在、とある事情で、一人隔離されてた吸血鬼のフラン君の所に、
シャムがナイを連れて遊びに来ています。
予備知識として、今まで何時も…、シャムが魔法実験する時には、
孤児院内で問題&事故を発生させていた為……。
シャムと、魔法の素質が高い子供の姿が、一時的に見えなくなっても、
孤児院の中だけの御話でした。
だから、魔界公爵ブネ様が孤児院を作ってから、
孤児院に保護された子供が本当に居なくなったのは、シャム以来、
今回ので、2度目の事となります。以上、これが今回の基本情報です。
話しを通常運行に戻して、現状を簡単に説明すると・・・
魔法オタク設定で周囲に認知されたシャムが、
同じ感じの趣味を御持ちらしい吸血鬼の子供の所へ御出掛中…、
そのシャムの御出掛直前から、魔法の素質の高いリリパットのナイが、
唐突に行方不明になってるって設定……。
今までのシャムの行動を考慮すると・・・
孤児院の管理者メンバーと、孤児院の賢い子等限定な孤児達の中で、
答えは簡単に出てきます。そう、孤児院関係者共通意見で、
ナイを連れ出したのが、シャムなのは事実でもあるし、明白な事でした。
余談ですが、連れ出されたナイ&連れ出したシャムの居場所は、
ブネ様が使うGPS的な感じの探索魔法で確認済み。
そこは、孤児院にて母乳で幼い孤児達を育てるのが日課、
山羊の半獣半魔なソピアが事前にシャムから訊いていた行き先、
シャムがフランに会う為に向かった場所。
ブネ様がフランに貸し与えている場所で、ブネ様的には、
勝手知ったるブネ様の城の中庭なのです。
ナイの行方不明が判明して直ぐ、ソピアさんから連絡を受けたブネ様が、
真っ白で上質な厚紙で作られた御手製のハリセン片手に、
シャムとナイを御迎えに行った事は、
想像するに簡単な事でしょう。ってのが、この世界の普通です。
勿論、一番最初にハリセンで叩かれるのはシャムさんですよ。
暫くすると…、石造りの回廊を歩く足音が響きました。それは、
御仕置きの時を刻む様な、コッツ、コッツ、コッツと言う軽快な足音。
中庭を望む場所に差し掛かると、足音は途切れ…、暫しの無音……。
後に、短距離を瞬間移動したであろうブネ様は、
音も無くシャムの背後に無音で現れ、冷たい目で子供等を見下ろし、
逆光の中で、薄く微笑みました。
魔術書を開き魔法陣を写し、部分部分の書き換えをしていたフランは、
シャムに書き換えた部分への意見を訊こうと顔を上げ、息を飲みます。
魔法陣を書いていたフランを嬉しそうに見上げ見蕩れていたナイも、
フランの様子の異変に興味を引かれて振り返り…、
完全に言葉を無くしてしまいました……。
「「こっ…怖ぁ~……。」」と言うのが、フランとナイの共通意見です。
それから、静かな城の中庭に『バシコォ~ン』と言う快音が、
気持ち良い程に鳴り響きます。
シャムはブネ様に背後を取られ、後頭部を叩かれた後…、
誰に叩かれたかも理解していた御様子で、苦笑いをしながら振り向き、
開き直って人間の3歳児の姿で、不釣り合いな声色と表情を使い…、
『友達同士の交友関係を広げていたのですが…駄目、でした?』と、
ブネ様の方に向き直って、ニッコリ笑ってみせました……。
確信犯の微笑みです。
ブネ様から名前を貰えない者達。鼠や、犬猫の様に…、
短期間で繁殖してしまう種類のコボルトや、ゴブリン、オークなら……。
これって、その日の食材にされてしまう事例なんですが…、
シャムは、ブネ様にとっての自分の価値を知っているので…、
ぶっちゃけバレても、希少種だと信じられてる自分が、
ブネ様に殺される事が無い事を知っているからこそ…、
彼女はこれからの自分の将来の事を考え、
悪魔を見習った態度を取ったのです……。
相手の心の隙に付け入り、相手の欲望を利用して、自分の欲望に忠実に、
業と、こんな事をやっています。
ブネ様は、そんなシャムの偽装行動に気付く事無く、
「腐女子とは・・・
アンデット属性ではなく、悪魔属性なのではなかろうか?」と勘違い。
御蔭で、シャムの将来を左右する計画。
シャムに寄る、シャムの為の仕込みは上々♪
シャムの現在の肉体が成長し切り、
自らの中身の凡人さが色濃くなる事前の準備です。
「固定観念を植え付けちゃおう作戦は順調ですね!」
な感じだったりしますので、読者の皆様!以後、よろしく♪
シャムに対する読みの甘いブネ様は、個人的な思案の後、
勘違いをそのままにして、
『シャム…説明がまだ、だったと思うが……。吸血鬼の魅了の力は…、
淫魔とかの一時的な魅了でなく、
吸血鬼本人より一定以上弱い物を半永久的に隷属させる高レベルなんだ。
絶滅危惧種入りの可能性が高いリリパットを男の子を…、
男の子に隷属させてどうするつもりだ?後で困った事になるんだぞ……。
自身が魔属性でも、魔属性耐性が低い、強い瘴気や濃い魔素で熱を出す。
脆弱な子供ばかりが生まれる御時世で、リリパットも最近じゃ、
希少種なんだ!知らなかったとは言え…少しは反省してくれ……。』
と、溜息交じりに笑いました。
あらやだ…、ブネ様ったら……。
腐女子の書いた薄い本的なアレを資料として読んで、何時の間にか、
腐女子の思考に汚染されてしまってはいませんか?
きっと、普通の純粋培養な御子様には、ソレじゃ、意味が分りませんよ?
因みに、ブネ様の台詞の中に腐った思考を発見できず、普通の事だと…、
腐女子思考な台詞は無いと、そう思ってしまった方は…、
腐女子&腐男子の道に少し踏み入ってしまっているかも知れませんね♪
あ、今、コレを読んで、不安に思った方!気にしないで下さい!!
意味が分らなかった人も御安心下さい。
これは作者の今までの経験で得た情報で描かれてます。
根拠は有りませんので悪しからず♪と、言う事で!
ブネ様の言葉を耳にしたフランは、
ブネ様の言葉に対して、少しばかりの違和感を感じ、首を傾げます。
それを見詰めるナイは、ブネ様の言葉を聴いてないので気付きません。
シャムは…、スルースキル発動で、突っ込みを入れる事無く……。
ブネ様に適当で曖昧な相槌を返して、
『じゃ、他の子を連れて来ちゃ駄目でも、ナイは連れ出してOKだよね?
良かったねナイ!ナイは特別にフランと仲良くして良いんだって♪』と、
ナイを喜ばせ、話を畳み掛けました。
シャムの推察していた通り、ブネ様は…、大喜びするナイと、
同年代の友達に飢えていたフランの嬉しそうな顔に負けて、
シャムを無罪放免にしてくれましたよ……。
別に良いけど、ブネ様、ちょっとばかしチョロ過ぎですね♪
まぁ~そんな感じで色々…、紆余曲折あって、シャムとナイは……。
ブネ様の城の中庭に隣接している部屋。
フランに与えられた部屋に住む事になりました。…と言っても……。
シャムは、人間と何かしらのハーフと勘違いされつつも、女の子だし…、
フランは、人間の生き血が大好物な吸血鬼だし…って問題がありまして、
寝起きする場所は別々です……。
そのフランの御部屋は・・・
左から使用人部屋、使用人部屋の倍以上の広さの主賓室、
使用人部屋サイズの衣裳部屋、
使用人部屋サイズでベットが縦に3個並んだ護衛部屋の4部屋構成。
勿論、フランは主賓室のキングサイズのベットを使用します。
ナイのは、肉体的なサイズの小ささも有りまして…、普通サイズや、
普通の素材の物では、不適合……。
『フラン様の一番近くに居たい!』=「フラン様と同じベットで寝たい」
とのナイからの要望に対し、
『それは如何なモノか?』とのブネ様からの意見を戦わせた後の妥協案。
フランのベット横のサイドテーブルの上に
ソピアさんが幼少の頃に遊んでいたドールハウスを設置して、
そのドールハウスの人形用の部屋とベット、
その他、使える家具をナイが利用する事になりました。
そして「フランとナイのこれからの関係性を観察したいな♪」
と思うシャムは…、最初「遠くから観察したいぞ」と言う下心有り気で、
最初に『生活に便利そうだから』と使用人部屋を希望しましたが、
駄目で…次に「壁越しに何か、聞こえるかも?」と衣裳部屋を希望し、
『そこで寝られると洋服の管理に支障をきたします!』と断られ…、
[フランの世話をする獣人の使用人さん達の御迷惑になる]との理由から、
一番、邪魔にならない場所って事で…、シャムは、
独り寂しく護衛部屋の窓際のベットを使う事になりました……。
ホント、ガチで、シャムの言い分は通りませんでしたよ…、
まぁ~流石に、シャムの希望したモノを総て断った獣人さん達が、
シャムの事を不憫に思ってくれたらしく…、
『要望を全部却下してしまいましたので……。』と、
護衛部屋に最初からあった机に棚、
下に引き出し2段付きのワードロープをワンセット残して、
使わないベットや家具は撤去…、少しでも使い良い様にと、
シャムを邪魔者にしてしまったフランの使用人の獣人達全員で、
シャムの部屋を整えてくれました……。
但し・・・「中身は大人だけども、
人間の3歳児の肉体で、どないせぇ~ちゅうねん!」なトラブル続出。
「そもそも……。ドアノブ…手ぇ~届くけども……。
このクッソ重い扉、私が簡単に開けれる思うなよ!マジでムリだし!!」
「下の引き出し開けんのも、力任せでギリやよ…、
そもそも、ワードロープの扉の取っ手、手が届かんへんし……。
あ、でもな、獣人さん…そのクローゼットの観音開きの扉の前に、
踏み台置いたら、その踏み台が邪魔で、扉、開かへんよ……。」
「なぁ~…見て分らんの?ワードロープの取っ手に届かんねんで?
服…、ハンガーに掛けてくれるんは良いけど、身長足らんから、
んな所に掛けられたら出されへんねんってば……。」
「後な…持って来る踏み台の高さ、間違ってるで…、3歳児舐めんなよ?
踏み台が高過ぎて登れへんわ」
突っ込み所が多過ぎて…、作者と同じ生息地域!
シャムが前世で住んでた場所、関西風な思考になる事態。
後々何とか色々、対応策を立てなければいけなかったけれども…
ナイを孤児院から連れ出した日の夕方、唐突な引っ越しも終わり……。
「細長い部屋、窓際から三分の一しか使ってねぇ~ですな」な感じ、
「しゃぁ~ない!前世から考えても、一人部屋は初めてやし、
ま、いっか♪」な、新生活の始まりです。






