出会い
「あ~あ偽告かぁ~」
「面倒くさいな~」
「って、おい!!」
「お前ら付いて来るなよ」
「別にいいだろ冬麻、どうせ偽告なんだから」
と言ったのはジャンケンをした奴らのリーダーで俺の親友の、西野 大志〈ニシノ タイシ〉が言った
「まぁ…それもそうだな」
「他の友達?モブ?は説明しなくてもいいか面倒くさいし」
「おい!!!」
星野さんには二つ名があり孤独のプリンセスと呼ばれているらしいけどどんな人だろう
同じクラスだけどいつも一人でいたな星野さんって
とそうこうしているうちに屋上の扉の前に俺は立っていた。
俺はかちゃっと屋上の扉を静かに開けた。
その時俺の目に映ったのは腰くらいまである栗色の髪をなびかせて彼女はフェンス越しに夕日が沈むのを見つめていた。
まるでこの世界の全てを見透かしているような遠くを見ているような瞳で…
彼女がきれいで長い栗色の髪を耳にかけた瞬間突然強い風が吹きなびいた髪を押さえた
残念ながらスカートは風ではめくれなかった。
だよね…
だって俺アンラッキースケベだもん
「ハァ…」
俺は深い溜息をもらした
そして彼女がこちらに気づく
薄く青い瞳がこちらをまっすぐ見つめている
そしてまた強い風が吹いたさっきより強い
今度はスカートがめくれると思い脱・アンラッキースケベと期待したが
次の瞬間風の勢いが強すぎて屋上の扉がしまってしまった
うんわかっていたけど見事な裏切りようだね
結局俺はどこまで行ってもアンラッキースケベなのね…
………?
「あぁ、忘れてた!!」
今度は扉を勢いよく開けた!
「屋上にお呼びしてすみません!」
「突然で申し訳ないのですが」
「好きです俺と付き合って下さい」
{わくわく わくわく}{フラれろ フラれろ}
なんだかすげぇ後ろから期待の眼差しで見られてるんだけどまぁ気にしなくていいか
あ…偽告だって言うの忘れてた
まぁいっか話た事ないし
例え振られたとしても何ら日常生活に問題はない
いや、あるか慰めや同情されるそれに俺星野さんと同じクラスだった
あ~ぁ面倒くさ~
「あの~」
星野さんは何故か頬を赤めながら俺の近くに寄って来た
私でよければ喜んで…
あ…今嘘ついたな
「……え?え~~」
なんか後ろで騒いでる~
「冴えない組のお前が、くそうらやましい」
「「「「「何であいつが」」」」」
なんか後ろでぶつぶつ言っててすごく怖いんだけど
え…何この殺気まじで後ろから刺されるかも
うわぁこれは日常生活に影響を及ぼすな
どうしょう今さら偽告なんて言えないしな~
返事もらちゃったからなしょうがねぇ付き合うか
<うふふ新しいボディーガードゲット今度の男子は何日持つかな~>
なんか悪い顔してる
五時の鐘とともにチャイムが鳴りそして星野さんと一緒に下校することになった
{タッタッタッと}
まだあいつら付いて来る
「それでねぇストーカーとかチンピラに襲われる事が多いのまぁ私が美少女過ぎるのが悪いんだけど」
「それを自分で言うか」
まぁ美少女には変わらないけど
てかストーカーってあいつらのことじゃねぇだろうな
彼女は縁石の上で両手を広げてバランスを取って歩いている
「車危ないから縁石から下りて」
「ほら」と手を伸ばす
「はぁ?」
「指図しないでくれるウザイから」
……女って…怖~
裏表激しい過ぎるだろ
{ぷぅぷぅ}スピードを出した車がクラクションをならし通り過ぎて行った
「おっと」
「ふにゃっ」
「危ないなあの車」
大丈夫か?俺は星野さんの顔をのぞき込む
「離れなさいよバカ」
嘘は言ってないな
「これが本当の星野さん何だね」
「バカバカバカ」
そんな顔赤くして言われてもねぇ
しょうがねぇ追いかけるか
俺は夜の町のコンクリートの上を走り出した
あっ、見つけた
そこは高級住宅地だった
白い塀に囲まれている十字路で
十字路の近くで電信柱のよこでうずくまっていた
そして前にはゴミ捨て場がありバットやグローブやボールが捨ててあった
野球セット?
ゴミ捨て場から目をはなし星野さんに目を戻すと
チンピラみたいなのに絡まれていた
「警察呼びに行かないと…」
「あ…なんか口論してる」
考えるよりも先に体が動いていた
星野さんが殴られそうになってたからだ
「おい女を殴るなんて最低だなお前…」
「それに…」
「俺の彼女に手出すんじゃねぇよチンピラが」
「はぁ!?」
「粋がってんじゃねぇぞガキが」
「五人を一人で倒せるわけないじゃない!!」
五人のチンピラが襲い掛かってくる
「早く逃げなきゃあなたじゃ負けちゃうわ」
「負ける?なにそれ?聞いたことないなぁ?」
「俺にかんしては…」
あれなんでこんなに俺はムキになってるんだ
「調子に乗ってんじゃねぇよガキが」
チンピラ1は右ストレートで来たがそれを避けてみぞおちを喰らわせ
次は二人同時に攻撃してきた
前と後ろに分かれて攻撃してきた
前の奴は捨ててあったバットをゴミ捨て場から拾ってチンピラ2前から殴りかかってきてチンピラ3は後ろの奴は飛び蹴りをしてきた
俺はチンピラ3の飛び蹴りをギリギリで横に避けた
そして後ろのチンピラ3の飛び蹴りがバットを持っていたチンピラ2にクリーンヒットしたのを確認してチンピラ3の胸ぐらをつかみコンクリートに打ち付けた
「ぐは……」
そしてチンピラ4,5はチンピラ1、2、3を抱えどこかへ行った
「あ~あもう人は傷つけないって決めたのにな…」
と小声で言った
「星野さん、大丈夫?怪我はしてない?」
星野さんは突然泣き出した
「こうやって私はまた一人になる」
「いつもそう…」
顔を覆って泣いているがその涙に嘘はなく悲しみに満ちあふれた涙だった…
俺は星野さんの手首をつかみ抱き寄せた
おれは星野さんが学校で孤独のプリンセスって呼ばれているの知ってたんだ」
「だけど…」
「俺は今日一日で星野さんからたくさんのものをもらった」
「大切な人を守りたい気持ちや人を好きになる気持ちや恋とかいろいろなことを教えてもらった」
「だから俺はもう星野さんを孤独のプリンセスなんてもう呼ばせないよなんたって俺は星野日香理の彼氏なんだから!!」俺は星野さんに笑いかけた
「ずっと一緒にいてやるよ……」
「だから安心しろもう星野さんは一人じゃない」
「うん」
「私も冬麻に沢山のものをもらったよそれに…」
「さっきは助けてくれてありがと」涙ぐみながらこちらを見つめてニッコリ笑った
「かわいい……」
え?
なんか言った?
いや、なんでもない!俺はとっさに手を離して後ろを向いてしまったたぶん今俺は顔赤いだろうな
「ほんとは聞こえてるわよバ~カ」
「あ…もうこんな時間か」時計を見ると8時半を過ぎていた
帰ろう星野さん…
「星野さんじゃなくて………で」
え…何?
星野さんじゃなくて名前で読んでって言ったの
そんな目で見ないでまじでかわいい過ぎるから
「帰るか…日香理」俺は頬をかきながら言った
日香理の瞳が輝いて満面の笑みを浮かべた
うんやばいまじでかわいい
「うん…帰ろ冬麻」
手を繋ぎ日香理の家まで歩き始めた
偽告は恋の始まり
月一くらいのペースでこれからやっていきたいと思います