29.【リク】九歳 望月 陽人
私の中で望月 陽人は、人望が厚く、折々で正義感の強さがにじみ出る、面倒見のいい男の子という印象がある。率先して行動し、男女の隔てなくみんなから信頼を寄せられていた。
ゆえにリーダーシップを取ることが多く、彼がクラス委員になった時はクラス運営がとても円滑だったのを覚えている。
『人として出来ている少年』
それが私の中の望月 陽人という人物だ。
今思い返しても、望月くんの決断力と決断後の行動力は凄かったな、と思う。目標を定めたらそこに向けて全力疾走! そんな感じだ。
その目標というのも善悪にわけるなら善のものだろう。決して人様に迷惑をかけるようなことはせず、仲間内で何かあればすぐに対処した。
友人同士が喧嘩して片方が骨折してしまった時に、骨折させてしまった子に行き過ぎた暴力はいけないと説教して、二人で連れ立って骨折した子とその親御さんに謝りに行ったエピソードなどは結構有名だった。
あんたは友達全員の保護者か! と思った。
そんなエピソードにあるようにちょっと行き過ぎな正義感が顔を出すこともあったけど、それが原因で仲間内で変なわだかまりができるようなこともなかった。
たぶんそれは、望月くんの周りにいた子たちも望月くんと同じような価値観を持っていたからなのだろうなと思う。
たまに箍が外れて度を超した行動に出てしまっても、仲間内の誰かに諭されれば素直に納得して行動を改められるくらいには、彼らは共通の価値観を持って集まっていたのだ。
……と、今なら思う。
正直なところ、あの頃はそんな彼らに対してちょっと近寄り難さを感じていた。特にその中心人物の望月くんなどは別世界の人間のように見えていて、たまに話かけられてももの凄く気後れしていた記憶がある。
雲の上の御方が地底のさらに奥底にいる私に、いったい何の御用でしょうか!? という気分だった。
まぁそれを言ったら今世こそが正にその構図なんだけども。
あちらは一国の王子様にして勇者様。一方の私は身分どころか定住先すら持たない魔族である。しかも魔王になっちゃうかもしれない魔王種。いや、魔王になるつもりは全くないけどさ。
でもハルト殿下の正体が望月くんだって知った時は驚きのあまり身構えずに話していたけども、前世で感じていた別世界人のような感覚はなかったなと思う。
あまり気後れせずに話すことができた。
今更ではあるけれど、望月くんに対する考えを改めよう。
前世では気にかけて声をかけてくれていたのに、私ってば随分他人行儀かつ今すぐにでも逃げ出しそうな対応をしてたもんな。あれは失礼だった。
何だか申し訳ないので、今世ではそのようなことがないように気をつけよう。
朝だ。
私は全身全霊で抵抗して、天国から脱出することに成功。
あのベッドやばいよ、離れ難すぎて危険だよ……!!
ふかふかベッドの魔力に戦々恐々としながらも、ちょっとお腹が空いたなぁなんて思いながら、とりあえず父の部屋へ向かう。
客室が充てがわれた私やタツキと違ってすでにこの国で役割を得ている父には執務室付きの部屋が用意されていて、ハルトと共にこのイリエフォードに来てからはその部屋で日々を過ごしているらしい。
その部屋にも素晴らしいベッドがあるんだけど、残念ながら昨日姉弟妹揃って睡眠の大切さと素晴らしさを説いたものの、年季の入った妖鬼特有の感覚を覆すことはできなかった。
ちなみに食事の素晴らしさに関しても、父には理解されなかった。
ゆえに、ここでは妖鬼である私たちには食事の用意をしないのが礼儀だと思われてしまっている。
何たること!! お貴族様ご飯、食べてみたかったのに!
仕方がないので私とタツキとサラは街中の出店で買い食いすることにした。今日はついでにこの街の冒険者ギルドに寄って、主に利用するギルドをアルトンからイリエフォードに移管する手続きをするつもりだ。ついでに余っている黒牛魔の肉を売り捌きたいと思っている。
タツキの分解保持能力は本当にすごいんだよ。何と日数が経過しても食材の鮮度が落ちません! 血抜きも完璧、骨や毛皮との分離にも無駄がありません!
あの能力、本当に羨ましい……!
「今日も外に行くのかい?」
「もちろん。だってお腹空いたし!」
父の問いに当然と頷く姉弟妹。
「心配だなぁ……僕も行こうか」
「大丈夫! 昨日も行ったけど危険なことは何もなかったし、イズンさんが護衛してくれてるから。それに、お父さんはお仕事があるでしょ。あ、もしお父さんも食べたかったら何か買ってくるけど」
「それは別にいらないんだけど……」
即答かい。
本当に食への興味がないようだ。
ちなみに私たちはこの国の保護対象なので認識阻害魔術なしで外出が可能なんだけど、外出する際は必ず護衛を連れて行くよう言われている。なので、私たちが食事に執着していることを知っているイズンさんが護衛についてくれているのだ。
昨日に引き続き、今日もここにいれば迎えに来てくれると言っていた。
そういう手はずになっていた……のだけど。
扉がノックされた。「はい、開いてますよ」と父が応じると、ゆっくりと扉が開かれる。
扉を開いたのは待ち侘びていたイズンさん……だったのだが。
イズンさんの隣に、にこにこ笑顔の少年が立っていた。ハルトだ。
父を含め室内にいた一同がぎょっとする。イズンさんも困った顔をしていた。
「おはよう。聞いたよ、街に食料を買いに行くんだって? 俺も一緒に行っていいか?」
片手を上げて気軽に挨拶してくる王子様に誰も反応できない。
そんな中、私は辛うじてイズンさんに視線を向けた。イズンさんは私の視線に気付くと、首を左右に振った。
……私はどうやらもう一つ、ハルトへの認識を改めねばならないようだった。
人様の迷惑になることはしない、改め、人様の迷惑顧みず行動することもある……と。
「今日はギルドにも寄るので、ハルトが早めに戻るようだったらイズンさんはハルトの護衛を優先して下さいね」
「いや、今日一日自由行動できるように調整してきたから、気にせずリクたちの予定通りに回ってくれて構わない」
「……了解」
どうしてこうなった。
そうは思うものの、イズンさんの様子から事情を察することができる。恐らくハルトはこういった街中散策の常習犯なのだろう。
「そう言えば、リクにはいろいろと異名があるんだろう? 確か、『番犬』『騎士様』『白銀の』──」
街に出てしばらく歩いていると、唐突にハルトがそんな話題を振ってきた。私は勢いよく振り返り、ビシッと掌の突き出すことで続く言葉を遮る。
「はいストップ。ノー、厨二病! 『番犬』結構。『騎士様』もう慣れたからどうでもいい。けど他のは広まり過ぎてどうにもならないだけで、私は認めてないから」
「えぇっ、かっこいいじゃないですか」
なぜだ、イズンさん! どこがかっこいいと言うんだ!
「イズンさん、それは私の感性とは違うのです」
番犬や騎士様はともかく、そのほかの異名は消せるものなら消して欲しい。
ていうかみんなしてやたらと恥ずかしい異名の方を口にしたがるのはなぜなのか。理解に苦しむ。
「あっ、リク! あの揚げ物美味しそう!」
「あっ、お姉ちゃん! 私あれ食べたい!」
頭痛を堪える私とは異なり、ブレることを知らない弟と妹がそれぞれ食べたいものを指差す。
確かにどちらも美味しそうだ。この二人なら両方ぺろりだろう。
「じゃああの二つで決定でいいの? ほかは見なくて平気?」
「「えっ……」」
食に関しては似たもの弟妹。二人して慌てて他の出店を見始める。本当に、どれだけ食べるの好きなのさ。
私も食べるのは好きだけど食べられる絶対量が少ないせいか、この食いしん坊二人組を見ているとちょっと冷静になる。
まぁ二人に任せておけば外れを選ぶことも無いだろうから、私は食べ物探しには参加せず。館の窓から確認しておいたギルドの方角をちらりと見た。
やはりこの街でも冒険者ギルドは目立つ。堅牢な造りの大きな建物なので一目で見つけられた。
アルトンとイリエフォードでしか見たことはないけれど、よく似た造りにしているのは一目でそれが冒険者ギルドであると判別できるように意図されているのかも知れない。
結局タツキとサラは揚げた川魚をパンに挟んでソースをかけたものと、食べ易い野菜の串焼きを選択した。二人には両方購入して、私は串焼きだけ食べる。
同行していたハルトとイズンさんも空腹を覚えたらしく、揚げた川魚の方を購入していた。
今日はハルトが同行していることもあって、食べ歩きも立ち食いもイズンさんからアウト判定が出されたので、私たちは街の中心にある噴水の淵に腰掛けて食べ始めた。
イズンさんはさりげなくハルトが口にするのを制止して、先に自分の方を食べてから問題ないと判定を下し、ようやくハルトも食べ物を口にする。
王子様もそのお付きの人も大変だわ。
「小食だな〜」
そんなことを考えながらシンプルな野菜の串焼きをちびちび食べていると、ハルトから意外そうに言われた。
私ってそんなに大食いに見えるかね。まぁ街に繰り出してまで食事を摂ろうとしてたし、そう思われても仕方がないか。
「本当はもっと食べたいんだけど、タツキやサラと違って体質的にあまり食べれないんだよね。毎日食べてても胃袋が大きくなる気配もないし。もう諦めたけど」
「そっか。でも食欲はあるんだろ? だったら今日の夕食から用意するように言っとこうか?」
なんですと!? それは是非にでも!
と思う一方で。
「それは嬉しいけど……朝昼は街での買い食いの方が性に合ってるかなぁ」
ついぽろりと本音が漏れる。
するとハルトが羨ましそうな目でこちらを見てきた。
「いいなぁ。俺ももっと外の食べ物が食べたいんだけど、なかなかなぁ」
「殿下、なりませんよ。本来毒味なしで食べること自体、あってはならないんですからね!」
「……って言われるし」
かわいそー。
そうは思っても口には出さず。まぁ、しょうがないよね。王子様ですからね。
私たちは朝食を満喫すると、さっそく冒険者ギルドに向かった。
「ちなみにリクはランク幾つ?」
「ランク5」
「えっ!? 確かイムと別れてから一年ちょっとしか経ってないよな? 一年そこそこでランク5!?」
「リクは討伐依頼しか受けてないからね」
驚くハルトにタツキが簡単に説明する。
討伐依頼は他の依頼に比べてランクアップに繋がる点数が大きく、一日に採取依頼を五件こなしても討伐依頼一件分の点数が付くか付かないかと言うくらいの差があるということを。
「そんなに差が付くとは……。道理で以前偽名でギルドの採取依頼をやってた時、半年以上かけてもランク2だったわけだ」
「とは言いましても、殿下は現在ランク7でしょう。ランクを気になさる必要もないでしょうに」
何と。ここにランク7がいたよ。
そう言えばララミィさんから聞いたことあったな。ランク7は魔王や勇者といった面々しか持っていないって。魔王を倒した勇者なら、ランク7くらい持ってても不思議はないか。
そんなやり取りをしているうちに、冒険者ギルドに到着した。扉を開ければアルトンの冒険者ギルドとそう変わらない雰囲気だ。右手に受付、左手側が食堂兼酒場があり、そこそこ賑わっている。
私は迷わず右手の受付に向かい、一番人が少ない列に並ぶ。
ハルトたちは食堂側の空いている席に座って飲み物を注文していた。
やがて私の順番がきて、メインギルドの移管手続きを申し出る。移管手続きについてはアルトンでララミィさんに教えて貰ったのでスムーズに進んだ。
まずはアルトンのギルド発行の証明書を出して、ギルド側の魔力認識札に魔力を込める。あとはギルド側の作業になり、それもそう待たずに終了した。
受付の男性が移管手続きを完了した旨を伝えてきたので、ついでに黒牛魔の肉や皮などを売りたいと申し出た。
途端、周囲がざわめいた。
男性職員さんが改めて私が提出した書類に視線を落とす。
そして驚愕の声をあげた。
「はっ、『白銀の流星』のリク!?」
やめてー! ……と言いそうになったけど、ギリギリ笑顔を崩さなかった。
そうだな、それくらい痛い異名でも出さないと黒牛魔を倒したと信じてもらえないかも知れない。まぁ倒したのはサラだけど。
ざわめく周囲から『瞬速の狩人』とか『漆黒の牙』とかいう単語が上がり始める。
なぜ誰も『番犬』の方を口にしてくれないのか。私的には一番好きな異名が『番犬』なんですけどね。
「そっ、それではこちらへご案内致します!」
咄嗟に私の個人情報を口走ってしまったことを後悔したらしく、受付の男性が慌てて奥の部屋へと案内しようとする。私はタツキとサラを連れて男性について行き、通された応接間で彼から謝罪を受けた。
あれ以上騒ぎになる前に場を移した判断力も素晴らしいけれど、しっかり謝罪する姿勢も素晴らしい。
私はすぐにギルド職員の男性を許し、黒牛魔を討伐した場所を聞かれたのでランスロイドだと答えた。すると国を越えて回収するのは無理だと言われたので、私の守護精霊が持ってきてるから問題ない旨を伝える。
可哀想に、まだギルド職員になって年数が浅かったらしい彼は半泣きになりながらベテランさんを呼びに行った。
なんというか、うちの弟が型破りでごめんね。
色々あったけど無事に黒牛魔の部位や素材を売り捌くことができて、久々の大型収入に気分も上々だ。そろそろイリエフォードくらいの都会でも小さな家なら買えるかも知れない。
うきうきと妄想しながら受付エリアに戻ると、すぐに冒険者の男性陣から怯えた視線を、女性陣からキラキラな笑顔を向けられた。どうやら平時では『番犬』と『騎士様』の方が有効な異名になるようだ。
「モテモテだなぁ」
「ふふふ……羨ましかろう」
代わる代わるギルドの女性職員さんや女性冒険者さんたちに握手を求められて応じていると、ちょっと引きつり気味のハルトに声をかけられた。
つい反射的に自慢すればなぜか苦笑される。
「羨ましかろうって……」
何だ何だ、羨ましくないって言うのか、健全男子!
イズンさんを見よ! あのしょぼくれた顔を!
……どうやら握手を求めてきたギルド職員の女性に気があったらしい。
いや、別に私が彼女たちを独占しようって話じゃないんだけどね。
なんか、ごめんなさい。
ギルドを出ると、ちょうど昼食時だった。
残念ながら私は空腹を感じていないので、みんなが食事をしているあいだはイズンさんの目の届く範囲で露店を覗いていた。
怪しげな魔法道具を扱う店では知識のある人が見ればイミテーションだとわかる魔法道具がところせましと置かれていて、刻まれている魔法陣の雑さにうんざりした顔をしたら追い払われてしまった。
買うつもりはないけど、あんな粗悪品を掴まされたら泣くに泣けないだろうなぁ。しかも粗悪品だって気付くのが、いざその魔法道具の力が必要だという場面だったらって思うと──
あれ? それって人命に関わらない? これって放置してて大丈夫なの??
よし、チクってやる!
「ねぇ、ハルト。あそこの魔法道具売ってる露店、あぁいうのは放置してていいの?」
「あぁいうのって?」
「ほとんどがイミテーションで、辛うじて発動しそうなやつも粗悪品ばっかり。うっかり買った人の命に関わるんじゃないかなぁ」
ちらちら視線を向けていると、一瞬目が合った露店商からは睨まれてしまった。しかし私のすぐ横に騎士姿のイズンさんがいることに気が付くと、さっと視線を反らす。
動きが怪しい、怪しすぎる。
「それって証明することはできるか? 正直なところ露店って毎日出るものでもないし、取り締まり切れないんだよ。しかも粗悪品であると言うにも証拠が必要になる。証拠を揃える前に逃げられるのがパターンだからな……」
なるほど。確かに証拠も提示できずにしょっぴくわけにもいかないか。
「証明って、どれか購入して目の前で発動させてみたらいい?」
「まぁそれを取っ掛かりに、ほかの商品を専門家に調べさせるって方向には持っていけるかな。『ほかの商品が良品であるか確認する』っていう名目で、調べてるあいだは騎士館舎に隔離して事情聴取することもできる」
「よし、それでいこう」
私は露店商から視線を離さず、ハルトたちが食事を終えるのを待った。念のため、サラはタツキに預けて離れたところで待っていてもらう。
露店商は私が見ている前で少しずつ商品を箱に仕舞い、さりげなく立ち去ろうとしていた。しかしそれより前に、私はハルトとイズンさんを連れて店の前に立つ。
そして明らかなイミテーションの魔法道具もどきを手に取り、「これ下さいな」と笑顔で申し出た。前世で見たアニメの、魔法少女が変身する時に使いそうなステッキだ。
露店商がびくりと肩を震わせる。
「お幾らですか?」
「きっ、金貨、1枚……です」
十万円だとぉ? 足元見てるな、こいつ。
そんなことを思いながらも笑顔は崩さず、懐から金貨を取り出そうとしたらすかさずイズンさんが横から金貨を支払った。
私より早く支払うとは、さすが紳士な騎士は違うな。心配りもその動作もさりげないのに素早い。
「これって、どうやって使ったらいいですか?」
「そ、それは、持ち手を持って、魔力を込めながら一振り……」
ふむふむ。私はさっそく魔法少女用ステッキもどきを手に持ち、魔力を込めて一振りしてみた。すると、ぽろりとステッキの頭部に取り付けられていた五芒星の細工が落ちる。
そして──何も起こらなかった。
「この魔法道具、そこには明かり取り用って書いてありますけど……明かりがつかないですね?」
青ざめる露店商にもう一押ししておく。
「ふっ……不良品、かもしれません」
「あら、じゃあ良品と交換して下さい。同じものの在庫はありますよね?」
私は視線を先ほど露店商が商品をしまっていた箱に向ける。それに気付いて露店商は青を通り越して白くなった。かと思ったら唐突に立ち上がり、箱と鞄を手に持つなり走り出した。
すぐさま追いかけようとしたけれど、私が動く前にイズンさんが露店商の前に回り込む。
近くにいた人たちからざわめきが起こった。今の動きで注目されたようだ。
「なぜ逃げるのですか? 駄目ですよ、不良品はちゃんと良品と交換するか、返金しないと」
そう言いながら進み出たのはハルトだ。その顔には先ほどまでの親しみのこもった笑顔はなく、貴人然とした薄い微笑みが湛えられている。
すぐに目の前に現れた少年の正体に気付いた露店商と周囲の人々が口々に「ハルト殿下……!」と声を上げる。
「彼女は私の友人で、今日はちょっとした気分転換のつもりで同行していたのですが……あなたの行動は少し、見過ごせませんね。気になる点もありますので、兵の館舎までご同行願えますか?」
ハルトがそう告げている間に、イズンさんが露店商の身柄を確保した。
その後の取り調べと専門家による商品の鑑定の結果、露店商は牢屋送りとなった。
まぁ、本物が一つも見当たらない時点で確信犯だったろうし、自業自得だね。
それにしてもハルト、結構いい性格してるな。
優しい笑顔で、しかもご丁寧に敬語まで使って、言葉でチクチクとつついてた。あんまり怒らせない方がいいタイプなのかもしれない。
怒らせるつもりは毛頭ないけれど、一応、気をつけておこう。




