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腐った私に御注意下さい。  作者: mitoka
第一章 腐っていても転生者
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002 ある腐女子の異世界転生

事故から、どのくらい時間が過ぎただろうか?意識を取り戻し、

事故の事だけ、はっきりと覚えていた彼女は、白い視界に目を細める。

目を開けた筈なのに、世界は白んでいて、何にも見えなかったのだ。

「これは、頭を打って目が見えなくなった的なヤツ?最悪じゃない?

録画したアニメやドラマが楽しめないじゃないですか!」

意識せずとも溜息が零れた。


彼女が良く見えない目を擦ろうと、

手や腕を動かそうとしても、彼女の体は上手に動かなかった。

「うぅ~わぁ~…、洒落になんね~ヤツじゃねぇ~ですか?」

周囲からする音も、こもっていて耳にする言葉も意味不明…、、

状態を訊こうと、人影に声を掛けたくても、声は言葉にならず、

身振り手振りで説明したくても、

体の何処も彼処も思う様に動いてくれやしなかったのだ……。


「もしかして、痛みも感じないし、不随系フラグですか?

触られてる感触はあるから回復するかも?だけど…これって……。

実質、死んだも同然じゃ?」とか絶望しながら、

訳も分らず、不安渦巻く中、何者かに介護される恐怖を味わい。

何も分らない事に混乱…、疲弊するばかりの日々を暫く過ごし……。

時を掛け、視界が次第にクリアになり…、

彼女自身の力で這いずり動く事が出来る様になった頃には…、

未知への期待と希望に満ちた興奮を手に入れる事が出来ました……。


周囲にファンタジックな生物、魔物らしき者しか存在しなかったけど…、

その魔物達の瞳に映る自らの器が何故か…、

見た感じアジア系?な、人間らしき赤子の肉体だったけれども……。

取敢えず、彼女は落ち着いて考えます。

上半身は人間の女性なのに山羊の頭を持つ魔物の母乳を飲みながら…、

「ラッキー!前より綺麗な顔に生まれたっぽい!

ラノベの良くある転生モノですか?そうか、それなら……。

楽しめる基盤作りから始めなくては!」と、

彼女は楽観的で素直に、心踊らさせたのであります……。


それからの彼女はガチで真剣に情報収集!

必死に単語らしきモノから覚えて…、

「シャム?[シャムシール]が、今世の私の名前なのかな?」と、

一番自分の世話をしてくれる山羊な魔物の女性の言葉を必死に解読……。

前世の知識も総動員させ、

ピンク主体のワンピースに、白いレースが愛らしいエプロン、

メイドさんが着てる様な感じのデザなエプロンドレスを着た魔物を観察。

「何時も母乳を飲ませてくれる女性って、

悪魔崇拝系のネタで頻繁に見掛ける[バフォメット]だよね?

彼女…[ソピア]って名前なんだね……。」と判断……。


メモ取れないし、発音&発語が難し過ぎて覚えられず…、

推測含みで、何とか多少なりとも、言葉を理解し始めた頃には……。

思う様に出来ない苛立ちを視覚的な情報から得られるモノで紛らわせる。


得られた情報から、殆どの者の衣服が何故か[甚平]で統一されている事。

因みに下に穿くハーフパンツのウエスト部分は、

ゴム素材がこの世界に存在しないのか?紐で調節する仕様。

「これって、制服的なヤツなのかも?」と、シャムは思う。


そんな甚平を着用した多種多様な魔物の子供が、

集められた育児施設の様な場所でシャムは、何故か隔離されている。

「あれ?今世の私ってば、病弱設定ですか?」とか考えながら、

「皆さん、成長速度が速くねぇ~ですか?犬猫より早くね?って、

違う?もしかして、私の成長速度が遅過ぎるんですか?」と状況把握、

及び、自分と他の者との違いを観察して理解。


その後、施設を近々巣立つ予定の子供等に、

この世界の常識を語り聞かせるソピアさんの言葉から…、

どうも転生者である[シャムシール]のスタート地点が、

魔属性に耐性がある者か、魔属性の者しか生きられない領土、

魔界と呼ばれる場所である事。

シャムのオタクな前世の知識もフル稼働させて、

「ソロモン、72柱…あっ!知ってる!ヨーロッパのオカルトだ!

魔界に悪魔が来ましたね♪もしかしたら、元居た世界と繋がってる?

見逃したTVやOVA観れるかも?おっと!攻撃魔法に防御系魔法、

回復魔法も有るんですか?良ぃ~ですねぇ~♪」と感動!

「王9家、君主7家、ここの城主のブネ様って、やっぱ、思った通り、

魔界公爵なんだね!…以下略…。」で、

現在地、[魔界公爵ブネ様の城]に隣接された「孤児院」と、判明する。


「ソロモンの72柱の一柱であるブネ様て、悪魔じゃね?

対価無しに与えるばっかしてOKなの?…云々閑雲……。」以下略。

シャムは「異世界だし、何でも有りって事かぁ~……。」と、

気にしない方向で行きます。


それから少しして「多分だけど、

生まれ直してから一年近く経過したよね?わかんないけど」なシャムが、

新しい日常を好奇心旺盛に過ごしていたある日。


見た目のみ、自分より年長に見える子供等、

実は生後2~3日の魔物から時々投げ掛けられている意地悪な言葉で、

不意に「あれ?私ってば、餌とか贄なんじゃね?」と思ってみる。

最初の内は「ちょっとした違いを否定して虐めるパターンですか?

何処にでも、差別ってあるんね。嫌だなぁ~」程度だったのだが……。

一度発生した不安は、シャムの恐怖感を激しく刺激してくれた。


シャムは、日に日に言い表し様の無い恐怖心に捕らわれる様になり。

何時しか、前世の感覚で行動し…、

自分が、本当に大切に育てられていた事に気付けず、

その場から「逃げ出す」と言う愚行を犯してしまいます……。

けども、逃げ出した当時のシャムは、1日の半分を眠りに要する乳幼児。

まだ、ハイハイがメインで上手に歩けない為、遠くに移動できず。

幸いな事に、大事には至りませんでした。


が…しかし、魔王城では、空前絶後の大騒動……。

基本、魔界では弱肉強食。[弱者=食べ物]設定でした。

でも、魔界公爵ブネ様が孤児院を作ってからは、

孤児院に保護された子供の魔物が居なくなる事なんて事、

一度も無かったそうなのです。

そんな中でシャムは、換気ダクト的な隙間に入り込み…、

逃げる途中で活動時間の限界を越え、眠気で生き倒れ……。

行方不明になって半日後にシャムが居なくなった事がブネ様に知れて、

公爵様…大激怒したそうな……。


それから少しして、探索魔法掛けてシャムを発見し保護したのは、

白い肌にエルフの様に尖った御耳、長いストレートな黒髪、黒い瞳、

立派な角と蝙蝠ぽい羽を持った城で一番美麗な美青年。

通称[王様]こと、魔界公爵[ブネ様]御本人でした。


朝から夕方まで行方を晦ませていたシャムは、

涙を滝の様に流すソピアさんに抱き締められ、食事の御預けを食らい。

ミルクと離乳食を目前にブネ様から御叱りを受け…、

叱られた方の腹ぺこシャムは必死に、

耳にして覚えた発音しきれていない拙い言葉で言い訳しまくり……。


ブネ様は、文法が所々間違っている単語の羅列から事態を把握し、

『シャムシールは、人間と[腐]の名を持つ種族のハーフなのに賢いな…、

色々な言葉を知っている。』と不敵に微笑み。

シャム的には、若干の恐怖あり。

『無事で良かったわ』と、まだ泣いていたソピアさんとブネ様は話し、

眉間に皺を寄せたりしてました。


それから、その後の事…、

その頃のシャムには、詳しく語られる事が無かったのですが……。

シャムを含めた「孤児」全員から聴き取り調査の末。

シャムシールに対し『半分人間の癖に』と吐き捨て、苛めていた豚…、

ではなくオークと言うモンスターの子供を特定したらしいです……。

で、その日の夕食時、

美味しく焼き色を付けられた豚肉が配られました。


勿論、当時のシャムの常識の範疇を越えていた為に、

他の子等が『凄く美味しいよ!オマエ、オテガラだよ!』と、

シャムを褒め称えながら食べてる肉が…、

『大きくなったら俺様がオマエを食ってやる』とシャムに言っていた豚、

シャムを苛めていた主犯格のオークの子供の肉だとか…、

思いもしませんでした。


そして、その料理の匂いは、

シャムの前世での食に関する記憶を刺激してしまい。

シャムさん、ソピアさんに御強請りして食べてしまいました。

自ら望んで食べたので、

転生した世界へのシャムの適正、レベルアップです。


更に、この事が切っ掛けの会話を盗み聞きし、、

シャムは、シャム自身の情報を知る事が出来たのです。


ブネ様とソピアさんの会話曰く…を要約……。

ブネ様が食料調達で集めた食材を[鑑定]していたら、

絞めてある人間の雌の腹の中に[腐]と付いた種族名を発見。

腹を開けてみたら生きてたので[不死者アンデット]と言う事で、

ブネ様、直々にシャムを研究材料として保護したらしい……。


「あれ?人間って、やっぱり食料ですか?」

「毎日食卓に並んでる肉料理って……。」等の事柄は、

シャムが現在の居場所で生きて行く為に考えない方向。

「私ってば、研究する為のサンプルだったんだ……。」と思いながら、

脱走後の健康チェックで使われた魔法の石板に写しだされる情報へと、

シャムの関心は移る。


当時のシャムには、まだまだこの世界の文字は難しく、

自分で読む事が全くと言って出来ませんでしたが…、

A4サイズくらいの透明な石板に出現する文字、

ゲームとかで見掛けるパラメーター画面の様な自分の個人情報には…、

その当時から、種族[人間、腐女子]と書かれていたみたいで…、

文字が読める様になってから[それ]を知ったシャムは…、

[腐女子]と言う単語、転生した世界には、まだ、

正しい知識として浸透していなかった[その単語]に付いて、

誤解を解かぬ事を心に決めました……。


「何故に[腐女子]が種族として登録されているのかは知りませんが…、

きっと、元日本人のゲーマーであろう先人の方の仕業でしょう。

貴方が創造したであろう産物に、私は救われました!!ありがとう!

私の種族は、人間と、腐ってる系の魔物の2種類でOKです!」

シャムは黒い雲が覆い尽くす空に向かって、御礼を込め祈りました。


ここで豆知識!

アンデットは属性であり、種族にアンデット[不死者]は無いらしいです!


そして魔法の石板の予備知識!

ハーフの時とかは、血の濃い方が先に表示されるそうなのです。

雑種設定、何種まで表示されるのか?が、気になる所ですね!

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