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A国の使者 VS 麗しのネリー

昨日の夜は興奮して眠れなかった。早朝に船でA国に向かうから、船の中で眠ればいいと思っていたのに……。すでに昼過ぎ、船が動く気配はない。


私の顔が思いのほかブサイクだから揉めてる訳ではないです……。流石、超大国A国の使者さん。私のブサイクな顔を見ても、一切表情を変えない。


なら何故、船が動かないかと言うと……。


「王女が侍女もつけないで、他国に行くなど聞いたことありませんわ!」


麗しのネリーが、キレキレです……。私が男なら、ネリーの美しさにメロメロになってしまうと思うのですが……。このA国の使者さんは、全く動じないんです。ブサイクなお妃候補を見ても表情を変えることもなく、ネリーみたいな凄い美人にも動じない、どんな訓練をしてるのか?すぐ顔に出てしまう私にぜひ訓練のしかたを教えていただきたい。


「先ほどから何度も申し上げておりますが、我が国は大国がゆえに敵も多く、我が国の王族の命を狙う者も後を絶たないのでございます。我が国の王族、そして候補様の安全のために、候補様以外の方はご遠慮頂いております。」


ネリーがキレキレなのに、A国の使者さんは涼しい顔で説明する。それが更にネリーを切れさせるという悪循環……。


「そんなこと、陛下がお許しになるとはとても思えない。A国がヴィヴィアン王女を人質にするかもしれないというのに…。それに、王族の命が狙われる国になんて、そんな危険な国にヴィヴィアン王女一人で行かせられない!」


「我が国とV国は同盟国です。同盟国の王女を人質にとる訳がありません。確かに安全とは言えませんが、我が命に代えても、全てのものからヴィヴィアン王女をお護りします。あと我が国の侍女が誠心誠意、ヴィヴィアン王女にお仕えいたしますのでご安心ください。そして侍女を伴わないことにつきましては、V国国王陛下に了承頂いております。」


「陛下が了承してる……?そんな馬鹿な……。なぜこんな時にエドワードがいない……。エドワードがいればこんなことには………。」


あぁ、やっぱり!ネリーはエドを認めてるのね!それをエドに言ってあげれば良いのに…。本当に素直じゃないんだから。あれ?私がいなくなるってことは、ネリーとエドは二人きりになれるのでは?これは絶対にA国に行かなければ!


「あの、あのね、ネリー大丈夫よ。すぐ帰ってくるから。だから心配しないで。いつもネリーに心配させてゴメンなさい……。」


「ビビ様……。」


ネリーは、はぁっと息をはくと、私を抱きしめた。


「使者様………。無礼な態度、失礼しました。どうか我が国の大切な王女を、無事に我が国にまで連れ帰ってくださいませ。」


ネリーはそう言うと、頭を下げた。


「それはお約束できません。」


えっ?使者さん?


「なっ!」


「この縁談がまとまれば、ヴィヴィアン王女はそのままA国の正妃となるため教育を受けて頂きます。そしてV国に戻ることはありません。」


「陛下はそのことをご存じなのか?」


「もちろん、ご存じです。」


ネリー……。縁談がまとまるわけないのだから、そんな心配しなくても……。あー、また揉め始めた。今日中に出発するのかなあ……。眠い。



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