健康診断(身体測定) Final
お梅さんは、触診(リンパ節)をしているときも甘い声を出したりしていたが、聴診器を当てているときはさすがに静かにしていてくれたので助かった。
去り際に
「あの……私の体、どうでした?」
と聞いて来たので、他の子と同じように
「また結果は後日お知らせしますよ。そんなに心配しなくても大丈夫です」
と答えたのだが、
「……もっと深く知って欲しいのに……」
という意味深な言葉を残して帰っていった……。
なんとか、強敵? を凌いだが、次はちょっと田舎訛りがあるが、優に匹敵する美少女の玲だ。
この子は女子高生ぐらいの年齢で、本当に可愛くなった。
お梅さんと違って、わずかに恥ずかしそうに手で胸を隠していたわけで……大胆なお梅さんの後だけに、この仕草はかえって刺激が強い。
といっても、きちんと見ないと診断できないわけで……。
思っていたよりも大きく、形も整っているし、綺麗だ。
左右で形が極端に違っていると、骨盤のゆがみなんかが疑われることもあるらしいが、そんなこともなかった。
触診にも素直に応じてくれたし、なんか、お梅さんで吹っ切れたのかもしれない。
その後は、一期生、二期生の若い女の子達が続いて、ドギマギしながらもだんだん慣れてきて、なんとか全員診察しきることができた。
それにしても、思った以上に胸の形って、個性があるんだな……。
大きさもそうだけど、同じぐらいの大きさでも、やっぱり年齢によって年相応だったり、張りがあって若さが垣間見えたりして……って、俺、なんの評論家になっているんだろう?
とりあえず、このブルマに上半身裸の女子集団っていう、現代日本ならばそこにいるだけで通報されかねない状況を乗り切れたことは大きい。
しかし、まだ健康診断は終わっておらず、だれも服を着ようとしない。
っていうか、なぜか凜が、まだ着てはいけないって言っている。
どうしてか聞いてみると、
「だって、尿検査があるのに着物を着てしまうと、不便でしょう?」
と言われてしまった。
そうか、それがあったか……。
凜から尿を取る、という言葉を聞いて、みんな絶句していた。
「えっと、あの……それって、拓也さんが、あの……私達のおしっこ見て、何か調べるんですか?」
二期生最年少の桜が、真っ赤になりながら俺に尋ねてきた。
そうか、この時代の女の子達、そんな経験ないから、こっちの方が恥ずかしいんだ。
「その……やっぱり、するところ……見たりするんですか?」
そんなセリフ、上半身裸の十代中盤の少女から聞くと、それだけで俺が犯罪者か何かのように思えてきてしまう。
「い、いや、まさかそんな事はないよ……優、ちょっと検査用の紙コップ、持ってきて!」
顔が熱くなるのを感じながらそう言うと、優はクスクスと笑いながら、気を利かせて紙コップに少しだけ水を入れて持ってきてくれた。尿検査テープも一緒に、だ。
「尿は、これぐらいで十分だよ。ここにこうやって、この検査用のテープを入れるんだ。なにか異常があると、この先っぽの色が変わるんだよ」
と、実際にやってみると、なぜかみんな集まって、キャアキャア言って確認していた。
彼女たちにとって、尿を調べるなんて初めてで、女の子同士だったとしても恥ずかしく、照れくさいことなんだろうな……。
現代の同級生の女子生徒達も、高校の健康診断ではこんな感じなのかな、と一瞬妄想すると、目の前の胸をさらけ出した少女達がその同級生達とリンクしてしまって……うん、ここは平常心を取り戻そう。
女の子によってはすぐに尿が出ない子もいたので、先に血液検査を済ませる。
極小の針で指先をわずかに傷つけて、ほんのちょっぴり、スポイトみたいな器具で吸い取ればそれで終了。この場面でも、これでやり方が正しいのか、なぜか俺が立ち会いを求められた。
若い女の子がそれをするだけで、なぜかちょっと神秘的なイメージが湧くから不思議だ。
視力は凜に測ってもらっていたのだが、近視はゼロ、ほとんどが2.0だった。この時代、若い子はみんな目がいいんだな……。
聴力や血圧なんかも問題は無く、尿検査に引っかかった人もいない。
血液検査の結果はまだだけど、とりあえず、問題のある女の子は一人もおらず、無事、健康診断は終了した。
しかし、慣れない部分が多かったとはいえ、予定時間よりも大幅に遅れてしまった……次回からは、段取りの効率化を考えないといけないな。
みんなにそのことを告げると、
「次回って、いつですか?」
という問いがあったので、基本的には年一回だと答えると、それだけしか機会がないんですね、とみんなちょっと不満そうだった。
はて、なんの機会なのか、みんなそんなに健康に気を使っているのかと思っていると、なぜかお梅さんが近寄ってきて、
「……全員、拓也さんの妾になるために体を調べられたと思っているんですよ」
と衝撃の発言を耳元でしたものだから、ビックリしてしまった。
「いや、あの、その……今回の検診、本当に純粋にみんなが健康かどうか調べただけだから!」
と慌てて否定すると、一斉に笑いが起こった。
どうやら、みんな分かっていて、お梅さんがちょっとしたドッキリを仕掛けたみたいだった。
まあ、最後のこのドッキリはともかく、全体的にはちょっと遅れた以外は大きなトラブルもなく、みんな健康でよかったし、なんか、親睦も深まったような気がした。
上半身裸のブルマ姿にも、まあ、最後の方は慣れたかな……と思っていた。
しかし、予想以上に刺激が強かったようで……。
現代に戻れば普通の健全な男子高校生である俺は、翌日教室で同級生の女の子を見ただけであの健康診断の光景がフラッシュバックしてきてしまい……しばらくはまともに目を合わせることができず、ちょっと不審がられる事になるのだった――。