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魔王候補になりました。  作者: みぬま
第1章 それぞれの再スタート
29/144

 21-3. 城塞都市アルトンの男たち

* * * * * アーバル * * * * *


 最近、偵察任務でアルトンの外を巡回していると、度々リクちゃんたちと遭遇する。


 リクちゃんは順調にギルドの依頼を達成しているらしく、俺の友人で中堅の冒険者リッジが言うには、わずか一ヶ月でランク1からランク2に上がったのだそうだ。

 しかも受ける依頼は討伐依頼だけなんだとか。

 本当にリクちゃんは魔物と戦えるんだなぁ……と、今更ながら感心してしまった。



 この日もネイブの森近くでリクちゃんたちと遭遇した。


「おーい、リクちゃん!」


 声をかけると、すぐに笑顔で手を振ってくれる。

 彼女たちはほかの兵士たちのあいだでも密かに有名で、幼いながらも健気に弟妹を養っている少女……ではなく、例の二つ名“番犬”の異名の方でその名を轟かせていた。

 ああして無邪気に笑っていると、そんな風には見えないんだけどなぁ。

 そう思いながら彼女の手もとを見ると、灰猪の皮を、恐らく5匹分ほど抱えていた。


 おいおい、灰猪だぞ、灰猪。

 確かに動きが直線的だから危険度は低めに設定されてるけど、あの速度と激突されたときの破壊力を思えばリクちゃんのような子がどうやって仕留めたのか、さっぱり想像もつかないんだけど!?


 思わず顔を引きつらせるが、周囲の同僚たちからは「さすが番犬……」というつぶやきが聞こえてくる。

 どうもこの同僚たち、あの子がまだ子供だってことを忘れてるんじゃないだろうか……。


「リクちゃん、うちの奥さんが美味しい果物が手に入ったから近いうちに遊びにおいでってさ」


 とりあえずこれだけは伝えておこう。

 そう思って声をかけると、リクちゃんの額の精霊石からすかさずタツキくんが現れる。


「リクっ! 今日行こう! 今すぐ行こう!!」

「ちょっとタツキ、失礼でしょう! すみません、アーバルさん。お言葉に甘えて、これを納品したら伺わせて頂きますね」

「いいよいいよ、都合のいいときに遊びに来て。あといつも何か持ってきてくれてるけど、手ぶらでいいんだからね」


 そう言って手を振ると、俺たちは偵察ルートに戻った。




 それからさらに一ヶ月が過ぎた。

 リッジから聞いた話によると、リクちゃんは順調にランクを上げて今はランク3になったらしい。

 あまり聞いたことのないランクアップ速度だ。


 通常であればランク3までは採取依頼を中心に据えて、徐々に討伐依頼にシフトしながらランクを上げていくのが定石だ。

 誰もが先輩冒険者からそうするようにアドバイスされるし、新米冒険者は無謀な面はあれど、一度討伐依頼で失敗すればそこから学んで採取依頼をしながら体力作りに励む。

 まぁ、その最初の失敗で命を落とす新米も多いんだけどな。


 けれどリクちゃんは初日からその身体能力の高さを存分に披露したようだし、誰もその定石をリクちゃんに教えなかったのだろう……。


 うぷぷ、駄目だ。“番犬”の異名だけなら耐えられるけど、あのエピソードを思い出すと笑いのツボに入ってしまう。

 城門の外に捨ててくるって……ぷふっ。


 必死に笑いを堪えながら偵察任務で巡回していると、前列の同僚が甲高い音の笛を思い切り鳴らした。魔物か魔族を視認した合図だ。

 俺は気を引き締めて前方を確認する。ほどなくして、黒い塊がこちらに向かってくるのが見えた。


「黒狼か!!」


 誰からともなく声が上がる。

 黒狼は危険な魔物だ。繁殖力が高く、群れで行動する。しかも群れで連携まで取ってくるから厄介だ。


 緊張が走る。

 この五人でも対処できなくはないだろうが、無傷とはいかないだろう。

 とりあえず、まずは馬を逃がさなければ!


 俺たちはすぐさま馬から下りると尻を叩いた。

 黒狼は大型以外は馬よりも低い位置を動き回るので、馬に乗っていると不利になる。

 馬たちも状況を察してアルトン方面へと走り出した。


 残された俺たちはそれぞれ剣を引き抜く。同時に、ベルトにつけた筒からスクロールを取り出した。

 黒狼を相手にするには、脚力強化のスクロールを使わないとスピード面で対抗できない。

 すぐさま全員がスクロールに魔力を流し、脚力強化を行う。一瞬足が熱を帯びて、無事脚力が強化されたことを確認した。


 徐々に、黒狼の群れの詳細が視認できる距離になってきた。

 ざっと8匹。

 1匹だけ大型が混じっているが、半数が中型、小型が3匹。

 大型がいるのが厄介だな……そう思ったとき。


 背後から馬の嘶きが聞こえた。

 後列にいた俺は慌てて馬の方を振り返り──絶望的な光景を目にしてしまった。


 後方からも、黒狼の群れが向かってきていた。

 馬たちは逃げ惑い、1匹、また1匹と黒狼の餌食になっていく。


「こっ、後方からも黒狼! 数は5! 内、大型が1、中型が2、小型が2!!」


 震える声で俺は前方に報告する。同僚たちからざわめきが起こった。

 今まで黒狼に挟撃されたことなんてなかったのだ。

 なんとか切り抜けられると思っていたのに、思わぬ伏兵に混乱が広がる。

 まずい、このままだと全滅するぞ……!!



 絶望のあまり、目の前が真っ暗になる。

 しかし。



「うわぁ〜、黒狼だらけ!」


 場違いなくらい呑気な声が聞こえた。

 反射的にそちらを見ると、側方……ネイブの森から先日と同じく灰猪の皮を5匹分抱えたリクちゃんが現れた。


 こんなときに、嘘だろ!?


「リクちゃん、逃げろ!!」


 とっさにそう叫ぶと、当のリクちゃんは小首を傾げながら灰猪の皮を地面に置いた。

 それからひょいとサラちゃんを抱き上げると、「タツキー、サラをお願い!」と自らの守護精霊に伝えて、現れたタツキくんにサラちゃんを預ける。


「サラ、よく見ててね。黒狼はあぁやって一杯集まって襲ってくるんだよ。でもね、一杯集まって襲ってくるような生き物の場合は大抵、命令を出してる個体がいたりするんだよ。だから、まず最初にそのリーダーを見つけて、一番に潰す! これが必勝法だよ!」


 言いながら、リクちゃんはふとこちらを見た。


「こっちの5匹は頂きますから、そっちの8匹をお願いします。あ、今、身体強化の付与魔術をかけますね」


 言うなり、リクちゃんはてのひらをこちらに向けた。

 その瞬間、体が熱くなる感覚。

 知っている。これは、ついさっきも体験したばかりの現象だ。付与魔術をかけられたのだ。

 どれだけの効果がリクちゃんの付与魔術にあるのかはわからないけれど、リクちゃんは自身にも身体強化の付与魔術をかけたようだ。


 そして、次の瞬間。


 リクちゃんは目にも留まらぬ早さで後方へと走り出した。

 すごい! ものすごい速度だ!!


「おいっ、こっちも来るぞ!」


 リクちゃんの登場に呆気にとられていた同僚が声をあげたので慌ててそちらに向き直る。

 正面にはもう、黒狼の群れが迫っていた。


「リーダーは十中八九、あの大型だ! いつも通りやるぞ!!」


 リクちゃんがサラちゃんに教えていたことは黒狼と戦う上での常識であると同時に、黒狼の群れの弱点でもあった。

 ただし、リーダーが大型だった場合はそいつの気を反らしながら周りの黒狼を先に片付ける方が安全だ。


 前列に立った同僚が黒狼を迎撃すべく、「はあぁぁぁ!!」と裂帛の声と共に先頭の中型黒狼に切りかかった。

 まずはリーダーまでの道を切り開く!

 その意気が伝わってくる一撃が、びっくりするほどあっさりと中型の首を跳ね飛ばした。


 あまりの呆気なさに切りかかった本人が一番驚いていた。

 周りも驚きはしたが、すぐに中列にいた二人が大型黒狼に向かって群れの中心を突っ切っていく。後列の俺ともうひとりは勢い余って突出してきた小型と中型に向かって剣を振り抜いた。


 実際自分の手で体感するとよくわかる。

 何がって、リクちゃんの付与魔術の効果の高さが。


 目の前で、自分の手によって。あっさりと中型黒狼が真っ二つになった。


 すぐさま、大型黒狼の援護に向かおうとしている中型と小型のあとを追う。

 普段なら脚力強化のスクロールを使ってもなかなか追いつけないのに、リクちゃんの付与魔術のおかげでびっくりするほど簡単に黒狼に肉薄する。

 我に返った前列の同僚と三人で、それぞれ一匹ずつ仕留める。残るは大型と中型が1匹ずつ。


 大型と戦う中列の二人は苦戦しているようだが、大型の方もじわじわとダメージが蓄積しているようだ。

 残る中型もあっさり同僚が打ち倒し、五人がかりで大型に挑む。

 驚くほど体が軽く、驚くほど力が出る。かと言って、コントロールできないほどではない。

 そういう加減でリクちゃんが付与魔術をかけてくれたのだと思うと、あの子天才か!? としか思えない。


 戦いの申し子。

 もしかしたらリクちゃんは、神位種なんじゃないだろうか……?


 そんなことを考えていたら、いつのまにか目の前に大型黒狼の巨大な口が迫っていた。



 ──大型黒狼は、ひと噛みで人族の大人の頭を噛み砕く。



 そんな言葉が、脳裏を掠めた。


 あれ? 俺、死んじゃうのかな。


 自分でも脱力しそうなくらい、呑気な言葉しか浮かんでこない。


「アーバルさん!!」


 意識を手放しそうになった瞬間、聞き慣れた少女の声がすぐ後ろから聞こえた。


 ぐいっと後方に強く引っ張られる。

 ガチンッと音を立てて、眼前で大型黒狼の口が閉じた。

 さっと血の気が引く。


「黒狼の弱点は、額ですよ!!」


 リクちゃんの声が横から聞こえた。

 声の方を向いたときにはもうリクちゃんの姿はなかったけれど、目の端に映った影の動きでリクちゃんが空高く飛び上がったのがわかった。

 影の主を追って上空を見上げると、大型黒狼も空を見上げていた。


 その視線の先。

 青く晴れ渡った空を背景に、黒を基調とした服を着たリクちゃんの影が見えた。

 落下と同時にその白銀の髪が太陽の光を反射して煌めき、手に持った何かを黒狼に向かって放り投げる。そしてすぐさま空中で器用に縦回転した。


 瞬きもできないほど刹那の後。

 リクちゃんは落下と回転で威力を増した踵落としを、寸分違わず黒狼の額に食らわせた。


 ガツンッ! と、ものすごい音がした。同時に、大型黒狼の巨大な頭部が地面に叩きつけられる。

 辺りに響いた轟音を追うようにして、上から何かが降り注いでくる。

 慌てて顔を庇いながら降ってきたものを確認すると、それは黒狼の血飛沫だった。


「ふぅ……あらら、手持ちの緑小鬼の牙が足りなくなっちゃった」


 隣に着地した音と共に、残念そうなリクちゃんの声が聞こえてくる。


「いやいや、リクちゃん……緑小鬼の牙って……」


 反射的にツッコミを入れると、こちらを振り返ったリクちゃんは困った顔で笑った。


「いやいやいや、だって今日の依頼、緑小鬼5匹退治だったんですよ。足りないのは6本だから、もう3匹狩ってこないとですね」


 まだ緑小鬼3匹いるかなぁ〜、などと場違いなことを呟きながら、リクちゃんはタツキくんとサラちゃんのもとへと歩いていった。

 するとタツキくんが血を浴びたリクちゃんに浄化魔術をかけて汚れを浄化し、それから三人でこちらに手を振ると、そのまま灰猪の皮を拾ってネイブの森へと戻っていく。


 俺たちはと言えば。

 呆然と、その後ろ姿を見送ることしかできなかった。




 後日判明したことだけど、リクちゃんが仕留めた黒狼は全て、額に緑小鬼の牙が突き刺さっていたそうだ。

 そうして、リクちゃんには新たな異名が付いた。

 その異名は──。






* * * * * リッジ * * * * *


 半年ほど前、ここ城塞都市アルトンの冒険者ギルドに面白い新人が現れた。

 名前はリク。まだ八歳の少女だ。

 いつも小さな妹を連れていることから、“子守”なんてあだ名もつけられてしまっている。


 思えばこいつは依頼を一件も受けないうちから“番犬”や“騎士様”といった異名を持っていたが、今からおよそ四ヶ月前。リクにつけられた異名が一挙に増えた。



 その異名というのが、“白銀の流星”、“瞬速の狩人”、“漆黒の牙”だ。



 これまでのどこか和やかな異名とは違い、ゴツいのが三つも増えた。

 しかし新たに増えた異名の元を辿れば、偵察隊が黒狼の群れに襲われ、たまたま近くの森で依頼をこなしていたリクが彼らを救った出来事に行き着く。


 その際に助けられたアーバルが言うには、リクは思念発動で身体強化魔術が使えるらしく、アーバルたち偵察隊に強化魔術を施した上で自身も強化。後方から迫っていた大型含む黒狼5匹を単独で撃破した。

 前方から襲ってきた8匹のうち7匹は偵察隊が始末したけれど、残った大型に手こずっているうちにアーバルは命の危機に見舞われたのだと言う。

 しかしリクの活躍によりアーバルは救い出され、身体強化で得た跳躍力でもって超高空から落下。踵落としで大型黒狼の額に緑小鬼の牙を打ち込み──嘘みたいな話だが、大人が五人掛かりで苦戦していた大型黒狼をたった一撃で仕留めたのだそうだ。



 その光景を目の当たりにした偵察隊の面々が、当時の様子を表すに相応しいリクの異名を、口々に広め始めた。そうして全員がバラバラの異名を広めた結果、一挙に三つも異名が増えてしまったのだ。


 可哀想に、妙な異名が増えて当のリクは居たたまれない様子だった。

 その頃はよく小さい声で“チュウニビョウ”とか“痛すぎる”とかぼやいているのを耳にしたものだ。


 それにしても、チュウニビョウって何だ? 病気か??

 その病気のせいでどこか痛かったのだろうか?



 時は進んで先月のこと。

 止めとばかりにリクに対してつけられた最新の異名がある。

 それが“守護聖”だ。



 何だそりゃ、と思ったが、リクが本人の意思はどうであれ、これまで得た異名の由来を思えば納得できる。


 “番犬”と“騎士様”は、無法者からギルドの女性を守り、今後も守ると約束した結果、つけられた異名。

 “子守”は幼い妹を守り育てるリクの姿勢を一部冒険者が面白半分で表現した結果、つけられた異名だ。

 “白銀の流星”、“瞬速の狩人”、“漆黒の牙”は、窮地に陥った偵察隊を単身で救った結果、つけられた異名。


 どれもリクが誰かを守ろうとした結果、守られた人々やそれを見ていた人々がリクを評してつけたものだ。

 それに、異名にこそなっていないが、この半年間でリクが発揮したお人好しっぷりに助けられた者は存外に多い。ギルド内でもやはり黒狼の群れに遭遇したパーティがリクに助けられたりしている。



 “守護聖”は、世界が未曾有の天災に見舞われた際に人々を守り抜いた聖人の異名でもある。

 この街のリクを知る人々は、リクにその聖人の姿を重ねたのだろう。


 ……とは言っても、天災云々に比べたらリクが助けたのはとても身近な範囲の話になるのだが。

 それでも人は誰だって遠い昔の偉人よりも目の前の救済者の方が尊く思えるものだ。


 こうして、みんながリクには“守護聖”の名が相応しいとささやきあった。その結果、わずか八歳の少女はとんでもなく重い異名を贈られてしまったのだ。

 俺だったら“守護聖”なんて異名をもらっても、肩が凝るだけで全く嬉しくないけどな。




 リクがこの街に来て早半年。

 もはやあの子のことを知らないやつはこの街にはいない。領主ですら、リクの存在を知っている。


 少し前、領主がリクを指名して護衛任務の依頼を出したそうだが、「申し訳ありませんが、妹がまだ幼いので長時間拘束されるお仕事はお受けできません」ときっぱり断ったそうだ。

 領主は怒ったそうだが、その後リクによる妹の可愛さと教育の大切さ、家族と共に過ごす時間の重要性を説かれ、最後には領主もリクの考えに感銘を受け、家族との時間を多く取るようになったとか何とか。

 本当かよ。



 そのリクは最近、ギルド側から請われて魔術の基礎を冒険者たちに教えている。そこにときどき領主の子供たちも混じっているそうだ。

 そうして安定した収入を得たリクは、つい先日、街の一角にある借家で暮らし始めたらしい。


 大したやつだ。

 しっかり定職を見つけて安定した収入を得て、借家とはいえこの街で自らの地盤を確保したのだ。

 あれは本当に八歳の子供なのか?




「あっ、リッジさん。これから外ですか?」


 ギルドで依頼を受けてパーティメンバーと共に城門を出ようと手続きをしていると、後方から声をかけられた。リクだ。

 振り返れば予想通り、リクとその妹のサラがいた。


 サラは「りじだー」とにこにこ笑っていたが、「サラ、目上の人には“さん”ってつけるんだよ」とリクに注意されて「りじさんー」と言い直している。

 くぅ……あの愛らしさには俺のような巨漢も、歴戦のパーティメンバーたちもすっかりメロメロだ。


 俺は気を取り直すと、リクの問いに答えることにした。


「リアン平原に大型の黒牛魔が出たらしい。その討伐に向かう」


 答えると、リクは「黒牛魔……?」と呟いて首を傾げた。


「それって、ランク4でしたっけ」

「ランク5だな」

「そうですか……。お気をつけて」


 黒牛魔に興味があるのかと思ったが、どうやらそうでもなかったらしい。


「あぁ……っと、そうだ。今度気が向いたらパーティ組もうぜ。俺と組めばランク6まで依頼が受けられるぞ?」

「えぇっ? 無理ですよ! だって私、まだランク4ですよ?」


 これは謙遜なのだろうか? それとも本気で言ってるのか?

 大型を含む、総数10匹以上の黒狼の群れの討伐依頼はランク6の依頼だぞ?

 それを単独で討伐できると目されている“守護聖”が何を言うか。


「リクならランク6でも問題ないと思うけどな。ま、考えといてくれよ」


 ニッと笑いかけると、リクは困ったような顔で微笑むだけだった。

 たまにこういう反応をするところが実に子供らしくないように思うが、そうならざるを得ない下地があることは知ってるから、片手を挙げて挨拶するとそのまま城門を出た。



 さて。

 大型の黒牛魔は強敵だが、その肉はえらく美味で高値で売れる。

 まとまった収入が手に入ったら、あの苦労性の“番犬”に何かうまい飯でも奢ってやるかね。

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