第一日目:『旅の準備を始めようとする一華さん』
あたしの愛する姉『沢渡一華』の話をしますね。
彼女の命を救った事は、後悔していません
無数に起こした事象の渦を混沌にしてまでも
どうしても、終わらせたくはなかったのです。
不治の病にかかっていた姉様でしたが
女神覚醒の適応者ではなく
ジオクロニクルにも残らない存在
そんな事、些細な時間の欠片の一つでしかない
運命という、変えることのできない流れは
あたしが全てぶち壊してやる!!
例え、姉様と殺し合いをすることになっても・・・
前置きは・・・このあたりでいいかしら
では、後は姉様にお任せします
あたしを好きに使って構いません
愛のある楽しい世界を求めるならね~♪
全ての世界で一番可愛い妹の沢渡順子から
親愛なる姉様へ~♥♥
・・・・・・・・・
繋がりを感じる事は、無数にあるが
特に自分は妹という存在を強く思い
更なるステージに連れてきてくれた事
限りのない時間を生きると同等の感謝を積み上げていこうと心に刻みました
『新生女神である沢渡一華は、全身全霊の愛で世界を情熱の溢れる常夏化とする事を宣言しようじゃないか~!!』
ふふふ、五代宝石以外で能力が異常に高い
自分が保有する縞瑪瑙は
炎と大地を両方守護できるだけの特殊な宝石らしいぞ
南国女神とジオクロニクルに新参者として刻まれることになったが
目指すのは・・・
順子やラインの“愛の溢れる世界”とは少しだけ異なる感じだ
まあ、愛は必須だと思うから
この二人を敵対するつもりはない
過去に三つ巴のような死闘をしたこともあったな・・・
だが、そんな昔の話は
知ったことではない!!
『一華さんの計画に加担できれば、面白そうな世界にできるかもしれないね』
こちらを優しい瞳で見つめる、今回の相棒となる女神
福岡由佳
彼女は、五代宝石のアレキサンドライトを保有する
この宝石は、火と風を同時に加護することができる
ラインという、現在最も頂点に近い女神の相棒であるエリアという女神が
同じ宝石を保有していて
無数の精霊を崇拝する巫女であり
ラインのことを完全なるサポートしている存在である
同じ事を由佳に強要することはしない
自分も複数属性保有者だから
負担の大きさは把握しているつもりだ
由佳は、あまり弱音を見せないし真面目で気丈な女性だから
余計なことで彼女を苦にさせることはしたくない
『由佳・・・真佐夫も女神にさせることになるかもしれないが、構わないのか??』
『真佐夫君が女神にですか・・・う~ん、可愛い服とかお揃いで着られますよね~うふふ♥』
おい、由佳?!
怖い奴だな・・・
恋人が男性から女性になってしまうかもしれない、というのに
お揃いの服だと
こちらとしては、女神の戦力が増えるからいいが
『無理していないよな・・・今のを聞いて、お前の精神が心配なんだが??』
『ちょっと~一華さん!! 由佳を変人扱いしないでもらえませんか・・・』
これは、観察対象でしばらく様子を見ないとダメかもしれない
女神は、このあたりの癖も特化してしまう可能性もあるからな
自分も否定できない部分もあるし
どうしても狂うようなら
制御可能なように愛理と一緒に開発したシステムをみんなに装着してもらっているが
これを使用しないで済むままであって欲しいとところだ
これから始まる旅の準備もあるし
同行する仲間の紹介もついでにしておこうか
この先、置いてきぼりになるだろうから
序盤である程度の情報を開示しておかないとな
まあ、制限ギリギリまでなら問題ないだろう
今回、順子と別行動となるわけだが
あいつはどうやら、ラインと組むみたいで
この天球ではなくて
ラインの守護する世界である電脳異空間に当面の間、滞在する
その代わり・・・なのか微妙な部分もあるが
愛理とあっちの同じ科学者のラビリアと二人でシステムを統合するらしい
かなり無茶なギミックだが
面白いことを考えたものだ
自分も科学者だったりするから
気持ちはわからないでもないが、相当負担がかかるだろう
そんなこと些細な問題かもしれないな
愛理が選択したのだったら、容易な方法が存在しているのかもな・・・ははは~♪
統合して、どちらからでも管理できるのだったら
わざわざ順子の代理をこちらに用意する必要はなかったと思われるが
使える人材は有効にだな
別の事象で覇者となった女神か・・・
順子には悪いが、相当可愛らしい娘じゃないか
こっちでも活躍してくれるのだろう、楽しみにしておこう
さて、名簿作成を・・・
旅の目的は??
まず、天球を惑星改造でもするか
システムが統合しているなら、あっちにも影響するだろうし
少しでも寒冷化を緩和できれば、面白いじゃないか
氷機とかいう、冗談みたいな存在と戦う世界なんて
寒いから苦戦しているのではないのか??
暖かくなれば、自分も快適に参戦してやろうじゃないか・・・
なんてな・・・変な考えはやめておこう
とりあえず、スタンプの回収を中心にリーアの情報を集めることだろうか
あいつも神出鬼没だし
自分にとっても邪魔な存在だからな
ラインもわざわざ、エリアをこちらに派遣して調査しているし
上手い具合に合流して
同種宝石の由佳の相乗効果を狙うか
メンバーは・・・
自分と由佳と光がメインで
亜沙美は宝石が回復したらだろ
あとは、真佐夫が女神化出来るか次第か
梢と栞は別件だしな
それと、合流できればエリアだな
あ、覇者の娘もいたな
整理すると、初期メンバーは
自分と由佳と光と覇者の娘の4名か
戦力的には問題は無さそうだな
十分な期待が出来るだろう
よし、正式にジオクロニクルの記載された情報として
自分と初期メンバーの部分だけでも紹介しておくか
名前:沢渡一華
通称:南国女神
宝石:縞瑪瑙
属性:火・土
最大出力:10
戦闘力:8京
専用能力:魅了
出身:天球
一応、最新版だぞ
他のメンバー紹介前に少しだけ補足しておこう
名前と通称と宝石は問題ないだろう
属性は宝石に依存する基本的な部分だ
女神は一応、全ての属性を使用可能だったりする
得意な属性とでも思ってくれ
最大出力は10段階で女神を評価したもので
1~4までが導師クラスとなる
5~7までが天使クラスとなる
8~10が女神だ
ちなみに10が次元管理可能な最大能力者となっているぞ
個体の強さも一応比例はしている(特殊な場合を除いて)
戦闘力は過去に出したことのある数値の最大値となっている
好戦的な女神は常に更新されていくだろうな・・・自分も例外ではないけど
専用能力は、女神だけが持っている個々のオリジナルのスキル
ちなみに自分のスキルは“魅了”
自分以上の存在には無効だが、それ以下になら必ず使えるぞ
対象の相手を自分の意図するように出来る
基本は敵となった相手に作用させるのだが
たまに、味方にも使う場合もある・・・仕方なくだぞ、いいか仕方なくだからな
無益な戦闘をしなくていいように回避する際に使う
自分は好戦的ではないから・・・それに戦いは疲れるだろ
よし、次は由佳か
名前:福岡由佳
通称:安らぎを齎す偽りの恋人
属性:火・風
宝石:アレキサンドライト
最大出力:10
戦闘力:200兆
専用能力:空間消失
出身:天球
通称については、ノーコメントだ
土属性ではないのだが
重力制御を可能とするみたいで
由佳自身は“穴掘り”と呼んでいるが
はっきり言って、自分も恐怖するくらい脅威なスキルだったぞ
名前:市ヶ谷光
通称:闇夜を照らす月光の姫
属性:光・闇
宝石:オパール
最大出力:8
戦闘力:1000億
専用能力:浄化
出身:天球
自分の古くからの友人で
医学の分野において優れている
振る舞いや言葉遣いで“姫”なんて呼ばれているが
実際の姫は別にいるので自分は使わない
戦闘数値的には低いが、多分宝石の能力は凄いかもしれないな
光と闇は特殊な属性で
両方を得意とするオパールを保有する歴代は強力な存在ばかりだし
個人的に一番期待している部分は否めないぞ
名前:美紅夏織
通称:不遇なもうひとりの覇者
属性:水・闇
宝石:ターコイズ
最大出力:不明
戦闘力:不明
専用能力:不明
出身:不明
同じ苗字の別の存在なら前に出会ったことがあったが
姉妹だろうか??
ラインも不思議なギミックを用意したものだな
ジオクロニクル自体にも登録されて間もないみたいだし
未確認な部分が多すぎるし
あいつのサプライズ好きにも付き合いきれない
実際に確かめろってことか
それにしても不遇って、大丈夫なんだろうか??
とても不安で仕方ないぞ
覇者だったら、不遇を乗り越えるだけの能力だって解釈でいいよな
あとは、旅の最中にでも詳しくわかってくるだろう
実際に目の前にいる存在の情報を
わざわざ、数値的な開示だけっていうのも
おかしな話だから
それと、途中で追加されたメンバーもその時に詳しく話せばいいよな
・・・それにしても、光と夏織が出て行ってから相当時間が過ぎているのだが
何をしているのだろうか??
『由佳、二人はどうしていると思う??』
『二人?? ああ、光さんと夏織さんですか・・・亜沙美さんの治療を促進するために』
そういうことか
だったら、もう少し時間が必要だろうな
『旅立ちまで数日あることだし・・・こちらも真佐夫の女神促進を行おうか??』
『・・・冗談じゃなかったのね』
自分が由佳に冗談を言ったのかと思ってたか
そんな無駄なことはしないぞ
『有効な宝石を転換させれば、女体化できるようになる・・・そうすれば女神になれるぞ』
『複雑な感じなんですけど~!! わたしの真佐夫ちゃんが女の子になるなんて・・・』
完全に所有物化しているのか
これは、男女を切り替えタイプにしないと自分が壊されてしまうかもしれないぞ
性別をスイッチできるなら真佐夫も妥協してくれるといいが
『詳しい話を本人にもまだしていないから、由佳から打診してもらえればと思ったのだが・・・』
『一華さん!!』
急に自分の胸ぐらを握り
怒鳴る感じで迫ってきたから、少し動揺してしまった
無理なら、仕方ないか・・・今の由佳が怖いし
『無理にとは言わないから、そんなに怖い顔するな・・・自分、泣きそうになるぞ』
この手の迫られ方をすると
相当、弱いからな
冗談抜きで泣きそうになってしまって
『はぁ!! ごめんなさい一華さん、別に泣かせようと思ったわけではないの』
『・・・うん、気にするな』
手を離すと優しく、涙を拭ってくれた
なんだろう、凄く気持ちが高揚してくるぞ
『一華さん、わたしが打診すますね・・・真佐夫ちゃんも一緒に旅したがってたから』
『そうか、お願いできるか由佳』
頷きながら、自分の手を取り部屋を出る
半分引きずられながら、真佐夫のところへ向かった
『由佳に一華さん、慌ててどうしたの??』
押し掛ける様に真佐夫の居る部屋にやって来た
しかも、由佳に引きずられていたから
自分を心配するように手を差し出してくれた
『真佐夫ちゃん!! どうして一華さんを心配してるの・・・』
『・・・だって、一華さん怪我してるみたいだから』
ん!?
怪我している??
自分が・・・あ、本当だ
『自己治癒で回復するから気にするな、由佳に引きずられた際にどこかに強打したのだろう』
強打したと思ったのは
回復前に、怪我だと気づいた瞬間に痛みを感じたから
『よし、由佳・・・話をしてくれ、待ってるから』
椅子に座って待たせてもらおう
何か時間がかかる気がしたから
自分が居るにも関わらず、イチャイチャが始まっているから
ここまでラブラブな二人
見せつけるための口実だったか
真佐夫の膝の上に座る由佳
『ね~真佐夫ちゃんは、由佳の事好き??』
『改まって、どうしたの??』
この流れで打診する作戦か
由佳、恐るべし
完全に拒否できない感じにするつもりだな
『どうなの!! わたしは真佐夫ちゃんの事、本気で好きよ』
『この流れ・・・僕にお願いがあるんだね、別に普通でもいいのに~』
真佐夫も由佳の言動で求める事が把握できるのだな
お互いにしっかりと相手の思惑を知った上で行動する感じか
これなら、思った程の時間は必要ないかもしれない
『あのね・・・真佐夫ちゃんも一緒に旅できるよう女神覚醒を視野にって話なんだけど~』
由佳と真佐夫が自分を同じタイミングで見る
まあ・・・そうだろう、実際に処置するのは自分の仕事だからな
『一華さん・・・前に言っていましたよね、あれ冗談じゃなかったのですか??』
『由佳も真佐夫も同じ感覚だな・・・自分は二人に対して冗談で女神の話なんてしないぞ!!』
『さっき、わたしも一華さんに言われちゃいました・・・真佐夫ちゃん、本気で女体化する覚悟ある??』
冗談だったと思えないくらい、悩む時間が少なかった
最初から考えていたのだろうか
迷うことのない感じで返してきた
『僕の事を変わらず好きだと由佳が思うなら、構わないよ女の子になったとしても』
これから女になる覚悟を決めた
まさに立派な男だよな
これだったら、女神へもなれるだろう
でも・・・正直、この美形の男を無くすのは勿体なさすぎる
やはり、男女スイッチするシステムを用意しよう
『真佐夫の覚悟、しっかりと感じたぞ・・・男女の切り替えの可能なようにするから』
『天才科学者の一華さんだったら、できそう~期待してていいの??』
『僕は、どちらでも構わないですよ・・・可愛い服とか興味あったし』
女装の気質でもあるのか
美形だし、やせ型だからな・・・無くはない
女神はあくまでも職業みたいな意味合いだから
男性が女神になるギミックも考えておこうか
自分だけの技量だと、まだ完璧なシステムとして提供できないかもしれないな
『完全なるシステムはもう少し待って欲しい、自分の限界を若干超えている・・・』
『どうやら、順子ちゃんと入れ違いになってしまったようですわね~うふふ』
こんな登場するキャラだったか??
自分と由佳の間に急に登場した・・・順子と契りを交わした娘
『たしか、綾か?? 久しぶりだな、復活したと聞いたが女神覚醒していたとは思わなかったぞ』
『順子ちゃんを救うために復活したのですわ、見越して契りを交わしたみたいだったから』
あいつ、親友も自らの計画の駒として組み込ませていたのか・・・
自分もだが、可愛い顔して恐ろしい妹だ
『全ての計画を把握した上での合意ですの・・・夢の世界から救ってくれた順子ちゃんには』
『自分も順子の駒の一つだからな、一緒に来るか??』
『そうですわね・・・一華さん、楽しませてもらいますわ~♪』
名前:綾=グリーン=ミスティックシード
通称:世界を癒す忘却の風(ツンデレ気味)
属性:暴風
宝石:エメラルドのような石
最大出力:8くらいだったらいいかと
戦闘力:明日から本気出す
専用能力:創作料理
出身:神の住まう場所
最新の綾のジオクロニクル情報を閲覧してみたが・・・
なんだろう、デタラメ感満載な気がしてならないぞ
これはもしかしたら・・・改ざんがなされたかもしれない
『綾、後で二人だけで話をしたいのだが・・・いいか??』
『構いませんわ~ふふふ、一華お姉さまとの戯れ~楽しみですわね』
凄くやりにくい
しかし、相性の善し悪しなんかどうでもいい
本当の綾の能力を把握しなくてはならない
それにこのタイミングで来るのも、順子の差金と思われる
困っている自分を助っ人できるギミックを持っているのだろうな
『由佳と真佐夫は旅立つまでイチャイチャでもしててくれ・・・自分は綾と話があるから』
『一華さんに言われなくても、そのつもりですから・・・ね、真佐夫ちゃん~♥』
若干、苛立ちもあるが
流石に毎日な感じでくっついている二人だから
当初のような怒りにまで発展することはなくなった
『愛理さんほどとはいきませんが、ある程度ならシステム構築に役立てて下さい』
『・・・ふ~ん、そういうことか』
エメラルドのような石・・・本当にエメラルドなんだろうが
比較的演算能力の優れた宝石だから
自分のサポートとして、順子が用意してくれたところか
ラインといい順子といい
そんなに自分が信用できないのか
それとも・・・いや、これはやめておこう
自分の意図する思惑だと判断するが、これを表現するのは無粋なんだろう
『旅の準備だけは忘れるなよ、それ以外は自由にしてて構わないぞ・・・また後でな』
『は~い、一華さん』
手を振る由佳と真佐夫を置いて部屋を出た
常に見透かされた流れを進行しなくてはならないと
最初からわかってはいたが・・・本当にその流れを実際に体感すると
どうしても、順子に対しての苛立ちが隠しきれなくなるが
これも含めての思惑なんだろうな・・・
何もかもが順子の手のひらで踊らされるだけで
把握している存在もいるだろうが
ほとんどが知らずに順子に付いて行く形か
どのように転んでも
確実に順子の良き思惑になるだけだろう
『一華さんは、順子ちゃんに対して複雑な心境のようですわね~うふふ』
『綾・・・お前も順子に踊らされている存在じゃないか~!!』
『そうですわね、でも・・・そんな些細な事を気にしてては、順子ちゃんには勝てませんわよ』
『順子に勝つ・・・自分がか??』
『ええ、そのためにわざわざあなたが主体となっている話が始まっているのですわ』
天使の微笑みで悪魔の囁きをする
未知な部分が多いからだろうか
綾の本当の意図を凄く知りたくなっている
『天使か悪魔かは、一華さんが決めることですわ~ふふふ♥』
『ナチュラルに自分の心を読みながらの会話はやめてくれ・・・いや、無駄がなくて好都合か』
女神の特性でもある
相手の宝石に干渉して心を把握することができて
心理戦の類は基本的に一切通用しない
自分は無粋だと思うから、ほぼ使わない
簡単に相手の思いを把握するのは悪いことだとは思わないが
相手の嫌がることや困ることは基本的にしない
自分がされるのは多少だがいいとしても
それを仕返しのように相手に返すのは、最も嫌だと感じてしまうからな
あくまでも建前で
偽善的な行為だとわかっているから
抑えている感情が爆発してしまった際に
反動だったと思われるくらいに狂った自分が・・・
まあ、順子やラインに対してだったか
あれに関しては、自分最大の遺恨として
刷新された状態であっても、根底に残っているようで
罪悪感に苛まれることがたまにあったりする
この辺りが、順子やラインに劣る部分なのかもしれないな
払拭できるだけのギミックがもう少しすれば用意できるだろうから
綾は、それを知っている・・・というか、準備の手伝いをしてくれるのか??
『こちらの返答待ちですわね・・・もう、受け入れる方向で流れるのですか』
『下手に自分の意図を説明するよりも心情そのものをありのままで把握してくれたほうが楽だろ』
『ここがあなたの特別な部分ですわね、順子ちゃんもラインさんも合理的な行動はあまりしないから』
『結果重視だと思うが、過程は最低限でスマートが基本じゃないのか??』
順子もラインも、目的までの過程を比較的重視しているみたいだからな
繰り返す事象の流れでは、自分が知りえない意味があるのかもしれないが
それはあくまでも順子とラインの中での重視するだけであって
自分がそれを実施する意味は無い
事象を刷新する中にある存在でしかないから
冒頭で順子が言っていた
自分が順子によって救われたことは
順子の自分への執着を感じると共に
恐怖するくらいの愛の形だと思う
その重すぎる愛に応えられるだけの価値が自分にあるのだろうか??
答えは自分ではなくて順子にあるから
とりあえず、自己満足の範囲で精一杯にするのみ
『あの・・・どうしてずっと無視されてるの~!!』
綾の後方にもう一人いた
忘れていた、わけではない・・・と弁解しても仕方ないよな
最初から自分と由佳と一緒にいただけに
すっかり忘れていたなんて言えない
『お前は誰だ!? 不法侵入か、どうやって入ってきた!!』
『Σ(゜д゜lll) え!?』
直前に話していたことが嘘だと言われても仕方ない感じに
自分の忘れていたことをなかったことにしようとしている
夏織のは悪いが、どうもいぢめたくなる気質だったから
『一華さん、どう処理しましょうか??』
『ん?? ああ、そうだな・・・一応、女神みたいだし色々と使えるだろう』
意外と流れを察して行動するタイプなんだな綾は・・・
これは、心を読まれている意味合いがあるということか
ふふふ~♪
『これは、何ですか~!? ラインさんから一華さんを助けるように言われて来たのに・・・』
終始無視されて
それを追求したら、不審者扱い
更に綾が羽交い締めしていて
泣き出す気持ちもわかるが・・・
『ウワァァ-----。゜(゜´Д`゜)゜。-----ン!!!! 悪いことしてないのに~!!!』
ここまでだと、普通に虐待でしかないよな
仕方ない・・・あまり気が進まないが
順子みたいなことをするか
『綾、放してやれ・・・泣かれてしまっては』
『そうですわね・・・夏織さん、ごめんなさい』
綾は、夏織を解放すると頬に軽くキスしている
若干の動揺をしている夏織に対して
自分も・・・
『すまなかったな、夏織・・・話に夢中でお前の存在を忘れていただけだ』
よく順子が行う方法
姉妹揃って“巨”もしくは“爆”と付けるくらいの胸をしていて
自分は武器として使うことはしたくないので、まずやらないが
順子は、断ることにその胸を使うようにしている
今、行っているのは
夏織の顔を自分の胸の谷間に軽く挟むようにしていて
比較的、男性が好む行為だと思っていたが
女性に対しても有効だと
順子が極端に女性を好むほうだから
女性同士でのスキンシップに利用している
『・・・ ・・・ ・・・!?』
あれ??
動かなくなったぞ
窒息死でもしてしまったのか・・・
気道は確保しているつもりだったが
これは逆効果だったかもしれない
『おい夏織?? すまなかった・・・』
慌てて横に寝かせて
・・・別に死んでいるわけではなかった
介抱するために衣服の締めつけを緩めて
綾が癒しのスキルを施してくれた
『一華さんの胸で興奮して気絶したのでしょうね・・・罪なお胸ですわ~♥』
『恥ずかしいこと言うな・・・』
綾がニコニコしている
自慢できるだけの胸ではあるが
他人に言われると凄く恥ずかしい
羞恥心をどのようにして隠すか
これに関してはラインに幾度となく相談していたが
あいつのように大胆な行動を可能と出来れば、もっと楽しめるのだろう
とりあえず、夏織を背負って自分のラボに向かう
ある意味好都合かもしれないぞ
綾も夏織も未知な部分ばかりで
情報がとにかく乏しい
一緒に旅をする仲間として行動をするからには
一応、リーダーたる自分がある程度のことくらい知っておかないと
『オートスキャンシステムですか・・・素敵なギミックですわね』
『入った瞬間で把握できるのか・・・綾は敏感すぎるぞ』
警戒される場合もあるから
自動で行える装置を各所に隠すような形で配備している
レジェンドクラスの女神でも把握は難しい隠しだったりするが
ここまで瞬時には初めてかもしれない
『敵にはしたくない存在・・・綾はミステリアスだから特に思うぞ』
『順子ちゃんのお姉さまですもの・・・敵だなんてありえませんわ』
近しい意味合いで言っているのだろう
凄く他人行儀に思えてくる発言だな
まあ、実際他人ではあるが
違和感を綾に抱いてしまう
『お前は、自分との距離感を測っているのか??』
『わかりますか・・・そうですわね、順子ちゃんとは違ってゼロ距離で対話するタイプではありませんから、様子見ですわよ・・・様子見ですわ~♪』
この綾との対話は物凄く自分は不利だと思う
あまり対人関係を得意とはしない
だから??かは不明だが
相手を魅了する特技を取得している
女神は戦闘力の差をアンバランスにしないようなギミックがあって
必ず何かしらの特技を習得するようになっていて
それが基本的に自分の不得手な部分を補う形となっているらしい
人との関わりを苦手とする自分は
相手を意図的に操作できるように“魅了”して
最初から擬似的な親しみを構築している
しかもほぼ自然な流れで行うため
相手から把握されにくいみたいで
今までレジェンドクラス以外の相手には100%で成功している
だからだろうか
初の失敗とも思える状態で戸惑いが隠せないのかもしれないな
『逆に本当の接し方で親しくできると、信じてますわ・・・一華さん』
『苦手分野の克服だと思えばいいか、すまんが不器用な自分をよろしく頼む』
旅を始める前だが
少しだけ準備に手間取ってしまいそうだぞ
しかし、今までにないくらいのワクワク感があって
それと同時に震えるくらいの不安もあって
これが冒険なんだと思った
比較的短略な小旅行が当たり前に繰り返されていたが
大冒険でもするかのような気分だったりする
まあ、実際のところ
世界に影響を及ぼすだけの旅となるようだからな
リーアの本体を引き出すことができれば
順子もラインも成し得なかった本当の意味でも事象の刷新を行うことが可能だろう
目的を持たずに風来坊な旅とかしてみたいが
まずは、そんな安息の地を構築するための準備をしないといけないからな
長い準備になっているが
確実に進んでいることは間違いなく
順子もラインも終着する場所は自分と同じになるはずだし
実のところリーアも多分同じだと思うのだが
そう・・・これは、まだ二人には内緒にしている部分で
独立したメンバーでの旅が実現したらと思っていたから
今回、綾にだけはここで把握されてしまっているだろうけど
目的からして、リーアの排除は無関係となるかもしれない
あくまでも頂点をリーアだと考えた話であって
本来、あいつも女神であって
レジェンドクラスで一番だというだけで
彼女が全てを始めたわけではない
“幻想の風”という
不可思議な事象の始まりを促した本当の頂点があって
その頂点との対峙が、まず自分が旅の目的と定めているから
リーアがそれに対して阻むならば
排除対象となるが
そうでなければ、特に争う気はない
むしろ、無益な戦いだろうし
加担までは必要なく、傍観しててくれれば幸いか
ジオクロニクルの始まりに関しての情報を開示した自分が
それを得た時点で・・・
この幻想だった全てを破壊して
元の世界を再始動させようと考えた
ある意味ラッキーだったのかもしれない
終わるはずだった世界が
幻想の風により
一時的に停止されている
それは、終わらせない方法を人類が自らの叡智として構築するまでの猶予を貰って
現在までがその猶予期間中だったりする
様々なギミックとシステムを構築しながら
ほぼ無敵に近い存在を誕生させることまでできて
そろそろ、頃合ではと・・・自分は思っている
それに、実際ダメだったとして
どこまで進化が必要だったのか??
そもそも人類が存続する意味はあるのか??
これは、科学者としての好奇心とも思えるから
時期尚早だと考える存在の方が多いかもしれない
だとしても、まずは具体的なビジョンを見てから
必要がどうかを判断してもいいのではと・・・
地球と呼ばれる
元の世界を
一度、見ておこうと思って
最終的な目的が
そこでの生活だとしたら
下見はしたいよね
そんな自分の気持ちだったりする・・・